↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢幻の雪原 と 幼き冬の女王 【完全版 改訂版 携帯版】  作者: 天ノ風カイト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/25

其の23 嘆《なげ》きの冬の女王


 其の23 嘆(なげ)きの冬の女王




 この日 冬の女王が 冬を祈るのを止めてから4日が経っていました


キラキラと銀を散りばめたように輝く白いドレスを着た 銀髪の冬の女王は 四季の塔の上にある広間で独り 今はただ 冷たい石の椅子に座って 風が吹き抜ける石の格子(ごうし)の外を眺めていました


「お願い・・・来ないで・・・まだ 冬を終わらせないで・・・」


冬の女王は 冬を祈るのを止めていましてが 冬が続くのを願っていました・・・


しかし それも もう 終わりなのです


春の女王は今 この四季の塔の階段を上ってきているのです・・・


春の女王が この広間にたどり着いた時 冬の女王が支配していた冬の季節は終わりを告げ



そして



春の女王の祈りとともに



多くの人々と 多くの生き物達が待ち望んでいた 春の到来《とうらい》が宣言されるのです! 




「冬が終わってしまう・・・私が願った永遠の冬が・・夢幻(ゆめまぼろし)となってしまう・・・!」


冬の女王は そう嘆いて 広間の入り口をジッと見つめました


「来ないで・・・来ないで・・・私の冬を終わらせないで!」


その姿は 今にも泣き崩れてしまいそうでした


「まだ・・・春には・・・しないで・・・」




コツン・・・・コツン・・・・コツン・・・・コツン・・・・




四季の塔の らせん階段を上ってくる足音が 少しずつ 少しずつ 大きく聞こえてきました 




それは 年老いた春の女王の足音です




それは 島の人々が待ち望んだ春の足音です




それは 冬の女王が拒(拒)み続けた足音です・・・・




コツン・・・・コツン・・・・コツン・・・・コツン・・・・!




冬の女王が目に涙を潤ませて見つめていた広間の入り口に 少し寂しそうな顔をしている 年老いた春の女王が立っていまいた


二人は少しの間 時間が止まったかのように 互いに見つめ合っていました




するとやがて 春の女王が口を開きました

「おやおや そんなに泣き腫らして・・・季節の女王の中で一番キレイな顔が 台無しじゃないの・・」 


そう言われた冬の女王は ギュッと目を閉じて涙を落とし 両手で涙を拭いました

「泣きたくもなります 私の冬が終わってしまうのですから!」



冬の女王は 座っていた石の椅子から怒ったように立ち上がり また涙を流しました


春の女王は シワの多い顔をニッコリとさせて

「確かに この島は元は常夏だったけど それでも 季節は変わっていたのよ」と 言いました



冬の女王は 悲しみをこらえるように うつ向いてしまいました



春の女王は ゆっくと冬の女王に近づいて言いました

「どんな季節にも 終わりが無くては・・・命の再生もうまくいかなくなってしまうのよ・・・」


その言葉を聞いた冬の女王は 春の女王に言いました

「再生なんてなくてもいい! 終わりが無ければ 再生なんて必要ないもの!!」と 叫ぶようにして言ったのでした



春の女王は また寂しそうな顔をしました

それから 静かに冬の女王に歩み寄り その冷たい体をギュッと抱きしめたのです



抱きしめられた冬の女王は 涙声で言いました

「あなたの春は もう残って無いのですよ・・・?」



春の女王は 冬の女王に言い聞かせるよう 優しく言いました

「この世界に生まれたからには 誰もが・・・どんな生き物だって 死は 必ず訪れるものなのよ」



冬の女王は春の女王に抱きしめられながら うぅっと泣き崩れて 膝をつきました・・・

「それでも・・・・あなたと別れるのは つらい・・・!」

冬の女王は そう言って春の女王を抱きしめました



春の女王は 冬の女王の銀色の髪を撫でてあげました



「私だったら 止められると・・・あなたが来るのを・・・春が来るのを止められると思ったのにっ!」

すると冬の女王がずっと抑えていた気持ちが 胸の奥からワッと溢れ出してきて 大人になったはずの冬の女王は 子供のように泣きじゃくったのでした・・・ 



その間 春の女王はずっと冬の女王の銀色の髪を撫で続けて「ごめんよ・・・ごめんよ・・・」と 優しく言い続けたのでした・・・




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。