第二話【本当の真実とは】
何かがおかしいとは思った俺だったが、確証はなかった。
記憶違いだったという話もよく聞く。
前世の記憶の可能性だってある。
でも、俺が二歳とか三歳の時の記憶はあるからなぁ。
毎日それを考えてばかりで
授業なんてノートをとるだけで頭には入ってこなかった。
その数日後、俺は友人に声を掛けられた。
――お前、最近どうしたの?
授業中もボーっとしてて全く話を聞いてないだろう?
何かあったのか?
「あぁー悪い。ちょっと考え事。」
――えらい深刻な悩みのようだな。
どんなことか言ってみろよ。案外、簡単に解決するかもよ!
「お前って兄貴が居たよな?そいつは本当の兄貴か?」
――どういうことだよ?
小さいころからずっと一緒だし、アルバムにもしっかり載ってるぜ?
「アルバムか…。」
――マジでどうしたんだよ?
お前は一人っ子だろ?何で急に兄弟の話なんか…。
「実は俺、夢を見たんだ。
小さい頃の俺が誰かと遊んでる夢。
その夢をきっかけに昔のことを思い出したんだ。
毎日一緒に遊んで、一緒にご飯を食べて。
お風呂も一緒に入っていたし、喧嘩をした時は母親が
その子をめちゃくちゃ怒っていたのも覚えてる。
俺の兄貴だと思ったんだ。
でも親はずっと一人っ子だし、小さい子は幽霊を視るからって
否定してるんだよ。
でもどうしても納得がいかなくてさ。
親が嘘をついてるんじゃないかとかこの家族は何かおかしいって。
最近、そのことばかり考えてるんだ。」
――想像以上に深刻だな。
幽霊だって言うなら母親はその幽霊が視えていたってことか?
流石に苦しい言い訳だよな。
母親の不倫の末の子供説も父親が分からないはずないもんな。
「そうなんだよ。俺もその二つの説は考えたんだけど、有り得ないんだよ」
――じゃあ市役所に行ってみたら?
「なんで市役所?」
――パスポート作成のために戸籍謄本が必要でとか理由をつけたら
調べることが出来るだろう?
「なるほどな。確かにそれなら調べられる。ありがとう!」
――だから言ったろ?案外、簡単に解決するって。
確かに友達の言う通りだ。
自分だけでは解決できないこともある。
何故かスッキリした自分がいた。