121 絶対絶命
121 絶対絶命
本編は後半になります。
最終章:これまでの戦いまとめ
ーー海戦ーー
◯人魚女王VS
魔王海軍四天王筆頭・リヴァイアサン●
決まり手 ヨーリーによる水圧操作
人魚セイレーン連合軍vs魔王海軍四天王戦
により、魔王海軍四天王レヴィアタン、
クラーケン、シーサーペント死亡
魔王海兵全滅
ーー海岸での戦いーー
◯ヌルvsゴーレム兵●
決まり手 ヌルの魔法による電磁パルスで
約1万のゴーレム兵全滅
ーー空の戦いーー
ドワーフ人間連合軍vs魔王空軍
◯ムラ率いる連合軍vs
魔王空軍四天王 スピリット・オブ・フラム●
決まり手 消火器
残る空軍四天王(シロイナワ高地の死闘で死亡)
反重力魔法・ノドン
感染症媒介害虫操作・ベルゼ
毒の雨合成魔法・ダビス
他の空軍兵や飛竜型キメラの大多数は、
ちまきとスプライトにより殲滅。
ーー魔王城前広場戦ーー
◯国連軍総大将マーボーvs
魔王軍武の四天王クマー●
決まり手 凄く強い突き
陸の8将(改造蟻)
●ポネラvsこまちゅ&レイカ◯
決まり手 寄生キノコ
女王vsゼット (引き分け)
決まり手 命と引き換えによる封印術
バーチェルvsアカマル (引き分け)
決まり手 アカマルによる命と引き換えの魔法
共に死亡
フィアーvsゴリアシ (引き分け)
決まり手 フィアーによる毒でゴリアシ死亡
ゴリアシによる関節技で戦闘不能
ディノvsフレームアイ (引き分け)
決まり手 フレームアイの空間魔法による
hpリンクにより
フレームアイ死亡
ディノは戦闘不能
アギトvsヘンゼル (引き分け)
決まり手 ヘンゼルの捨て身の特攻により
ヘンゼル死亡
アギトは戦闘不能
●テラーvsスプライト◯
決まり手 斬撃と熱による攻撃で死亡
●ジャックvsちまき◯
決まり手 ちまきの全力炎魔法による焼死
●女王+改造アリ軍vs
スカディ軍(ほえほえ、ヨシビト、ゼルファ他)◯
決まり手 協力型最上位氷魔法による凍死
女王は味方を盾にして耐える
◯魔王軍処刑人ゲシュタルトvsほえほえ●
決まり手 奇襲により、ほえほえ死亡
●魔王軍処刑人ゲシュタルトvsエッジ◯
決まり手 断罪の剣による斬撃で
ゲシュタルト死亡
エッジは戦闘不能の重傷
●魔王軍知の四天王・ディエヌvsソナ◯
決まり手 マイクロウェーブ波(電子レンジ)
により、ディエヌ爆死
この戦いにより、ユイ、ぱとか、
ムラ、ヨルグ、カズチョン死亡
●魔王軍知の四天王・ネクロvs
ヒロミチ、トモシチ、アキラ◯
決まり手 魔法具による若返りからの連携技
禁魔法使用ペナルティによる加齢で
トモシチ、アキラ死亡。ヒロミチ戦闘不能。
●魔王軍知の四天王・ヴァイトスvsエル◯
決まり手 超加速電磁砲によりヴァイトス死亡
この戦いでアローヒ、アッチ、ともっちょ、
キムスケ、アルベルト、エミー、
ヨシビト、ゼルファ死亡。
残る知の四天王・レイドは
ナミノエでヌル達に敗れ死亡。
ーー魔王城戦ーー
◯ヌルvs魔王直属四天王・参謀ギリー●
決まり手 缶詰封印により
イムの御石鉢に収納、浄化
◯レスベラvs魔王直属四天王・女帝キボンヌ●
決まり手 寸止めの蹴り
◯クルムvs魔王直属四天王・死神クレメンス●
決まり手 即死魔法反射による自滅
◯うまーるvs
魔王直属四天王・闘神ライガ(マヌル)●
決まり手 記憶を取り戻したマヌルが自決
この時点での国連軍の主な生存者
こまちゅ、レイカ、ソナ、アリー、りおん
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ーーヌルと魔王が戦う闘技場ーー
ヌル「くらえ!
