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【台本版】魔王の缶詰()の作り方  作者: ジータ
第一章 戦う理由
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24 魔物とは

24 魔物とは


 


ギリー「狂鬼病の犬の群れだ!! 気をつけろ!!」

   

 珍しく大声を出すギリー。


マーボー「咬まれたら病気になって、

     必ず死ぬやつだ!!

     絶対に咬まれるな!! ピュイ!」


 マーボーの顔つきも険しい。

 かなり危険な相手のようである。

 大型のイノシシやミノタウロスよりも

迫力は無いが、危険性は上のようであった。

 犬達の牙は、折れていてボロボロだ。

 血の泡を吹いている。


ヌル(これは……。

  狂犬病!!

  たしかに、感染したら助からない!!!)


 狼たちは興奮している個体もいれば、

ヨロヨロと弱っている個体もいる。

 ヌルたちは、襲ってくる狼達を倒した。


 狼たちは、強い力で暴れる。

しかし、ヒヨッコたちは不思議と苦戦しなかった。

 きっと、狼たち健康な状態だったなら、

連携含めもっと違う動きなのであろう。

 狩りが得意な獣であるが、

その動きは力任せに暴れるだけの

単調な動きのバーサーカーであった。


マーボー「必ず全部殺せ!

     じゃないと、

     他の健康な動物達も犠牲になる!!」


 ヌルたちは狼を殺し続けた。

 ヒヨッコ4人組は全員泣いていた。

 ヌルだけは聞こえた。


 狼達の〈ありがとう〉の声が。


 ヌルはスキル【限界突破】を手に入れた。

 肉体の限界を超えたチカラを使える代わりに、

使ったチカラのぶんだけ肉体が損傷するスキルだ。


ヌル(これも使い所が難しいな。)


 狼達の死骸を他の動物が食べて

感染したりしないよう、

ヌルたちはそれを埋葬した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 日が暮れて鉱山前でキャンプをする一行。

 6人は焚き火を囲む。

 マーボーが咥えていた竹筒を置き、話はじめた。


マーボー「この世界のモンスターにはな、

     2種類いるんだ。

     生まれた時からモンスターとされる

     動物である、

     【始祖の魔王】の眷属たち。


     もうひとつが、

     生まれた時は普通の動物だが、

     先代の【災厄の魔王】の呪いにより、

     後天的にモンスターになったヤツだ。


     前者はゴブリンやミノタウロス

     みたいな、野生の動物とは明らかに

     違うからわかりやすい。

     人類のように二足歩行で、

     手には武器なんかを持っているよな。


     後者は先ほどの狼のようなヤツらだ。

     災厄の魔王の呪いに侵されている。

     そして災厄の魔王の呪いは伝染する。

     災厄の魔王野死後も、

     残り続ける呪いにより、

     まだ存在している。


     色々な種類の【災厄の呪い】は、

     まだ現代に残り、

     各地の人々や生き物を苦しめている。

     治癒魔法は効かず、対処法はまだ無い。


     狂鬼病は中でも酷い。

     他者を襲うだけでなく、

     逃れえぬ死の呪いも撒き散らす。

     見つけたら躊躇うな。

     全ての、生きる者のために殺せ」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 

 ー翌朝ー


 一行は鉱山へと足を踏み入れた。

 馬は鉱山前に檻を作り、

置いて行くこととなった。


 岩と砂だらけの風景である。

 植物の緑は少ない。

 生き物の気配が無い、死の大地であった。

 モンスターと遭遇することもなく、

一行は数時間歩き続けた。


ギリー「鉱山で働く者達はどうした?

    資源は枯渇しているのか?」


 散乱し、

放置された掘削道具を見たギリーが不審に思う。


 途中、川があったので休憩することになった。

 川の水は幸いな事に汚染されてないようで、

飲む事ができた。

 魚や水草などの、命の営みが感じられた。

 魚がいない川など、火山地帯の水は

危険な毒を含んでいる事があるので要注意である。


オニオ「ふぅー。疲れたンゴ。」


 オニオは大きな岩の近くに腰をおろし、

岩に寄りかかった。

 突如、岩が動き出した


オニオ「うわあああああンゴオオオオ!!」


 またしてもオニオが巨大なヘビのような生物に

咥えられていた。


ヌル(何回目だよ……)


 地響きを起こし、動き出す巨岩。


ヌル(大きな岩が動き出した!?


