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【台本版】魔王の缶詰()の作り方  作者: ジータ
第一章 戦う理由
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15 丸見えよりもギリ見えない方がエ●い件

15 丸見えよりもギリ見えない方がエ●い件



ー水晶の洞窟内ー


ずんだ「ポゲェー! ポゲェー! ポゲェー!」


 またも、ずんだが大音量で鳴く。


ヌル(強敵か? さっきより声がデカいぞ)


オニオ「うわあああああ!」


ヌル「うおっ!?」


 ヌルが声のする方を見ると、

オニオが巨大なワニのようなモンスター

に呑み込まれそうになってる。

 オニオが立っていたはずの位置から、

だいぶ洞窟の奥にいるワニのような

巨大生物に咥えられていた。


ヌル(何があった!?)


 ワニ?はオニオを丸ごと呑み込もうとしている。


ヌル(ヤバいぞ!! どうする!?

  しかしこのワニ?珍しい見た目だ。

  白い、真っ白だ。


  もうね、見た目が怖えよ。

  ワニとかトカゲってか、

  もうほとんどドラゴンだよコレ。


  なんとなしないと、

  オニオが呑み込まれるぞ)


ヌル「あっ!」


  (あれが使えるか!?)


 ヌルは咄嗟にスキルの【ビチグ毒】を、

オニオにかけてみた。

 吐き出されたオニオ。


オニオ「オエエエエエエエンゴ」


 オニオが自分の匂いで吐いている。


ヌル(オニオの事は今日から、

  ウン●マンと呼ぶ事にしよう)


(((ひさし、ぶり、の、ごはん……)))


 ヌル頭の中に声が響く。


ヌル(この巨大ワニ?の声か!)


 咄嗟に岩陰に隠れたナーガに向かって、

白ワニは何かを伸ばして攻撃しているようだ。


ヌル「舌か!」


  (カメレオンのように伸びる舌だ!

  て事は、コイツはトカゲの仲間か。


  よく見ると巨大な体躯に比べて、

  手足は極端に小さい。

  もう少しでヘビになりそうな感じ。

  そもそも洞窟に住んでる生物だ。

  洞窟で生きるために進化した体だ。

  コイツはどうやって獲物を見てる?

  音か?)


 岩陰に隠れたナーガに高速で連続の、

舌の鞭を打ちつけるトカゲ。

 マーボーがナーガの前に立ち塞がり、

これまた高速の槍捌きで舌を払う。


 伸びる舌vs伸びる竹槍。


ヌル(早すぎて、何やってるか見えねえよ。

  互角に戦うマーボーさんやっぱすげえよ。

  ほんとに笹食ってる場合じゃねえよな。

  俺も肉いっぱい食べて、早くマーボーさん

  みたいになりてえな。


  奴がもしも、音で獲物を探知してるなら……)


 ヌルは落ちてる石を複数掴んで、

誰もいない方に投げてみた。

 離れた所で音が鳴ってもトカゲは反応しない。


ヌル(熱だ!

  奴はヘビのように獲物の体温を探知してる!)


ヌル「みんな! 熱だ!

   奴は獲物の体温を探知してる!」


ヌル(言った所でどうなるのか? わからん!)


 ギリーはすぐさま魔法で複数の火球を作り出し、トカゲの周囲に展開した。

 しかしトカゲは相変わらず、

ナーガとマーボーに一直線だ。


ヌル(高すぎる温度には興味が無いらしい。

  奴は空腹だ。

  おそらく餌が少ない環境なんだろう。)

  ならば……)


 ヌルは先ほど集めたコウモリたちを、

袋から取り出した。


ヌル「ナナ! こいつを焼いてくれ!

   温める程度でいい!」


ナナ「わかった!」


 ナナの貧弱な炎魔法で、

ホカホカコウモリのレアローストができた。

 ヌルはそれを持って、トカゲに横から近付いた。

 そしてそれを差し出した。


 ヌルはスキルのおかげで、襲われない。

 トカゲは喜んでコウモリを食べた。

 巨体のわりに、

数匹のコウモリで満足したようだ。


ヌル(きっと鈍重な動きから推測するに、

  代謝をおさえているんだろう。

  少ない餌で命を維持するために。)


 トカゲは満足したのか、

洞窟の奥深くに帰っていった。


(ありがとう……)


 とても小さく、か細い声だったが、

ヌルにはたしかにそう聞こえた。


 ヌルはスキル【暗視】をゲットした。


ヌル(熱を利用した視力、サーモグラフィー

  のようなスキルか?

