13 幼馴染はジャガイモ以下
13 幼馴染はジャガイモ以下
ーノブオ森林地帯・草原付近ー
森の出口あたりにさしかかったところで、
一行は不思議な鳥の鳴き声を聞いた。
鳥「ポーッポケッキョッ! ポーッポーッ。」
ハトとウグイスを足したような感じである。
ケガをして飛べないのか、
飛ばない鳥が、ナナの方にへ歩み寄る。
その小鳥は雀くらいの大きさで、
色は鮮やかな緑色だった。
メジロやウグイスに似ているが、
体は丸くてずんぐりしてる。
目つきは悪く顔はブサイクである。
なぜかナナに懐いている。
ナナの脚に体を擦り付けて、
ポーポーと鳴いている。
ナナは小鳥を拾い上げ、
一緒に連れて行くことにした。
ナナ「なんだろう。一緒に行きたいみたい」
ギリー「見たことがない鳥ですね。
まぁいいでしょう」
小鳥とギリーの目が合う。
不思議な緊張感が張り詰める。
ナナ「ねえヌル、この子の名前どうしようか?」
ヌル「俺の故郷のずんだもちに似てるなぁ。
【ずんだ】でよくない?」
ナナ「ずんだもちっていう種の鳥に似てるの?」
ヌル「いや、ずんだもちは食い物だよ。
食い物に困ったら、
そいつ焼き鳥にしようぜ」
ヌルはナナに殴られた。
ヌル(俺はジャガイモ以下なのか??)
ナナは【ずんだ】という名前を
気に入ったようだ。
名前は【ずんだ】に決定した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーワイハアンズ岩石地帯ー
一行は森を抜け、
ワイハアンズ岩石地帯に着いた。
ヌル(すげえ。
カナダのダイナソー国立公園?
だったかな?
大型の恐竜の化石がたくさん出るとこ。
そこみたいに、
巨大な岩山がたくさんある。)
洞窟が見えてきたところで、ずんだが
けたたましく鳴いた。
ずんだ「ポーッ! ポーッ! ポーッ!」
一行はオークの群れに囲まれていた。
2足歩行の豚のモンスターである。
手には棍棒を持っている。
腰には、汚い布が巻かれている。
ナナの方に向かって来るオークに対して、
ヌルは盾を構えて体当たりした。
体重差で押し負け、弾かれるヌル。
ヌル(強い!)
体格差がそのまま圧倒的な力の差になる。
オークは「フゴーッフゴーッ」と、
涎を垂らしながら息が荒い。
ヌル(そんなに空腹なのだろうか?
俺の力ではオーク相手に防戦一方だ。)
ヌルは高校の体育で柔道を習ったことを
思い出した。
ヌル(そういや、柔道って、相手の力や体重を
利用したようなワザあったよな。
いまいち思い出せん。
真剣にやってなかったからなぁ。
ちゃんと先生の授業聞いとけばよかったよ。)
オークはヌルと相撲しつつも、
ナナしか見えてないようだ。
ヌル(とりあえずオークは俺の方を見ていない。
足元がお留守だな)
ヌルはラグビーのタックルのように
オークの脚にしがみついた。
ヌルの狙い通り、オークはコケた。
コケたオークの背中に、オニオの矢が刺さる。
別のオークが、オニオに向かって行った。
ヌルはそのオークの背後に周り、
足首の腱に斬りつけた。
またもオークがコケる。
コケたオークの頭に少し大きな石が落とされた。
ナナ「ごめんなさい! ごめんなさい!」
立ちあがろうともがくオークの背中へ、
ヌルは剣を突き立てた。
絶命するオーク。
生々しい血の匂い。
ヌルは吐いた。
ヌル「オエエエエエエエ」
吐きながらヌルは確信した。
ヌル(コレだ!
足元や背後を狙って敵の動きを止める。
正面からやり合う必要なんてない。
これは、俺にしかできないことだ。
ただやっぱり、
魔物とはいえ殺すのは抵抗があるな。
勝てたけどなんか落ち込むな)
一行は、オークの群れを殲滅した。
馬とナナはギリーの守りで無傷であった。
ナーガはいそいそと、
オークのパンツをカバンにしまっていた。
ヌル(絶対臭いだろそれ)
オニオは動きながらの弓の扱いに
苦労していたようだ。
攻撃を避けながらの弓の扱いは
かなり難しいようである
ヌル(狙撃手が落ち着いて行動できるように
前衛の俺やナーガがもっとシッカリ
しなきゃなぁ。)
ヌルはスキル【バーサーク】を手に入れた。
攻撃力が2倍になる代わりに
飢餓状態になるスキルだ。