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【台本版】魔王の缶詰()の作り方  作者: ジータ
最終章 最終決戦
107/138

107 深海の闘技場

107 深海の闘技場



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 

ーーうまーるが転移トラップにより飛ばされた

  巨大な鉄格子の檻の中ーー



 巨大な黒毛の獅子が、

うまーるの前に立ちはだかる。

 涎を垂らし、無気味な唸り声を上げる。


「グルルルルルルルルルルルルルル」


うまーる「早くみんなと合流しないと

    いけないんだよ。

    ライオンさん、ごめんね。

    少しだけ寝てもらうんだよ。」


 うまーるは帯電し黒雷を使い走り出す。

 残像を残しながら高速移動をし

一瞬で黒獅子との間合いを詰め、

黒獅子の首元に火雷を浴びせる。


 しかし黒獅子は意に介さず、鋭い爪を

うまーるに向け振りかざす。


うまーる「雷が効かないんだよ!?」


 うまーるは避け様に間近で黒獅子の顔を見た。

 そして気付き驚愕する。

 その額に、見覚えのある傷があることに。


 それは幼い頃、兄と2人で山に食料を探しに

行った際に熊と遭遇し、

兄マヌルが妹うまーるを守るために熊と戦い、

負傷した傷であった。


うまーる「この傷……。

    間違いないんだよ。

    お兄ちゃん……なんだよ。

    お兄ちゃん……。

    やっぱり敵に操作されて……。

    わたしのこと、忘れちゃったんだよ?」


 戦意を失った、うまーるにマヌルが襲いかかる。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ーー沖合サイドーー


 人魚の女王ヨーリーと、魔王海軍四天王最強の将

リヴァイアサンの一騎討ちが始まろうとしていた。


ヨーリー「泡空間魔法【深海の闘技場

    〈コロッセオ〉】」


 ヨーリーが泡沫の神楽笛に息を吹き込む。

 ヨーリーとリヴァイアサンが

巨大な泡に包まれる。

 さらにヨーリーは自身に

ピッタリフィットする泡の膜を纏った。

 外側の泡は

野球場がすっぽり入ってしまうほどの大きさだ。


ヨーリー「この泡はネ、

    時間経過で水圧がアガるのヨ。

    1秒で100メートル沈むと考えていいワ。

    水圧に耐えながら、

    お互いの攻撃にも

    耐えなきゃいけないってワケ。


    それとネ、この泡から出たら負けネ♪

    泡に穴を開けるのはOKヨ。

    すぐに穴は塞がるから

    気にしないで攻撃してOKヨ。

    じゃあ今からネ。行くわヨ♪」


 ヨーリーの宣言と同時に

リヴァイアサンは小さな泡に包まれた。

 圧縮された空気が詰まった泡が激しく爆発する。


 しかしリヴァイアサンは無傷だ。


リヴァイ「温めてくれたのか?」


ヨーリー「まだ前戯なんだから。焦らないでネ♪

    リバちゃんタフだって有名だもんネ♪

    じっくり遊びまショ♪」


 リヴァイアサンは少し息を溜め、

勢いよく吐き出す。

 音の衝撃波がヨーリーを襲う。

 ヨーリーは高速で泳ぎ出し、難を逃れる。

 リヴァイアサンはオナガザメのような

鋭利な尾ヒレを激しく振り、

ヨーリーを刻もうとする。

 ヨーリーは水流を巧みに操り、空振りさせる。


リヴァイ「海属性魔法メイルストリーム。」


 リヴァイアサンが巨大な大渦を創り出す。


ヨーリー「あら、いい波ネ。ありがとネ♪」


 ヨーリーは尾ひれに氷の板を創り出す。

 バイクで円筒を走る曲芸、

ウォール・オブ・デスのように

渦の壁を華麗に乗りこなし、

大渦の最上部の淵を蹴り上げ飛び上がり、

板の端を掴みながら回転をキメる。

 これはスノボなどで見られる

【バックサイド540】に酷似する曲芸であった。

 ハーフパイプを楽しむスノーボーダーのように

笑顔で波と遊ぶヨーリーは

楽しそうで余裕すら見える。


 それを見たリヴァイアサンは激昂する

 リヴァイアサンが大きく口を開けて

魔力を溜め始める。


 ヨーリーはリヴァイアサンの口の中に

圧縮した空気の泡を大量に詰め込んだ。

 そして魔法で海流を操り、

強引にリヴァイアサンの口を閉じる。


リヴァイ「!!」


 リヴァイアサンの口腔内で激しい爆発が起きた。

 リヴァイアサンは吐血し

鼻からも血が噴き出す。


リヴァイ「キュアアアアアアアアアアアア」


 リヴァイアサンは

人間の鼓膜なら簡単に破裂してしまいそうなほどの

超音波のクリック音を放ち激昂する。


ヨーリー「怒らせちゃった⭐︎ 怖〜い♪

    捕まったらきっと、犯されちゃうワ♪」


 追いかけるリヴァイアサンと逃げながら

挑発を繰り返すヨーリー。

 命懸けの追いかけっこは続く。



 空間魔法開始から3分が経過した。

 リヴァイアサンに疲労の色が見える。

 ヨーリーも少し疲れているが、

泡魔法で身を護るヨーリーは

水圧の影響を受けない。


ヨーリー「もう果てちゃったのかしら?

    ギブする?」


リヴァイ「貴様こそ疲れの色が見えるぞ。

     挑発する割には逃げるだけではないか。

     口の中への攻撃が

     奥の手だったのであろう?

     残念だったな。

     じわじわと追い詰め、

     嬲り殺しにしてくれる。

     スタミナが尽き、

     動けなくなった時が貴様の最期だ。

     勝負は見えたな。」


ヨーリー「そうネ。もう勝負はついたわネ。

    ごめんネ♪

    寂しいけど終わりにしまショ。

    楽しかったワ。ありがとネ♪」


 ヨーリーは深海の闘技場を解除した。


リヴァイ「ごっ! がっ!? がぼっ!!

    ぼっぼろぼおろろろろろろろ!!!」


 リヴァイアサンは急激に体が膨張し、

口から内臓が飛び出した。

 仰向けになり、白い腹を海面に突き出し

息絶えるリヴァイアサン。


 人魚族とイルカクジラの連合軍から歓声が沸く。


ヨーリー「泡から出たら負けって言ったのに。

    お触りしようとするオジサマは

    強制退場だけどネ♪


    女に簡単に騙されるなんて、

    アッチの方は全然ダメじゃない♪


    見た目は大っきいお魚さんだけど、

    脳ミソとオ●●●●は小さなお魚さん

    と変わらないみたいネ♪」


 ヨーリーも仰向けにプカプカと

波任せに浮いている。

 笑顔であるものの、

実際には動けないほど疲労していた。

 それでも笑顔を絶やさないのは、

美に対する意識の高さと

女王としてのプライドである。






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