  いや、違う! 亀だ!!

  首が長い、巨大な亀だ!!)


ギリー「ロックタートル。

    下位の竜種だ。

    かなり大きい個体だな。

    岩に擬態し、

    水を飲みにきた獲物を襲うのだろう」


 オニオを救うため、

みんなで総攻撃を仕掛ける。

 しかしあまりにも硬いため、

亀には全く効いていない。

 頭と足、それと甲羅は岩のように硬く、

ダメージが通らない。


ヌル(ビチグ使うか?

  いや、川が近いからすぐに洗えて

  匂い取られちまうな……)


 マーボーの首への突きが効いたようだ。

 首が弱点のようだ。

 ロックタートルはオニオを吐き捨て、

首を引っ込めた。


 吐き出されたオニオは走って難を逃れた。

 ロックタートルは、

逃げたオニオを追う気配が無い。


ギリー「獲物を待ち伏せするものは、

    大抵動きが遅い。

    無理に戦う必要はない」


ヌル(コイツのスキルは何だろう?

  欲しいな……)


  「みんな!

   コイツのスキルが欲しいです!

   殺さずに撃退したい!

   なんか良い方法ないかな?」


オニオ「ええ……。めんどくせえンゴ」


ナーガ「どうするよ?

   弱点の首、ひっこめちまったべ。」


マーボー「ガハハハ! 厳しいなこりゃ。

     コイツとやるなら魔法だろうな。

     ピュイ♪」



 ゴゴゴゴゴ……バカアアアアン!

 突如、地面から巨大な岩の手が現れた。

 驚く一同。


ヌル(うおお!? 新手のモンスターか!?)


 岩の手はロックタートルを掴み、

逆さにして地面に置いた。


 ロックタートルは手足をバタバタして

もがいている。


 ナナがニッコリしてピースしている。


ナナ「これでいい?」


 ギリーは驚き、小声で呟く。


ギリー(((これほどの魔法を短い準備時間で!?

   これは……)))



 亀の肺は背中側にある。

 逆さになると内臓が肺を圧迫し

呼吸が困難になる。

 一行はで少しだけ放置し、

意地悪したあと亀を押して戻してあげた。


 ロックタートルは頭と手足を完全に引っ込めた。

 降参したようだ。


 ヌルはスキル【擬態】を手に入れた。


ヌル(擬態だったかぁ。

  守備力系のなんかかと思ってたんだけどな。

  ピンチの時に使えるか?)


マーボー「あの亀野郎は何のスキル

     だったんだ?

     ピュイ♪」


ヌル「擬態でした。」


ナーガ「お前の存在自体が、

    擬態みたいなモンだしなぁ。」


オニオ「微妙ンゴ。」


ナナ「変な事に使うなよ!!」


  ゴスッ!!


ヌル「ごふっ!」


 ナナのリバーブローが、ヌルの脇腹に刺さる。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 歩き続けること数時間。

 鉱山の頂上が見えてきた。

 目的地は近い。


ずんだ「ポゲエエエエエ!

    ポゲエエエエエ!!

    ポゲエエエエエエエエエエエ!!!!」


ヌル「うおっ!? なんだこの大音量は!?」


 ふっと辺りが暗くなる。


 キイイイイイイイイイインッ!


 風を切る音が聴こえる。


マーボー「上だ!!」


ギリー「散れええええええええ!!!」


 マーボーが、ヌルオニオナーガの3人を

掴んで跳んだ。

 ギリーはナナの腕を掴み、後ろに跳ぶ。


 上から攻撃してきたそれは、

地面スレスレで急浮上した。

 巨大な鳥のような生物だった。

 2本の長い尾羽、翼開長20メートルほど。

 頭はハヤブサのようで、

銀色に輝く羽毛を持つ巨大鳥であった。


ヌル(銀色に輝く巨大ケツァール!?)


ギリー「……まさか、コレは……。

   ミスリル……ドラゴン……。

   生態系の頂点に君臨する、最上位の竜種だ。


 ギリーの顔が青ざめる。


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