14 焼肉定食
14 焼肉定食
ーワイハアンズ岩石地帯ー
オークに勝利した夜、
一行は洞窟の前で野営をしていた。
焚き火の前でポーッとしてる、
ヌルの隣にマーボーが座り、
ヌルに話しかけてきた。
マーボー「元気ねえな。ピュイ♪
さっき吐いてたな。
血は慣れないか?」
ヌル「はい。
あのオーク、なんだか腹減ってたみたいで。
なんか、必死に生きてたのを
殺しちゃったんだなって」
マーボーは竹筒を置いた。
マーボー「アイツラも生きるために、
食わなきゃいかんからな。
アイツラには、
俺たちを食う権利がある。
でも、俺たちにも生きる権利がある。
あいつらが襲ってきたら、
俺たちは戦わなきゃならん。
結果、襲ってきたやつらが
死んでしまうのは仕方ない。
俺たちだって同じことをしてるんだ。
さっき食った麦だって、
アレは麦の種だ、子供だ。
植物だって生き物だ。
草食動物だって、他の生き物の命を
貰わなきゃ生きてはいけない。
生きるということは食う事だ。
どんな生き物も、
生きるために他の生き物から何かしら、
奪ってるんだ。
まぁ、共存とか共生とか、
そんなやつだな。
それと、一部の植物は生きるために毒
を持った奴なんかもいる。
身を守るために、自分を食った動物を
殺したりすることもあるんだ。
まぁ自然の摂理だ。気にするな。
焼肉定食ってやつだな」
ヌル(ここは笑うとこなのか?
ツッコミいれた方がいいのか??
スルーしとこう。)
「はい、ありがとうございます」
マーボー「ちゃんと食って寝て、元気出せよ!
ガハハハ!」
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ー翌朝・岩石地帯水晶の洞窟前ー
大きな洞窟がポッカリと口をあけている。
ワイハアンズに数ある洞窟の中でも、
ここは最大規模の洞窟であった。
奥も深く、中の構造も危険なため、
冒険者も敬遠しがちな洞窟だ。
そのため、
まだ水晶が採れる可能性があるとのことであった。
一行は洞窟に入った。
馬は洞窟の外に置いていく事に。
ギリーとナナが魔法で岩の檻を作った。
ヌルの提案でその外側に、
針金と雷の魔法を応用した電気柵をつけた。
そこに干草と水を用意した。
ヌル(こんだけやりゃあ、馬は大丈夫だろ。
ヌルはたいまつ係だ。
洞窟を突き進むとまた、ずんだが鳴き出した。
ずんだ「ポーッポーッポーッ!」
バタバタと音が聞こえる。
モンスター襲来である。
ヌル「これは飛ぶやつだ!
上からくるぞ!」
それは巨大なコウモリ型モンスターの
群れだった。
ヌル(それにしても、ずんだは大活躍だな。
俺より役に立ってね?)
巨大な化け物コウモリを、
マーボーが竹槍で突いている。
数が多いためか、珍しくギリーも
魔法で攻撃している。
炎の矢が的確に敵を撃ち落とす。
ヌル(すげえ!
さすが魔王討伐隊唯一の、生還者だ)
コウモリの動きが早すぎて、
ヒヨッコ4人はその動きを追えない。
ヌルはコウモリの意志を読み取ろうとするも、
コウモリが多すぎて、
コウモリの言いたい事がよくわからない。
血吸いコウモリなのであろうが、
ヌルたちを食うというよりは、
ナワバリを荒らされて怒っているようだ。
ナーガは拳で応戦しているが、
拳は空を切っている。
オニオは頭を抱えてしゃがみ込んでいる。
ヌルは盾を構えながら剣を振り回すも、
当たらない。
ナナは恐怖で震えながらも、
味方に守備アップ魔法をかけている。
そのおかげで負傷者は出ていない。
ヌルは必死に叫んでみた。
ヌル「攻撃をやめてくれ!
お前たちが攻撃しなければ、
こちらも何もしないから!」
しばらくすると、
コウモリたちの攻撃は無くなった。
ヌルの言葉が届いたのか、はたまた
コウモリが全滅したのかはわからない。
とりあえず売れるかもしれないということで、
ヌルはマーボーが撃ち落としたコウモリたちを
ナーガと共に袋に詰められるだけ詰め込んだ。
ヌルはスキル【エコーロケーション】
を手に入れた。
ヌル(音波をだして、その反響で立体的に、
暗闇でもモノを視れるようになるスキルか。
これは使えそうだ。)