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【台本版】魔王の缶詰()の作り方  作者: ジータ
第二章 新しい仲間
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33 呪いの正体

33 呪いの正体



 辺りは暗くなり、夜になっていた。


ヌル「うまーる、この村の呪いについて、詳しく聞

   かせてくれ。

   症状とか、いつからとか。」


うまーる「ヌルさん、その前に、見せたいものがあ

     るんだよ。

     一緒に来てくれないかな?」


ヌル「見せたいもの?」


うまーる「この村の名前の由来なんだよ。

     星達が踊るんだよ!

     夜しか見れないんだよ!


     歩きながらでも話せるでしょ?」


ヌル「わかった。行こうか。」


 うまーるとヌルは、外に出て歩き出す。


うまーる「この村の呪いはね、先代の魔王の呪いな

     んだって。

     先代の勇者の仲間にね、私のご先祖様が

     いたんだよ。

     すごく強い戦士だったんだよ。

     怒った魔王が、この村に呪いをかけたと

     言われているんだよ。」


ヌル「原因はわからないの?」


うまーる「うん。よその人はあまり近寄らないし、

     村には、お医者さんもいないんだよ。

     大きな国の神官さんを1度呼んだみたい

     なんだけど、回復魔法は効果がないんだ

     って。」


ヌル「うーん。

   どんな人がなりやすいとか、ある?」


うまーる「あのね、貧乏の人が罹りやすいって言

     われてるんだよ。

     農民とか、漁師さんとか。」


ヌル「うまーるも漁師だよね?

   うまーるは無事なの?

   海には誰もいなかったけど、他にも漁師の人

   はいるの?」


うまーる「うん。

     私は猟師のスキルだから、海で大物を狙

     うんだよ。

     他の漁師さんは川の魚を獲るんだよ。


     あのね、伝承があって、

     子供はホタルを捕まえるな、

     てのがあるんだよ!」


ヌル「他には伝承ある?」


うまーる「星舞嫁ぐな、嫁ぐなら嫁入り道具は棺桶

     持ってけ。

     ていうのが、あるんだよ。」


ヌル「呪いはこの村だけ?」


うまーる「うん。ここだけなんだよ。

     この村の人じゃなくてもね、外から来た

     人でもこの村に住むと、呪いにかかるん

     だよ。」


ヌル「この村から出た人は?」


うまーる「よその村に嫁いだ人は、普通に長生きで

     きるみたいなんだよ。」


ヌル(地方病…)


うまーる「見えてきたんだよ!すごいでしょ!」


 うまーるが指を指す方には、光り輝く木があった。

 まるでクリスマスツリーだ。


 点滅する光る星が動いている。

 その姿はまさしく、星が舞っているかのようだ。


ヌル「これは…ホタル…か。」


  (まるで、写真で見た【パプアニューギニアの

  蛍の木】のようだ。)


 幻想的な風景に、しばし見惚れるヌル。


うまーる「あの木はね、御神木なんだよ。

     ホタルの精霊様が住んでるって言われて

     いるんだよ。

     この村の皆はね、この木をとても大事に

     しているんだよ。」


ヌル(地方病、子供はホタルを捕まえるな、

  川の漁師、そして腹水。


  原因は川の水だ。


  子供がホタルを捕まえるとしたら昼間。

  昼間のホタルは水辺の草にいる。

  そしてこれは昔、山梨県あたりで猛威を振るっ

  た地方病…充血吸虫!)


  「呪いの原因、わかったかもしれない。

   少し時間をくれ。」


うまーる「え!?偉い神官様でも、何もわからなか

     ったんだよ!?


     うん。

     私、御神木様にお祈りしてくるんだよ。

     早くお兄ちゃんが、元気に帰ってきます

     ようにって。」


ヌル(【検索魔法ゴーグル】発動!

   ゴーグル神よ、充血吸虫に関する情報が知り

   たい。)


 ヌルの頭の中にゴーグル神の知識が流れ込む。


ヌル(やはり間違いない。これは充血吸虫症!)


ヌル「うまーる、呪いの正体がわかったよ。

   明日、村長と話がしたい。」


うまーる「え?なんで?

     誰にも、どうにもできなかったのに!」


ヌル「俺は、異世界から来たんだ。

   俺がいた世界では、この呪いを克服している

   んだよ。」


うまーる「みんな助かるんだよ。よかった…」


ヌル(この呪いは、充血吸虫は根絶できる。

  しかし…)


  「そういや、うまーるのお兄ちゃんは、

   悪い人に連れてかれたとか言ってたけど、

   何があったの?」


うまーる「10年くらい前なんだよ。

     私とお兄ちゃんで山に狩りに行ったの。


     そしたらね、私が人攫いの人達に捕

     まっちゃったんだよ。

     連れて行かれそうになったところに、お

     兄ちゃんが助けに来てね、私を川に投

     げ入れたんだよ。


     お兄ちゃんは1人、残って戦ったみたい

     なんだよ。

     私が村の人達に頼んで、助けに行ったん

     だよ。


     そのときにはもう、お兄ちゃんも悪い人

     達も、いなかったんだよ…。」


ヌル「そんな事があったのか。

   王都の誘拐事件もそうだけど、

   そんな前からあったんだな。」


うまーる「王都の?

