第六話【再会】
「もしもし~。兄貴と思われる人とのやり取りが終わったぞ。
ちょっと話せるか?」
――おぉ~。よく頑張ったな。
全然、暇してますけど?(笑)
「来週の土曜日ってお前何か予定ある?」
――帰宅部なんで、特に予定なんてありませんけど?(笑)
「実は、あの弘人さんと来週の土曜日に会うことになったんだ。
でもめちゃくちゃ不安で。
暇なら俺に付き合ってくれないか?」
――マジか!!全然、大丈夫だよ。
お前の本当のお兄さんなのかも気になってたんだ。
急に兄の存在を知って
親はそれを隠してお前を騙していて。
これで本当の兄じゃないってなったらお前は絶対に
立ち直れないだろう?
心配だから俺もついて行ってやるよ。
「助かる、ありがとう」
そして約束の土曜日が来た。
俺は約束通り、友人と駅の改札前で待っている。
時間は正午を予定している。
その約束の時間が近づくにつれて脈拍が早くなって苦しい。
本物の兄ならこんなにも幸せなことはない。
でも、人違いでしたという結果が不安で怖くて仕方なかった。
正午になる五分前。俺は声を掛けられた。
――孝弘くん?
ビクッ
恥ずかしいことに体が飛び跳ねた。
――あ、ごめん。急に声かけて。
「いえ、大丈夫です。
弘人さんですね?孝弘です。」
――分かるよ。
「えっ?」
――とりあえず、どこかの店に入ろうか。
店に移動している間、俺はさっきの弘人さんの言葉を思い出していた。
分かるよってどういうことだ?
色んな考察が出来てしまうから結論が出せなかった。
――ここで良いかな?
何でも好きなものを頼んで。こう見えても社会人だから
お金はあるんだ。
「ありがとうございます。」
ご飯を食べ終わり、弘人さんが口を開いた。
――さっそく本題ね。
俺は島村弘人です。孝弘くんもお友達さんもよろしくね。
さっき「分かるよ」なんて言ってしまったから
混乱させてしまったよね。ごめんね。
でもすぐに君が孝弘君だと分かったんだ。
孝弘くん本人は分からないかもしれないけど
昔の面影が残ってる。
「やっぱり面影があるんですね。
これが幼い頃の俺です」
――うん、間違いない。
俺の記憶にある弟と同じ顔だよ。これが幼少期の俺だよ。
「よく遊んでいた男の子だ…」
この弘人さんは間違いなく、俺の兄貴だった。
やっと…やっと会えた。
感動していると友人が話しかけてきた。
――孝弘、俺は先に帰るな。
お兄さんとやっと再会できて良かったな!!
弘人さん、ご飯奢って下さって、ありがとうございました。
「付いてきてくれてありがとう。
今までいっぱい助けてくれて本当にありがとう。
お前のアドバイスがなかったらこうして
兄貴と再会することは出来てなかったと思う。
本当にお前には感謝してるよ」
――柄にもねえ(笑)
「うるせえ(笑)でも本当にありがとう」
友人はピースサインをして帰って行った。
気を使ってくれたんだろうなぁと有難く、嬉しかった。