提案
シルビアは王の訪問を受けていた。
王自ら、王女の失態にシルビアに面会を申し出たのだった。
「はぁ」
溜息をついているのはシルビア。
こんなに立派な両親に何故にあの王女、そうか、兄も出来がいいからな、それでああなったのか。
兄と比べ続けられたのかもしれない。
そして理想の兄像を作ったのか。
だが、それは逃避にしか過ぎない。
「シルビア殿、友好国の姫である貴殿に対しての行いは許されることではないと」
王は頭を下げるわけにいかないが、謝意が伝わってくる。
友好条約解消回避を避ける為に、王の覚悟をしているのだろう。
「陛下、どうぞシルビアとお呼びください。
私は、先ほどすでに処罰を与えました」
同席しているマーベリックは、静観を決めているらしく、王妃は寝付いたままこちらには来られない。
「それで済ますわけにはいかない。
王女は、規律の厳しい修道院に送ることにした」
ネイデール王国との関係を考えれば、尻叩き100回で済ますわけにはいかないのは理解できるが、シルビアは王の言葉を受け入れるつもりはなかった。
「陛下、王女をどちらかに降嫁させて王女の称号をはずすというのは、どうでしょう?」
シルビアの妥協案はずいぶん甘い、と王は首を横に振る。
「それでは見せしめにならない。ネイデール王国も納得しないであろう。
それに、毒を盛るような王女を妻にする男はいないだろう」
王の言う事はもっともである。
「王太子殿下もご存じの人物ですが」
そう言ってシルビアは、横目でマーベリックを見る。
「絶対に嫁のきてがない男がいます」
「王女が降嫁する身分もあります。
多方面に才覚があり、借金はありません、それどころか裕福です」
「その人物であれば、ご令嬢の方がほっておくまい」
シルビアの人物説明に、王が否定をしてくる。
「性格に難あり、というべきでしょうか。
自分に毒を盛るかもしれない、となると興味を持つだろうと想像できる人物です」
「おい、シルビア。それって」
マーベリックは分かったらしい。
「王太子殿下が思っている人物で、正しいです」
名前がでなくともシルビアが肯定するのを、王はマーベリックに確認する。
「マーベリックが知っている人物だということだが?」
「陛下、かの人物はソーニャには御せません。
ソーニャの劣等感がさらに強くなるだけです」
マーベリックも王も、王女の劣等感が今回の件でも関係していると分かっている。
「とても美しい人物です」
「女性は美しい者が好きだと思うが?」
王の言うことは間違っていない。
シルビアの代わりにマーベリックが王に説明する。
「女性よりも美しく、ドレス姿は艶やかです。
ロイス・レーベンズベルク次期公爵。シルビアの兄です」
罰ゲームがロイスとの結婚・・・




