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【台本版】魔王の缶詰()の作り方  作者: ジータ
第二章 新しい仲間
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40 出、出、出たーwww なんにでも唐辛子ドッサリ入れ奴ーwww

40 出、出、出たーwww

なんにでも唐辛子ドッサリ入れ奴ーwww



 武器屋に着いた3人。

 タカキタ村の武器職人ゴンが待っていた。


職人「待ってたぜ!

   ほい、これが依頼の品だ。」


 職人が手渡した槍は、長さは約30センチ。

 先が二股の金属製の槍だ。


ヌル「これは、電気槍っていうんだ。

   俺の前世の世界では、

   罠にかかったイノシシなどのトドメに、

   電気槍を刺して気絶させ、

   おとなしくさせるんだ。


   つまり、この槍は相手を深く刺したり

   しなくても、相手を倒せるんだ。

   当てて電気を流すだけでいい。


   素早く、非力だけど雷のチカラが使える、

   うまーるにとっては最強の武器だと思う。


   あと、この小さなバックラーを

   左手に付けるんだ。


   目が良い、うまーるなら、たいがいの

   敵の攻撃をコレで捌けるはずだ。


   ただ、敵はどんな魔法具を使ってくるか

   わからないから、基本は回避だぞ。」


 ヌルから槍を手渡された、うまーる。


うまーる「うわぁ。

     すごいの買ってもらっちゃったんだよ!

     ありがとう!

 

     これ、金属なのに軽いね!

     ねえ、この槍にも何か、

     名前を付けて欲しいんだよ!」


ヌル「名前か…。

   俺が生まれた世界の雷神は女性だったらし

   い。


   雷神イザナミの胸に宿ったという、

   雷神の1柱から取って、

   【火雷・ホノイカヅチ】

   ってのはどうだ?


   電光石火のような動きをする、

   うまーるに合ってる気がする。


うまーる「【火雷・ホノイカヅチ】か。

     カッコいいね!

     ありがとう!」


 うまーるは、嬉しそうに火雷をいじっている。



職人「柄の部分を中空にした。

   軽くて耐久性もあるよ。」


クルム「面白い武器ね。

    毒で相手を止める、

    私の武器と似てるかもね。


    動きが止まりさえすれば、

    あとはどんな敵も、ウチのゴリラが

    ミンチにするから勝利は確定ね。」


ヌル「ミンチ…

   レスベラと合流したら、出発しようか。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 村の出口に集まった4人。


 そこには村人ほぼ全員が、見送りに集まった。


りずむ「お姉ちゃんたち!

    気をつけてね!

    必ず無事に帰ってきてね!!」


クルム「私はイケメン連れて帰るけど、

    ゴリラは永遠に男を探して

    彷徨うかもしれないわ。」


レスベラ「よく言うわ。

     クルムの口撃に耐えられる、

     男がいるとは思えないんだが。」


ヌル「まぁまぁ、ケンカは敵としようね?」


 ヌルが2人をなだめる。


くっきー「ヌルさん、頼んだぜ。

     こんなんだけど、

     この村の希望なんだよ。

     この2人は。


     死なせないでくれよ!」


ごん「魔王と戦う旅か。

   もし俺が戦えたなら、

   付いて行きたいもんだぜ。


   レスベラ、クルム、負けるなよ!」


レスベラ「クルムの男探しに比べたら、

     魔王なんか楽勝だよ!任せな!」


クルム「キングゴリラVS魔王。

    映像化できたらお金になりそうね。」


ヌル「ほら、ほら、みんな見てる!

   心配させちゃうから、仲良くしよ!ね?


   では、行ってきます!

   色々とありがとうございました!!」



 4人と1匹は歩き出した。

 目指すは蓬莱村。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 夜になった。

 4人は野営の準備を始めた。


ヌル「よし!

   今日の夜ごはんは俺が腕を振るうよ!

   うまーるが集めた、謎の食材達と、

   タカキタ村で買ったスパイス!


   今夜はカレーだああああああ!!」


うまーる「かれー?なんだろう?」


レスベラ「ウェーイ!!

     なんかわからんけど、楽しみだぜ!」


クルム「もし不味かったら、

    ヌルは明日、

    カレーの材料になりなさい。」


ヌル「食材…


   よし、まずはこの、謎の鳥を解体だ!」


レスベラ「私がやるよ。

     こう見えて料理は得意なんだぜ!」


 レスベラが右手の親指を立てる。

 左手には、キーウィのような鳥が握られている。


ヌル「じゃあ、鳥はレスベラに任せた!」


うまーる「私も何か手伝うんだよ!」


ヌル「よし、じゃあ、うまーるには野菜を頼むわ。

   タマネギは皮をむいて、くし切り。

   ニンジンとジャガイモは皮をむいて

   サイの目切りに。」


うまーる「わかったんだよ!」


クルム「仕方ないから私も手伝うわよ。」


ヌル「じゃあクルムは、

   このフルーツの皮むきを頼む!