     他にも攫われた人がいるんだね。」


ヌル「ああ、無関係とは思えないな。

   何が起こっているんだろうか。」


うまーる「あのね、わたしのお兄ちゃん、

     マヌルっていうんだよ!

     ヌルお兄ちゃんと似てるね!」


ヌル「ヌルお兄ちゃんは、少し恥ずかしいぞ…。」


うまーる「えへへ。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 うまーるとヌルは家に戻った。


ヌル「そういえば、うまーるは、

   夜ご飯どうした?」


うまーる「ごめんね、さっきヌルさんに出したご飯

     で全部だったから、もう無いの。」


ヌル「まじか!?ごめんよ!」


うまーる「ううん、大丈夫だよ!

     明日探しに行くから。」


ヌル「明るくなったら行こうか。

   俺も手伝うよ。


   俺はゴザで寝るから。

   ただ、やりたい事があるから、まだ起きてる

   よ。


   うまーるは先に寝てくれ。」


うまーる「うん。おやすみなさい。」


 うまーるは寝床で横になった。


ヌル(【検索魔法】発動。

  充血吸虫の対処法を知りたい。


  …


  【プラジカンテル】という特効薬か。


  化学式はC19H24N2O2。

  炭素と水素、窒素に酸素か。

  空気中の成分だけでいけるな。


  【万物創生魔法】発動!)


  ヌルが集中すると、瓶の中に合成されたプラジ

  カンテルが溜まっていった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  翌朝


 うまーるが目を覚ますと、ヌルは起きていた。


ヌル「おはよう。朝ご飯にしよう。」


うまーる「ごはん?今から採りに行くんだよね?」


ヌル「外で見せたい物があるんだ。」


 ヌルはうまーるを外に連れ出す。


 ヌルは地面に手をつき、魔力をこめた。

 小さな地割れが起き、水が噴き出した。

 雨のように水が降り注ぐ。

 水だけではなく、魚も降ってきた。


うまーる「え!?なにこれ?

     魚が降ってきたんだよ!!」


ヌル「ファフロツキーズっていうんだ。

   よく見てごらん、この魚を。

   見た事ないでしょ。目が退化してるんだ。

   これは、地下水の中で生きる魚だよ。」


うまーる「よくわからないけど、ヌルお兄ちゃんは

     すごい魔法使い様なんだね!」


ヌル「うまーるが助けてくれなかったら、ずっと

   缶の中だったんだよ。


   助けてくれてありがとう。感謝してる。

   この魚を焼いて食べよう。

   残ったのは、村の人にわけてあげよう。」


 ヌルとうまーるは朝食を済ませると、海へ向かった。


ヌル「魚の群れ、いないかなぁ。小魚がいい。

   ここは珊瑚が多い、キレイな海だね。」


  (この環境なら、

  おそらく石灰石も簡単に手に入るな。)


うまーる「まって。探知してみる。」


 うまーるは集中した。

 うまーるのスキルは探知だった。


 うまーるは魚の群れを見つけた。


うまーる「あの辺にたくさんいるよ。

     どうするの?」


 ヌルは集中した。

 うまーるが指差すあたりの風を、魔力で動かすイメージ。


 ヌルは風属性の魔法を使い、魚の群れがいるあたりに竜巻を起こした。

 竜巻を操作して村の近くまで動かした。

 村の目前で竜巻を解除した。


 村に戻った2人は衝撃の光景を目撃した。


村人「うまーる!無事か、よかった。

   さっき竜巻が村の近くまで来てな、竜巻が消

   えたと思ったら空から大量の魚が降ってきた

   んだ!

   お前も急いで拾うんだ!」


うまーる「これも、ヌルお兄ちゃんが??」


ヌル「さっきと同じファフロツキーズだよ。

   原理は少し違うけど。」


ヌル「魚の保存食の作り方を教えるよ。

   村の皆へもね。」


 ヌルは魚の干物の作り方を皆に指導した。

 取り除いた魚の内臓で醤油を作る方法も指導した。


 次にヌルは村の元気な子供達を連れて海へ向かった。


 ヌルは海藻を集めるよう皆に指示した。


 集めた海藻の加工方法を教えた。

 出来上がったのは【おきうと】であった。


ヌル「これは【おきうと】っていうんだ。

   俺がいた世界で、かつて飢饉に苦しんでいた

   人達が、海藻を加工して、それを食べて生き

   延びたんだ。


   その海藻に敬意を込めて、

   おきうと【お救人】

   って名前がつけられたんだ。

   これから食べ物に困ったら、みんなで海に海

   藻を採りに行くといいよ。」


  (さて。

  これで村の食料事情はだいぶ明るくなったな。


  そろそろ村の人と腹を割って話さないといけな

  いな。


  充血吸虫の根絶方法。


  そしてそれは、この村からホタルが姿を消して

  しまうという現実でもある。)










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