  赤外線カメラだと最高なんだが……。


  しかし、おかしいな?)


 ヌルは不思議に思った。

 今回は白トカゲを殺していないのに、

スキルを貰えたのである。


ヌル(そういえば、相手を殺していないのに

  スキルを貰えた!?

  スキルがレベルアップしてる!?


  相手が敗北を認めたら、

  スキルをゲットできるのかな?

  これからは、逃げる相手にはトドメを刺さずに

  逃してあげることにしよう。)


 ナーガがトカゲの尻尾の先を握りしめていた。

 スキルで尻尾を握ったときに、

トカゲが反射的に自切したのだろう。

 尻尾がウネウネ動いてる。

 ナーガは尻尾をバッグに詰め込んだ。


ヌル(あのトカゲが自切できるってことは、

  あのトカゲは、ここの生態系の

  頂点じゃない?

  考えただけで恐ろしい話だな)


 洞窟をさらに進むと地底湖が見えてきた。

 水が綺麗である。

 オニオが水を飲むために、地底湖に近付いた。

 またも、ずんだが鳴く。


ずんだ「ポエーッ! ポエーッ!」


 巨大な水柱を上げて、

水の中から何かが飛び出てきた。


 ヌル(大きい!

   なんだ? 姿がハッキリ見えないぞ。

   生々しい肉っぽいのが見える。

   何かの内蔵みたいだな)


 マーボーは気配のようなものを察知して、

攻撃を受け止めた。

 マーボーの竹槍が受け止めた“何か”

に松明の炎が反射している。

 ガラスのような透明な外殻を持つ、

モンスターであった。

 ヌルは剣を振ってみる。


 とても硬い感触を剣から感じるヌル。

 手が痺れる衝撃であった。


ヌル(硬い! 巨木のようだ)


 ギリーが風の魔法で砂埃を巻き起こす。

 モンスターに砂が纏わりつき、

その全容が明らかになる。


ヌル(エビだ!

  ハサミがある!

  これは、巨大なザリガニだ!

  透明な体の巨大なザリガニだ!


  ……しかし残念だな。

  完全に透明なら、最強の捕食者だったろうに。

  なんで内臓だけ丸見えなんだよ。


  エロではさ、

  完全に脱いじゃってるやつよりも、

  見えそうでギリ見えない服装の方が

  エロスを感じるよね。

  着エロとか。

  コイツのチラ見せはエロスなんかな?

  そんなワケないか。


  そういや、通販でも【道程を殺すニット】

  ってのが爆売れしてたらしい。

  ああいうの、想像力が刺激されるよなぁ。

  あんなの着てるオネーサンに

  誘惑されてみたいわぁ。


  てか、そんなこと考えてる場合じゃねえよ!

  このバケモンどうすんだよ!?)


 半透明の肉体。

 これもまた、光が射さない洞窟という環境に

適した、進化した形態なのであろう。


ヌル(ザリガニの触覚が動いている。

  俺たちをエサと認識してるのだろう。


  コイツは甲殻類だからなのか、

  何を考えてるかよくわからん。

  話は通じるのか?)


  「みんな!

  できればコイツを殺さずに、

  撃退できないかな!?」


マーボー「ならば触覚でも狙ってみるか?

     甲殻は硬すぎて、俺の槍ではダメージが

     通らんなぁ。 ピュイ♪」


ヌル「ナーガ!

   俺と2人で左右からコイツの背後に

   回り込んで触覚を狙おう!」


 ザリガニには左右大小4本の触覚がある。


ヌル(全部の触覚を壊したら、

  餌を取れなくなって死んでしまう

  かもしれない。

  片方は残したいな。)


 マーボーが二本のハサミを

竹槍で受け止めている。

 腕がプルプルしている。

 王国最強のマーボーが力でやや、負けるようだ。


 ズンッ! ズンッ!


