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第九話【兄の大切な人】


しばらく歩いた後、兄が立ち止まった。

見るとそこは児童養護施設だった。


そうか、兄貴が育ったところか…。

家から結構、離れてるなぁ。

きっとそれがあいつらの狙いだったんだろうな。


距離が近ければ、帰って来られる可能性がある。

少しでも遠くに捨てて

その可能性を潰したかったんだろう。


そんな二人の思惑にイライラしながら兄の後ろを付いていく。

また兄が立ち止まったので、見上げるとそこには園長室と書かれていた。



――失礼します。弘人です。


あら~。弘人君じゃないの!

久しぶりだね。

最近は、全く帰って来なかったから東京で忙しくしてるんだろうなって

思ってたけど。


今日は休みなの?

急に帰ってきてどうしたの?何かあった?


――いや、先生に紹介したい人がいて。


えっ?なに?彼女さん?!


――違います(笑)

弟の孝弘です。施設を出てから旅行が趣味になって。

海外に行くためにパスポートを作ろうと思って戸籍謄本を取りに行ったら

弟の名前があったんです。


ずっと探していて先日やっと見つけたんです。

今日、久しぶりに再会して。

是非とも先生に紹介したいなと思って連れてきました。


ここに来た時の事もしっかり思い出しました。

俺は親に施設の前で捨てられて職員さんが俺を保護してくれたんですよね。

あの時、保護してくれて本当にありがとうございました。



そう、弟さんが居たのね…。

戸籍謄本を見た時は本当に驚いたことでしょう。

そして記憶も戻ったのね。


あなたは施設の前に居て、親は見当たらなかった。

すぐに捨てられた子なんだと分かったわ。

子供は決して何も悪くない。

産んでおいて育児放棄する親が悪いと私は思ってるわ。


だから捨てられた悲しみを忘れるくらい私たちが大切に育てよう

そう思ってあなたを保護して今まで育ててきたわ。

私たちの思いがしっかりあなたに伝わっていたみたいで安心した。


弟さんを紹介してくれてありがとう。

これからどうするの?


――俺にとってここの職員さんたちはかけがえのない大切な存在です。

だからこそ弟も紹介したいと思ったんです。

あなた達の優しさに触れていなければ、俺はきっと荒れていたと思います。

本当に感謝しています。


これからの事はまだ詳しく決まっていませんが

明日、弟と一緒に親の元へ行こうと思っています。


弟も俺と一緒で戸籍謄本を見て俺の存在を知ったそうです。

その前に弟は夢を見て俺を思い出したそうなんですが。

それを両親に聞いたそうですが、親は弟に一人っ子だと言い続けたそうです。


俺は二人の不倫の末の子供らしく、お前が居なければと

両親に何度も言われてきました。

弟は二人から望まれて生まれてきた子供でした。

だからこそ、親は俺の存在をなかったことにしたいんだと思います。


弟は優しい俺を傷つけた親を許せないと言ってくれました。

話し合いをして家も出たいと。

だから一緒に行って俺も今までの不満をぶつけようと思います。


弟の家が決まるまでは俺の家に二人で住むつもりです。

それが二人で話し合い、決めたことです。



そうなのね。

弟さんもそれなりに辛い生活をしていたんだね。

親御さんに会ってあなたは大丈夫なの?

しんどくならない?


――自分ひとりだと辛くなってたかもしれませんが

弟が一緒に居るので大丈夫です。

それにいつまでも過去に縛られたくないので。



本当に立派に成長しましたね。

また話を聞かせてください。

二人とも決して無理はしないように約束してくれますか?


――分かりました。必ず、報告しに来ます。

無理もしないと約束します。


気を付けてね。頑張ってらっしゃい。



そして俺たちは施設を後にした…


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