   皮をむいたら、

   できるだけ小さく切ってほしい。」


 ヌルは、マンゴーに似たフルーツと、

トマトのような野菜をクルムに手渡す。


クルム「フルーツを使うの?」


ヌル「うん。これがいい味出すんだよ。」


レスベラ「おわったぜ!」


ヌル「速いな!?マジで!?

   よし!早速、この鳥で

   チキンブイヨンを作ろう。」


 レスベラは包丁も使いこなせるようだ。


 ヌルは湯引きした鳥を、新しく水を張った鍋に

入れ、圧力をかけて煮込んだ。


 別の鍋では謎のフルーツ、トマト?、ナツメグ、ミント、オレガノ、クローブ、ハチミツ、

レッドペッパー、酢などでチャツネ作りを開始。

 ふつふつと沸騰してきたら、弱火にし、

ジャムを作るように根気よく水分を飛ばす。


 3つめの鍋では、炒め物を始めた。

 タマネギ、じゃがいも、ニンジンを炒めている

鍋に、ブイヨンと肉を加えた。

 ここで、クミンとコリアンダーとターメリックを加える。


 弱火で煮込みながら、軽く火で炙ったローリエを加える。

 ここにチャツネを加えて、さらに煮込む。


 ここでも弱火で根気よく煮込む。

 やがて煮汁がトロトロになってくる。

 カレーというよりは、スープカレーに近い。


 鼻が良い、うまーるは目をキラキラさせて見ている。


レスベラ「手がこんでるなぁ。

     これは美味そうだぜ。」


 レスベラはもう、酒を飲み始めていた。


 クルムはポーチをガサゴソしている。


ヌル「できた!

   カレーだああ!


   召し上がれ!」


うまーる「わーい!いただきますなんだよ!」


レスベラ「待ってました!」


クルム「ちょっと時間かかり過ぎね。

    でも、素晴らしい出来だから許すわ。」


 うまーるはカレーを口に含むと、目を丸くした。


うまーる「あちゅ!熱い!


     けど、甘くて、少し酸っぱ辛くて

     おいしいんだよ!

     こんな、おいしいの、

     初めてなんだよ!」


レスベラ「うめえ!!

     こりゃすげえな!」


 クルムは、無言で赤い粉をドッサリかけている。

 その赤い粉が宙を舞う。


 鼻が良いうまーるは、即座にその粉に反応する。


うまーる「痛い!

     クルムお姉ちゃん、これ危ないんだよ!


ヌル「これは、カイエンペッパー!!

   クルム、そんなに入れたら

   辛くて食えないぞ!!」


クルム「何言ってるのよ。

    これが美味しいんじゃない。」


 クルムは赤くなったカレーを、

平気な顔で食べている。


 それを見たレスベラも、


レスベラ「おっ!アタシにもくれよ!

     やっぱこれ、辛い方が美味いよな!」


クルム「アンタの酒、よこしなさい!

    トレードよ!」


ヌル(やっぱり、この2人、

  似てないけど姉妹だよなぁ。

  味覚が同じだわ。)


 2人が赤いカレーをモリモリ食べる姿を、

うまーるは心配そうに見ている。


ヌル「心配ない、世の中にはああいう人がけっこう

   いるもんさ。」


うまーる「そ、そうなんだね。

     アレはオトナの味なのかな?」


ヌル「そんな事ない。

   オトナとか関係ないんだよ。

   辛味は味覚じゃなく、痛み、痛覚なんだ。

   痛覚は快楽系の脳内物質を分泌する。

   それを楽しんでいるのさ。

   辛いものが好きな人たちは。」


うまーる「そうなんだね。

     匂いだけで涙が出るんだよ。」


 ずんだは、フルーツの切れ端や鳥肉を、

喜んで啄んでいる。


 夜は更けていく。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 翌日、この日も一日中歩き通した。


 レスベラがご機嫌で歌を歌いながら歩く。


レスベラ「CERO〜♪Cを取ったら♪ERO〜♪」


ずんだ「ポケ〜♪ポーポポーポー♪ポケ〜♪」


 ずんだは、レスベラの肩を気に入ったようだ。

一緒に歌っている。


ヌル「な!?なんだよその歌!?」

   (あきらかに、日本の現代人の

   ネットジャンキーが歌ってそうだな!)


レスベラ「なんか知らんけど、

     村に伝わる歌だぞ!」


 クルムがレスベラの肩で気持ちよく歌う、

ずんだをジッと見ている。


 クルムはポーチをガサゴソして、

ドライフルーツを取り出した。


 ずんだがレスベラの肩から飛び立ち、

クルムの掌に留まる。


 そして、嬉しそうにドライフルーツを啄む。


 クルムは勝ち誇った顔をしている。


レスベラ「食い物で釣るとか汚いぞ!