これが、やり直した40年の重みだ!
今日俺は!
お前に奪われた、全ての物を取り戻す!!!」
ヌルは地中に流した魔力で
土の巨大な腕を創り出す。
その拳が魔王に向かう。
魔王は避けるべく動こうとするが、
自身の足の異変に気づく。
魔王の足首が
地面から伸びた小さな手により
ガッチリ掴まれていた。
巨大な土の拳が魔王を叩き潰す。
ヌルは次々と土の手を創り出し、
モグラ叩きのように魔王を打ちのめす。
ヌルは重圧から解放された。
土埃が晴れると、そこには魔王が立っていた。
激しく打ちのめしたはずの、
魔王の顔には傷一つない。
ヌル「自動蘇生と自動再生か。
それに加えて、重力を操る闇魔法と、
それを利用したフェンシングのような剣技。
強い。やはり倒せないか……。」
魔王「闇魔法【影絵人形】」
魔王は起き上がり、ステップを踏んだあと、
何も無い空間を突いた。
ヌルは胸に激しい痛みを覚え、
うつ伏せに倒れ込む。
胸からドクドクと血が流れる。
ヌル(心臓を突かれた!? なぜ、どうやって!?
俺に突きは当たらなかったはず。
影絵人形……。
自分の影で、俺の影を突いたのか。
まずい……。治癒の魔法を急げ。
心臓を止めるんだ。
失血を防ぎ、傷を塞がなければ!)
ヌルはスキル【擬死】を使った。
ヌルは心臓を止め仮死状態となり、
生者の気配が消える。
ヌルの死を確信した魔王は振り向き、
ヌルに背を向けた。
ヌルは魔法で心臓の動きを止め、傷を塞ぐ。
同時に、自分の体の目の前に
自分の死体の映像を創り出す。
ヌル(理想としては、誰かが駆けつけるまで
こうして死んだフリを続けたい。
隙を見て青薔薇の縛鎖で捕えれば勝ちだ。)
ヌルの擬死の効果が切れた。
息を潜め、静かに治癒魔法を使っていた
ヌルであったが、
魔王は僅かな異変を察知し、振り返った。
危険を察知したヌルは仕方なく、
土に魔力を込め、先ほどと同じく
魔王の足首を捕えるべく土の手を伸ばす。
足元を警戒していた魔王は軽く躱す。
土を動かした際に、ヌルの本体は
土に埋もれて身を隠した。
映像の自身を動かし、
魔王の注意を引こうという作戦であった。
しかし魔王は異変に気づく。
重力の魔法をかけても、動き回るヌルの偽物。
重力の影響で虚像を作り出している水蒸気が
不自然にゆらめく。
魔王「幻影か。小癪な。
しかし、なぜ生きている。
しぶとい虫ケラめ。」
魔王はヌルが土の中に隠れたと見越し、
反重力の魔法を使う。
辺り一面の土を、まるで絨毯を捲るように
持ち上げ、剥がした。
ヌルは持ち上げられた体に風の魔法を当てて、
飛び退く。
再び対峙する魔王とヌル。
魔王「驚いた。首を斬らねばならぬか。
いや、脳天を貫くか。
脳を刺して意識を絶てば、魔法も使えまい。」
魔王は再度、重力の魔法でヌルを縛る。
ヌルは、うまーるの黒雷と、
ギャラルホルンの反重力のチカラを思い出す。
静かに雷の魔法を使い帯電するヌル。
ゆっくり歩いて近づく魔王は剣を抜き構える。
ヌルは風の魔法を応用し、
空気を振動させ超音波を創り出す。
魔王は重力場の乱れを察知し、驚いた。
次の瞬間、膝をついた姿勢のヌルが
抜刀術を使い、魔王を斬り上げた。
