4.実力
唯澄・佳翔
「危ない!!!」
樺恋
「!」
明希も咄嗟に樺恋を抱き寄せて庇っていた。
すると、隣のコートで練習していたバレー部の凪愛がバレーボールでサーブをし、バスケットボールを弾き飛ばした。
凪愛
「れんちゃん大丈夫!?」
凛
「おい、大丈夫か?」
樺恋
「うん、大丈夫。明希くんありがとう。」
明希
「無事でよかった。」
佳翔と唯澄が駆け寄ってきた。
佳翔
「れんちゃん…大丈夫?凪愛、ありがとう。」
唯澄
「凪愛さん、ありがとうございます。」
凪愛
「ううん。ちょうど、ボール持ってたからできただけだよ。もし、できてなくても明希さんが庇ってたから。」
リヒト
「明希のおかげでーすね!」
明希
「いや、庇うことしかできなかったからね。」
するとそれをみていたバレー部員とバスケ部員は…
バスケ部男子1
「あの光景やばくね?」
バスケ部男子2
「あれ、テニス部の部長だよな?」
バレー部男子1
「凪愛さんのサーブ相変わらずえぐい。」
バレー部男子2
「あの、女子誰だ?」
バスケ部男子3
「俺知ってます!部長の妹さんですよ。隣のクラスです。唯澄くんと同じクラスです。」
部員たち
「あぁ〜。」
樺恋たちは…
リヒト
「樺恋、その服はどうしたんでーすか?」
樺恋
「あぁ、テニス部の練習見てた。」
佳翔
「れんちゃん、言葉足らないよ〜。」
明希
「あぁ、服を持ってきてなかったから俺と海礼の服を貸したんだよ。」
凛
「でも、なんで明希さんが?」
明希
「リヒトに用があってね。リヒト、ジャージ返して。」
リヒト
「あ!すみませーんね!今もってきまーすね!」
リヒトが部室に向かって走っていった。
凪愛
「れんちゃん、目大丈夫?」
樺恋
「うん。大丈夫。そんなに使ってない。」
凛
「れん、サーブ打ってくんね?」
樺恋
「どのサーブ?」
この樺恋の発言にバレー部員たちは…
バレー部員
【どの!?】
凪愛
「僕が打てないサーブお願いできるかな?」
樺恋が眼鏡を外した。
樺恋
「凪愛ちゃんを見た感じ、回転ありのジャンプサーブで狙ったところに90%の確率で打てるって感じかな?ってことは、ネットインのサーブと無回転のサーブで普通のとジャンサーやればいいか。」
この発言を聞いた部員たちは大層、驚愕した様子だった。
そして、バレー部の練習を樺恋がみた。
バレー部の2トップである凛と凪愛をボロボロに負かしていた途中で…
唯澄・大きな声で
「樺恋!!!!そろそろ、やめろ!!!!」
樺恋
【少し、頭痛い。使いすぎたかも。】
唯澄の一言で練習が終わった。
バレー部とバスケ部が帰りのミーティングをしていると、ベンチに向かって歩いてる途中で樺恋の体が床に向かって倒れそうになった…
佳翔・唯澄・リヒト・凛・凪愛・明希
「樺恋!!!!!」
少し前に遡り…
グラウンド
巴
「これで部活は終了とします。各々反省点をまとめたノートを明日の朝、耀に提出してください。今日の部活の態度は酷いものでした。明日の練習はハードになると思いなさい。以上で解散とします。」
耀
「部室の使い方が汚いぞ。汚したやつは明日使わせない。さっさと帰宅するように。以上!」
サッカー部のミーティングが終わったのを見計らいそこに、水翔が来た。
水翔
「相変わらず厳しいね。さっき、テニス部のやつが帰るときに樺恋ちゃんが体育館に行ってるって話してたのを聞いたよ。帰り、どうする?」
耀
「体育館によって、樺恋と一緒に帰ろう。」
そして、3人で体育館に向かって歩いていると…
体育館の前に来ると中から6人の樺恋を呼ぶ叫び声が聞こえ咄嗟に3人で中に入った。
すると、樺恋が倒れる直前であった。
3人は驚き、間一髪のところで樺恋の体を3人で支えることができた。
耀・巴・水翔
「間に合った…。」
耀
「樺恋!」
樺恋は気絶していた。
耀
「巴、眼鏡を持ってきてくれ。水翔、氷を頼む。」
巴・水翔
「わかった。」
耀が樺恋をベンチに寝かせた。
佳翔
「耀!」
耀
「お前たちは部活を早く終わらせろ。樺恋を静かにしてやりたい。」
耀の一言でバスケ部とバレー部のミーティングが再開された。
明希
「耀。れんちゃんは、テニス部の練習をみた後、バレー部の練習見てたから時間超えてる可能性が高い。」
水翔
「それで、樺恋ちゃんが…。」
巴
「持ってきた。サングラスと普通のあるけどどうする?」
明希
「サングラスだけど、俺が買ったやつだから保証するよ。」
耀
「サングラスだな。明希が買ったってことは目の負担少なくなるだろ。」
水翔が樺恋の頭部の方に座りながら、樺恋の頭に氷をずっと当てていた。
水翔
「終わったみたい。」
バスケ部とバレー部のミーティングが終わった。
それと同時に、樺恋の意識が戻った。
樺恋
「ん…」
耀
「樺恋。無理するな。」
水翔
「無理は禁物だよ。サングラスかけたけど大丈夫?」
樺恋
「うん。大丈夫。着替えてくる。」
樺恋がベンチから起きあがろうとすると…
