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【台本版】魔王の缶詰()の作り方  作者: ジータ
第一章 戦う理由
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12 異世界でもアイテム係だった件

12 異世界でもアイテム係だった件



ー森の薬屋・店内ー


 若い娘に案内され、店内に通された一行。

 そこではエルフの老夫婦が調剤作業をしていた。


娘「親方、客人をお連れしました。

  人間国の方々です。」


 親方と呼ばれる、

エルフの男性【セージ】が挨拶をする。


セージ「こんな遠くまでご足労いただき、

    誠にありがとうございます。

    店主のセージと申します」


 親方は白髪の高齢の男性エルフだ。

 かなり高名な魔法使いだったようだ。


ヌル(地球でいう【エルおじ】ってのは、

  中身オジサンで、

  アバターが美少女エルフ、

  って感じのもんだから違和感あるな。


  まぁここの親方はオジサンていうより、

  おじいちゃんだけど。)



マーボー「街からこんなに離れている場所で、

     不便ではないのですかな?」


セージ「こちらの娘は竜人族なのです。


    竜人族と鬼人族は差別が酷い。

    この娘は人間から奴隷として酷い虐待を

    受けていたらしく、

    体が衰弱したあとは魔物がたくさんいる

    森に捨てられたそうです。


    私が隣の大陸の森へ薬草を取りに

    行ったときに見つけて保護したのです。


    この娘の心的外傷ストレスが

    大きかったので、人里から離れて

    暮らしているのです」


 高齢のエルフ女性【クラリ】が、

お茶を持ってきた。

 親方の奥さんで、この店の女将さんだ。


クラリ「お茶が入りました、どうぞ。

    薬師のクラリです。

    ようこそお越しくださいました」


 気品と知性が漂う夫妻。

物静かな雰囲気で、怖い感じはしない。

 しかし魔物だらけのこの森の中でも、

魔物はこの家には近寄らないようだ。

 年老いた今でも、

身に纏う魔力は底がしれないのである。


クラリ「ハルピュイア〈竜の娘〉お茶菓子を

    持ってきておくれ」


 女将が言うと、ハルピュイアは小さく頷き、

おもてなしの用意を始めた。


ナナ「私も手伝いますよ! ハルさん!」


 ナナは同年代?で背が高く、綺麗な顔立ちをしたハルピュイアに興味があるようで、

色々と話しかけている。

 しかし、ハルは少し迷惑そうだ。


セージ「だいたいの品物は注文通り

    揃えたのですが、

    上級魔力水は原材料の入手が厳しく、

    一本のみの納品となります。

    御了承ください。」


ギリー「アイテムはヌルが持ちなさい。

    君は魔物に狙われないから、

    範囲攻撃にさえ気をつければ、

    ケガをしない。


    君がアイテム係だ。」


ヌル(ネトゲでもアイテム係だったなぁ。

  あの世界はザコがアイテム係をやるもんだ。


  何か、面白い事言った方がいいんだろか?


  いや待てよ、そういや大臣が、

  ギリーには冗談を言っちゃいけない、

  というような事を言ってたな。


  冗談通じない奴は、まじでヤベエからな。

  特に頭が良い奴

  ネトゲで実際にあったこと思い出した。

  

  トイレ行く時には、PTのみんなに

  一声かけていくのがマナーなんだよ。

  待たせるからね。

  あの時のヤツ、元気にしてるかな……)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ーヌルの回想・ネトゲにてー


 ヌルはネトゲで4人PTを組んで

レベル上げをしていた。

 数時間ぶっ続けでやったこともあり、

PTの1人であり、普段から面白い事ばっかり

言ってる奴が発言をした。


冗談マン「すまん! ちとトイレ。

     光の速さでウン●してくるわ」


真面目マン「おい! よせ!

      そんな事をしたら大変な事になるぞ!


      お前のウン●が100グラムとして、

      それを光の速さで便器に落とすと、

      直径ナントカメートルの隕石が

      衝突するのと同じエネルギーで、

      お前の家から半径ナントカメートルの

      地形がクレーターのように……」


ヌル(この一瞬でそんな計算できんの?

  ネタだよな? な?


  でも残念な天才って実在するしなぁ。

  スルーしとこ)


 真面目マンの必死な説得で冷えた空気。

 4人はしばし無言になった。

 ヌルもトイレに行っていたフリをしたが、

実はこのとき、ずっとチャット画面を見ていた。

 誰がどうこの空気を、

変えてくれるのかと期待を込めて。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ー現代・薬屋店内ー


ヌル「はい」


 ヌルはギリーにボケをかますことなく、

大人しくカバンに荷物をしまい込む。


 ヌルがやっていたネトゲでは、

アタッカーはガンガン攻撃して、

ヒーラー様は回復で忙しかった。

 PT組み難い下手くそや貧乏マンは、

人口が少ないサポート職をやるのが、

攻略の近道であった。

 寄生サポート職は、自腹で買ったアイテムを

味方に無償でばらまくのである。

 貧弱な装備だったり、下手くそマンが、

パーティを組むためには必要な支出であった。

 ちなみに本職の神サポート職になると、戦闘後に精算を申し出され、利益が出るほどの

返礼品を貰えるのであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーノブオ森林地帯・深部ー


 ヌルたちはお茶を御馳走になり、

薬屋をあとにした。


ナナ「ハルさん、奴隷だったときに、

   生き別れたお兄さんがいるんだって。

   本当は探しに行きたいんだけど、

   竜人族は人間の大陸では、

   差別が酷いんだって。


   ねえヌル、これから私たち色々なところを

   旅すると思うけど、

   どこかでハルさんのお兄さんを見つけたら、

   教えてあげようね!」


ヌル「お、おう。」

  (ナナはコミュカすげえな。

  人間嫌いのハルから、

  あんな短時間でここまで

  聞き出したのか。

  これはもう、こいつの才能だな)


 次の目的地は、ワイハアンズ岩石地帯である。

 通称【竜の墓場】。

 たくさんの竜が不審な死を遂げたとかではなく、地球でいうところの、恐竜の化石がいっぱい

採れる場所である。

 石灰岩が多いのだろう。

 

 そこは大陸の中央部にある。

 その中に小さな砂漠がある。

 洞窟がたくさんあり、その洞窟では

魔力をおびた希少な水晶【光の魔水晶】

が採れる、数少ない場所である。

 近年では採掘量が激減しており、水晶は枯渇しているのではないかと、

言われるほど希少な素材である。


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