     クルムも料理覚えろよ!

     男は料理で釣れるんだぞ!」


クルム「私は料理もデキるけど?

    それに、男を釣れないアンタが言っても

    説得力無いんだけど。


    アンタに釣れるのは、

    オスの魚だけでしょ。」


ヌル「まあまあ、とりあえず、な?


   この旅のメイン?となる夕食は、

   俺が頑張るからさ!


   みんなの得意料理を、

   みんなで一緒に作れば、

   みんなの料理レベルが

   上がると思うんだよ!」


 ヌルは、ケンカになりそうな2人をなだめる。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 辺りが薄暗くなる頃、燃える山がハッキリと

見えるようになった。


ヌル「(地球のトルクメニスタンの地獄の門)

   写真でしか見た事ないけど、

   凄いもんだな…」


 ヌルは唖然とする


レスベラ「木も草も無い山が、

     100年燃え続けるってなんなんだ!?」


ヌル「たぶん、あそこは石炭の産出地。


   人的なミスで炭坑に火が付いて、

   消せないんだと思う。


   俺がいた世界にも、たくさんあるんだ。」


レスベラ「よくわからんけど、消せないんだな。」


クルム「資源が燃え尽きれば、

    消えるという事でしょ。」


ヌル「そうだよ。

   自然に鎮火する時期は誰にもわからない。」


 人工的な灯りが見えた。蓬莱村だ。


レスベラ「なんか、活力というか、

     賑わいというか、感じないよな?」


クルム「夜はみんな寝てるのかしら。」


 うまーるが、何かの気配を察知する。


うまーる「みんな!

     たくさんの生き物に

     囲まれてるんだよ!」


ヌル「敵襲か!!」


レスベラ「面白い!」


 レスベラは刀を抜く。

 クルムは扇を取り出す。


ヌル「襲ってこない!?」


うまーる「たぶん、ネズミなんだよ!

     小さいのが無数にいるんだよ!」


クルム「キモっ。」


 クルムが扇を構え、

くるっと1回転ターンをする。

 すると、4人の周りに風が吹いた。


ザザザザザザザザ

ガササササ


 辺りの草むらの中で、一斉に何かが蠢き、

やがて静かになった。


うまーる「いなくなったんだよ!?」


レスベラ「クルム、毒を撒くときは言えよ!

     危ないだろ!」


クルム「仲間に吸わせるようなヘマしないわよ。」


ヌル「すごいな…」


 一行は蓬莱村に辿り着いた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ヌル「本当に人の気配がしないな。」


レスベラ「夜なのに、

     酔っ払いとか歩いてないよな。」


 村は一目でわかるほど、荒廃していた。


ヌル(なんだろう、とてもイヤな予感がする。)


うまーる「ネズミの臭いがスゴイんだよ!?

     あと、死臭がすごいんだよ…


     !!


     誰か近づいてくるんだよ!」


ヌル(死臭…そうか!


  ここは、うまーるの故郷の星舞村に

  似てるんだ!!


  疫病か!)


 服装で判断するなら、

パンダの獣人族の女性なのだろう。

 チャイナドレスのような服を着た、

パンダ娘が歩いてきた。


パンダ「あらまぁ、こんな夜分に。

    冒険者さんですか?」


ヌル「はい。この村の宿に泊まりたいのですが?」


 パンダの女性はうつむき、悩んでいる。


ヌル(パンダの女性は元気が無い。

  近くで見ると、なんか違和感がある。

  そうだ、模様がおかしい!


  俺が知っているパンダの白黒模様と

  少し違うんだ!

  マーボーさんとも違う!

  白い毛の下の皮膚が黒くなっているのか!?)


パンダ「正直に言います。

    この村には今、

    強い呪いが蔓延しております。


    すぐに、他の村に向けて出発されるのが

    賢明かと存じます。」


ヌル(やはり、先代魔王の遺物か。)


  「俺達は、

   この村を目指して旅をしてきました。


   そして、俺なら、

   この呪いをなんとかできる

   かもしれません。」


パンダ「お医者様…!?」


ヌル「医者では無いのですが、…

   なんというか、魔法で薬を作れます!」


パンダ「わかりました。

    ウチは宿を営んでおりますので、

    ご案内致します。


    申し遅れました、【ぽちぽち】

    と申します。」

 

 ぽちぽちと名乗る女性が歩き出す。


ヌル(おそらく、高い致死率、

  ネズミの大発生、黒く変色した皮膚…


  これは、かつて1500年に渡り人類を苦しめ、

  ヨーロッパや中国の人口を半減させるまで

  追い込んだアレだ。


  菌による感染症の中では最悪の、

  【黒死病・ペスト】!

  早く治療に取り掛からないと、

  大変な事になる!


  マーボーさん、頼む!

  生きていてくれ!)







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