佳翔
「れんちゃん!寝てて?そのまま、帰ろう?」
慌てた様子で樺恋を支えた。
凪愛
「無理しないで、そのまま帰ろう。」
凛
「今、珠優が車椅子持ってこっちきてるから大人しく乗って帰るぞ。」
耀
「そうだ。しばらくは距離感が掴めないはずだからな。明日の朝には良くなってるだろ。」
耀が樺恋の頭を撫でた。
樺恋
「わかった。」
その後、全員で家に帰った。
次の日の朝
樺恋
「おはよう。」
優華
「えぇ、おはよう。サングラスなのね。気をつけなさい。」
樺恋
「うん。」
優華
「珠優と一緒に行きなさい。」
珠優
「れんちゃん、行こうね?」
樺恋
「うん。」
珠優が樺恋の荷物と日傘をもち、エスコートした。
Aクラスの教室前
女子生徒1
「え!?漣珠優様よ!?」
女子生徒2
「隣は…あ、Aクラスの珠優様の妹だわ!」
珠優
「れんちゃん、騒がしくなっちゃったね。」
珠優の笑顔は側から見たら穏やかに見えたが樺恋からの視点は…
樺恋
【怒ってる。黙らせようとか思ってるんだろうな。】
「大丈夫。ありがとう。」
珠優
「じゃ、また後でね。」
朝のホームルームが始まった。
響紀
「朝の連絡だ。昨日連絡し忘れたが、今日の5限に体育がある。六花スポーツ大会の種目をやっていく。体育を受ける格好だが、伝え忘れたから部活動の服装でかまわない。ないものは、他クラスや兄弟から借りるように。ちなみに、今日は社交ダンスだ。以上だ。」
そして、昼休み
唯澄
「聖那さんかアランさんのとこいく?」
樺恋
「うん。あと、みゆちゃんと明希くんのところも。」
唯澄
「樺恋、手。」
樺恋
「うん。」
唯澄が差し出した手を樺恋が取った。
それを見ていたクラスメイトは…
女子生徒1
「うわぁ、素敵!」
女子生徒2
「絵になるお二方だわ。」
女子生徒3
「唯澄様!…素敵!私もエスコートされたぁい!」
男子生徒1
「サングラスかけてもお美しい!!!」
男子生徒2
「水篠くんと変わりたい!!!」
などと、話していた。
2年生Aクラス
女子生徒1
「エスコートなんて、何様?」
女子生徒2
「はらたつ〜。」
珠優
【聞こえてるんだよね。妹たちに何言ってるんでしょうか。あぁ、イライラしますね。】
廊下では…
唯澄
「あ、珠優さんが気づいたみたいだ。」
樺恋
「うん。」
珠優
「れんちゃん、どうしたの?」
珠優が、樺恋の腰を抱き寄せた。
その瞬間女子生徒の悲鳴が聞こえた。
そして、何人か倒れたとか…
樺恋
「珠優ちゃん、みゆちゃんいる?」
珠優
「海礼。れんちゃんがきてるよ。」
海礼
「れ〜ん。」
珠優が樺恋を抱き寄せている反対側から樺恋を抱きしめた。
海礼
「れん。ちょうだい。」
樺恋
「これ、お菓子。朝作ってきたから。」
海礼
「うん。」
樺恋
「放課後、またくるね。」
珠優
「わかったよ。唯澄、れんちゃんのこと頼むよ。」
唯澄
「はい。」
3年生の教室前
聖那
「あら、れんちゃんどうしたの?」
樺恋
「体育あるから服貸してほしい。あと、明希くんいる?」
唯澄
「六花の社交ダンスの授業なんですけど、ありますか?」
アラン
「それなら柳樺に借りるといいよ。今日、練習頼んでたからあると思う。明希と柳樺呼ぶから、ちょっと待っててね。」
アランが明希と柳樺を呼んだ。
柳樺
「樺恋、どうしたの?」
明希
「どうしたの?」
樺恋
「これ、ありがとう。練習着貸してほしい。」
聖那
「体育があるって連絡を先生が忘れたらしいわ〜。で、今日の授業が社交ダンスなんですって。」
柳樺
「わかったわ。持ってくるから待っていて。」
明希
「昨日の、ありがとう。」
数分後
柳樺
「これ、家に帰ったら返して。アラン、今日の練習はなしよ。」
アラン
「OK。」
柳樺
「頑張りなさい。」
樺恋
「ありがとう。」
唯澄
「失礼します。」
5限 社交ダンス部 部室
響紀
「六花の競技の一つである社交ダンスのスタンダードとラテンを今日と次回の体育で実施する。見本を見せた方がいいな。漣、パートナーを頼む。」
樺恋
「はい。」
女子生徒1
「先生、なぜ漣さんが見本なのですか?」
女子生徒2
「そうですわ!!!」
響紀
「漣、自己紹介してやれ。」
樺恋
「競技ダンス経験者です。全日本競技ダンス大会で3回優勝しています。他の大会も優勝経験があります。雪国際学園グループ主催の大会でも優勝経験あります。パートナーは3年の月城アランと華月聖那です。」
響紀
「ちなみに、漣優華・月城メルリス・水篠薫梨が教師を務めているダンススクール所属だ。3人とも世界大会優勝者だからな。俺のパートナーでもあったからな。申し分ないな。よし、今日はスタンダードの練習だ。よく見ておけよ。」
樺恋と響紀の完璧な見本を生徒がみた。
女子生徒1
「あの子、とってもうまいわ。」
女子生徒2
「そうね…先生と張り合えるなんて…」
唯澄
「実力の20%も出してないな。」
他の生徒
「え!?」
続く