 ヌルとナーガが左右に走り出した時、

ザリガニは竹槍を離し、

左右のハサミを地面に突き立て、体を持ち上げた。

 

 次の瞬間、物凄い速さでザリガニは

尾を前に振り上げ、一回転しバク宙をキメる。


ヌル「サマーソルト!?」


【サマーソルト=とんぼの宙返り】

 某格闘ゲームのキャラが使う、

蹴り技のモデルにもなっている。



 マーボーは咄嗟に防御の構えを取ったが、

弾き飛ばされ壁に激突。

 壁は崩落し生き埋めになった。


ヌル(うおお!?

  王国最強のマーボーさんがやられた!?

  助けるべきか!?


  いや、俺たち前衛は敵を引きつけないと!)


ヌル「ナーガ!

   俺たちでやるしかない!

   とにかく触覚とか目を狙おう!


   コイツは視力が悪いはず。

   たぶん目をケガさせても大丈夫!

   てか、甲殻硬いし、

   狙えるとこがソレくらいしかないぞ!」


ナーガ「ひいいい! わかったよ!」


 ナーガは完全に怯えている。


ヌル(俺だって、

  魔物から狙われないスキル無かったら、

  こんなん近寄りたく無いわ。)


  「オニオも援護頼むぞ!」


 オニオが親指を立てて、ドヤ顔している。

 よく見るとザリガニの目に矢が刺さっている。

 1日1回までのスキルを

使っってしまったようだ。


ヌル(オニオ……。

  コイツは今日はもう使えんな……)


 遠くからの矢は有効であった。

 オニオが続け様にガンガン矢を放つ。

 的が大きく、快適なようだ。


 この巨大ザリガニは基本的に動きが鈍重で、

大きいから的がデカい。

 決定的なダメージにはならないが、

視力が無いのもあり、

顔に矢が当たるのを嫌がっている。

 オニオは、ここぞとばかりに矢を撃ち込む。


 ヌルはザリガニの正面に立ち、

盾と剣をわざとハサミに咥えさせた。


 ポコポコポコ!

 ポカポカポカポカ!


 ザリガニの背に馬乗りになって殴るナーガ。

 ナーガの攻撃は貧弱だ。

 とはいえ、

目や触覚に当たるのはやはり不快なようだ。

 ポキッと短い触覚が折れた。


ザリガニ「ギイイイイイイイイイイイッ!!!」


 突然、大音量で鳴き声を上げるザリガニ。


ヌル(伊勢海老みたいに威嚇の音を出せるのか!

  コイツもここの生態系では、

  捕食される側なのか!?)


 ズンッ! ズンッ!


 ザリガニはヌルの剣と盾からハサミを離し、

ハサミを地面に突き立てた。


ヌル(ヤバいぞ!

  アレが来る!

  俺に対する攻撃!?)


 ヌルは全力で左に跳んだ。


 物凄い蹴りのように尻尾を振り上げるザリガニ。


オニオ「ぎゃあああンゴッ!」


 扇子のような尾ビレによる物凄い蹴り?

で生まれた風圧で、

オニオが飛ばされ壁に激突し、倒れた。

 オニオは起き上がれない、動かない。


ヌル(まじか!

  コイツ、ソニックブ●ムまで使いやがる!?

  アレが音速の衝撃波ならオニオは死んだな……


  まぁ爆発みたいな音してないし、

  そもそも音速なんて超えないだろうし、

  大丈夫だろ。)


 さっきのザリガニの1連の動きで、

ザリガニの背に乗って攻撃していたナーガは

振り落とされていた。

 ザリガニはナーガの方を向いている。


ヌル(ナーガが危ない!)


ナーガ「ひいいい! 神の見えざる手!!」


 ナーガの手には白い石が握られていた。

 ザリガニの動きが止まる。

 触覚を激しく動かしている。


ヌル(ザリガニがひどく動揺している!?)


 ザリガニは謎の攻撃に怯えているようだ。

 物凄い速さで後退し、水の中に逃げ込んだ。


ヌル(助かった、のか?)


 どうやら撃退できたようだ。

 ヌルはスキル【スケルトン】手に入れた。


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