ヌル「反重力魔法+地魔法縮地+居合斬り」
ヌルは自身を反重力で軽くし、
地面も動かした。
自分を魔王側に、魔王を自分側に動かし、
さらに踏み込み斬りつけた。
普通の人間ならば、
致命傷になるほどの深傷を負う魔王。
しかし不死と再生のスキルがあるため
死ぬことは無い。
ヌルはここで切り札の一つを使う。
ヌル「スキル・神の見えざる手〈強奪〉」
ヌルの最初の旅の仲間、
ナーガが残したスキルであった。
同性限定でレアなアイテムを
高確率で盗むスキルである。
ヌル「頼む! 奴の1番大切な物を奪い取れ!」
祈るヌル。
成功すれば、魔王を大幅に弱体できる
という算段であった。
ヌルは恐る恐る、右手を開く。
そこに握られていたのは、彫刻のような、
小石で出来たペンダントであった。
ヌル「なんだコレは!!
ハズレアイテムか!!
これでは再生も不死も防げない!!」
傷が塞がった魔王が立ち上がる。
ペンダントを強奪されたことに気付き逆上し、
本気の魔力を放つ。
ヌルは地面に磔になる。
まるで重い岩の下敷きになったようである。
呼吸は困難になり、骨が軋む。
魔王「闇魔法【ダークマター】
我の首飾り……。
薄汚い手で触れた罪、死で償え。」
魔王はヌルの目の前に、闇の球体を創り出す。
まるでブラックホールのようだ。
光をねじ曲げるそれは、
空間を歪ませる程のチカラを放つ。
その球を中心にクレーターが出来、
細かい地割れが放射状に伸びる。
ヌルも全力で反重力魔法を使う。
腕立て伏せのような状態から起き上がり、
なんとか正座のような状態まで持っていくも、
立ち上がれない。
ゆっくりと剣を構え、刺突の体勢に入る魔王。
ヌルは時間がゆっくりになる感覚
【タキサイキア現象】が起きたことを自覚する。
同時に、走馬灯のように
これまでの記憶が流れ出す。
ヌル「目を閉じるな! 決して諦めるな!!
この状況を打開する方法は必ずある!!!
賭けろ! これまでの全てを!!!」
そのとき、コロッセオの入り口に到着した
レスベラ、クルム、うまーる。
3人はヌルが刺されそうな状況を見て、
走り出す。
その距離、約200メートル。
3人に気が付いた魔王は冷静沈着である。
迫る3人を見ても慌てる様子はない。
魔王「ふむ。3人とも負けたのか。
……すぐに仲間も同じ場所に送ってやろう。
心配無用だ。」
ヌル(あった。あったぞ!
この状況を打開する方法が。
恐れるな。目を見開け。チャンスは一瞬だ。
魔王の刺突に、
頭突きでカウンターを合わせる!
動け、動いてくれ俺の足!)
「魔王! ブラックホール。
いや、闇は光さえねじ曲げ、全てを飲み込む。
でも最強じゃない。
光より速いものは、
それを打ち破る可能性がある。
俺はお前に負けない!
勝つのは俺たちだ!!
うおおおおおおおお!!!
このくらいなんだ!
あのときの絶望に比べたらヌル過ぎる!!
これまでの全てを!!!」
魔王「ほざけ。もう終わりだ。」
魔王は刺突の態勢に入り、
ヌルの額を目がけて突きを放つ。
メキメキと軋む骨、ブチブチと切れる筋繊維。
ヌルは魔王の剣先に向けて、
全力で額を合わせる。
魔王の剣がヌルの額のど真ん中を貫いた。