23 釣り針が痛いンゴ!
23 釣り針が痛いンゴ!
温泉宿に泊まった翌日、
一行はアズマ火山地帯の最奥にある鉱山を目指す。
その鉱山では、
稀にミスリル鉱石が採掘されるようだ。
数ある鉱石類の中でも特に、
埋蔵量が少ないミスリル鉱石。
それを探す今回の旅も過酷になりそうだ。
ヌル「おはよう諸君!
今日も太陽がまぶしいね!
世界はこんなにも光に満ちて輝いている!!
俺たちも輝く未来に向かって、
進もうではないか!」
ご機嫌な様子で、
オニオとナーガに話しかけるヌル。
一夜の経験がヌルの大きな自信となったようだ。
ゴスッ!!
ナナのリバーブローが、ヌルの脇腹にめり込む。
ヌル「ごふっ!?」
オニオ「どうしたんだヌルのやつ?
今日はやけにご機嫌ンゴ。」
ナーガ「あの顔のアザ見ろよ。
アイツ昨日、女湯の覗きやったのが
ナナちゃんにバレて、
一晩中説教だったらしいべ。
頭殴られすぎて、
おかしくなったんじゃね?
そっとしておくべ」
オニオ「ン、ンゴ……。」
一行は奥にある、
一際大きな鉱山を目指して歩く。
東の方は海岸のようだ。
海と砂浜が見える。
ヌルは砂浜に横たわる、
黒い大きな魚のようなものに気付く。
ヌル(なんだあれ? 魚か?
もう食えねえだろうなぁ)
(……た、たすけて……)
今にも消え入りそうな、
か細く弱い声がヌルの頭の中に届いた。
ヌル「んおっ!? 助けを呼ぶ声が!?
どこだ??
美少女こい!!」
ヌルが周りを見渡しても誰もいない。
どうやら砂浜のアレが助けを呼んでいるようだ。
ヌル「みんな!
砂浜の黒いやつが助けを呼んでるんだ。
ちょっと行ってみたい。
お願いします!」
駆け寄る一行。
砂浜に打ち上げられていたのは、
イルカのような生物であった。
だいぶ弱っている。
ナナ「かわいそう……。治してあげるね!」
ナナは不慣れな手つきながらも、
懸命に回復魔法をかけた。
ヌルは自分のカバンから缶を取り出した。
缶を開けると中には新鮮な魚が入っていた。
それはナナが作った缶詰であった。
ヌルは魚をイルカに食べさせてあげた。
ヌル「いつも食ってる魚より、
不味いかもしれんけど食え!
飲み込め!」
ナナ「私のもあげる! 早く元気になってね!」
ナーガ「仕方ねえだ。俺のも食え!」
オニオ「半分だけンゴ。 死ぬなよ!
死んだらお前を食うンゴ。」
マーボー「ガハハハ! 肉も食え!」
マーボーはお金持ちなので、
いつでも高級品の干し肉を持ち歩いている。
イルカの喉に干し肉を押し込むマーボー。
ヌルたちの食糧事情は、ナナのおかげで明るい。
保存食や現地調達の他に、
街で買ったり現地調達した生鮮食品を
ナナが缶に詰めて常温保存できていた。
川で採った魚だったが、
イルカは喜んで魚を食べた。
みんなで海に押し込むと、
イルカは嬉しそうに海へと帰っていった。
(ありがとう、ヌルさん、皆さん……。
この御恩は忘れません)
ヌルはスキル【バブルリング】を手に入れた。
絶妙なコントロールで空気を吐き出す、
スキルのようだ。
ナナ「仲間のとこへ帰れるといいね!」
ヌル「そうだな。」
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一行は見通しの良い海岸をしばらく進む。
波打ち際で大きなエビがピチピチと跳ねていた。
オニオ「ラッキー!
けっこうデカいンゴ!
ロブスターンゴ?」
オニオはエビを捕まえようと近寄る。
ギリーが叫ぶ。
ギリー「それはドラゴンの尾だ!
攻撃が来るぞ!!」
ずんだ「ポゲエエエエエエエ!」
エビのような赤いトゲトゲは、
大蛇の尻尾の先端であった。
砂に隠されていた大蛇の尻尾が鞭のように、
オニオを薙ぎ払う。
吹っ飛ばされたオニオ目がけて、
砂から飛び出した大蛇の頭が、
オニオを捕食しようと襲い掛かる。
マーボーが素早い反応で
大蛇の咬撃を槍で受け止める。
大蛇は一度退いた。
退いてすぐに、マーボーへ向けて
毒液を飛ばした。
マーボー「うおっ!?」
マーボーはモロに毒液を浴びてしまう。
舞い上がった砂がおさまり、
大蛇の全容が明らかになる。
頭部の目の上にツノがある。
ギリー「自身の尾で釣りをするドラゴン。
【ルアードラゴン】だ。
下位の竜種だが、手強いぞ」
ギリーはいつになく、真剣な顔つきになる。
ヌル「見た事がある!
尻尾に虫のルアーがついてて、鳥を釣って捕
食する新種のヘビだったな。
中東の砂漠の恐ろしいハンター
【ツノクサリヘビ】!」
(しかしデケェな。
ニシキヘビの何倍もデカいぞ。
地球のヤツは、そんなデカくなかったはず。
異世界ヤベエな!!】
マーボーを捕食しようとする大蛇。
盾を構え、大蛇の横から大蛇の顔めがけて
体当たりを試みるヌル。
大蛇は、巧みに横の動き
【サイドワインダー】で躱す。
躱した先にナーガのパンチがカウンターで入る。
目のあたりに当たったようだ。
ナーガ「やっぱりコイツ硬えよ!」
ナーガのパンチはたいしたダメージには
なっていないが、効いたようだ。
オニオはそれを見逃さなかった。
オニオは弓を構え、時を止めた。
チャンスは、一度きりである。
オニオの放った矢が
大蛇の鼻の穴の部分を撃ち抜く。
大蛇はとぐろを巻き、
尻尾を高速で振り音を出す。
「ギリギリギリギリギリギリ」
大蛇はかなり怒っているようだ。
全身の鱗が逆立っている。
その姿はまるで【ヘアリーブッシュバイパー】のようである。
ヌル(大蛇の頭の上の空気がモヤモヤしている?)
大蛇は突然、大ジャンプをした。
体が平らに変形し、
トビヘビのように滑空をし、逃げ去った。
ヌル(空を翔ける龍にしか見えねえな……
なんで逃げたんだろ)
ヌルはスキル【ルアーリング】を手に入れた。
ルアーを巧みに操る、釣りのスキルのようだ。
ナナ「どう?
すごいでしょ!?
ヘビさんは暑いの苦手なんだよ!
頭の上の空気を魔法で熱くしたの!」
ナナはvサインをしながらドヤる。
ヌル「ああ、すごかったよ。
俺にはやらないでくれよ?
まだハゲたくないから」
ナナ「させないでね!」
ドスッ!
ナナのボディブローがヌルの横腹にめり込む。
ヌル「なんでっ!?」
マーボーは咄嗟に顔をガードしていたようで、
毒の影響はほぼ無かった。
ギリーが解毒の魔法を使うと、
一行はすぐに旅を再開した。
あの種が飛ばす毒は、天敵の目を潰す毒である。
目に入ると危険な毒であった。
一行は馬に乗り進む。
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鉱山が見えてきた。
ずんだが鳴く。
大音量だ。
ずんだ「ポエエエエエ!!」
ヌルたちは、オオカミ型のモンスターの群れに
取り囲まれていた。




