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悪役令嬢は男装の麗人  作者: violet
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マーベリックの想い

このまま騎士でいれるとは思ってなかったが、こんなに早く次の婚約が決まるとも思ってなかった。

「私のどこがいいわけ?」

先程も、中傷を受けたばかりだ。


「綺麗なところ」

ポツリとマーベリックが言葉を落とす。


「ああ、我が国の王家は皆、綺麗に生まれついてるみたいだ。

我が兄など、その代表だ」

シルビアは、自分の容姿の事だと思って淡々と答える。

それを聞いて、失敗を確信したのはマーベリックだ。

「違う!

いや、違わない、綺麗な髪も、顔も姿も好きだ。

剣を舞う姿はもっと好きだ。

綺麗過ぎて、なんて表現したらいいのか」


目の前のマーベリックを見て、シルビアは呆れてしまう。

マーベリックが赤くなった顔を隠すように、片手で口元をおさえているからだ。

「そんな事初めて言われた」

溢れるように、シルビアが微笑む。


「可愛い」

「お前は、兄上か。

私の事をそんな風に言うのは兄上だけだ」

王太子をお前呼ばわりである。

ふてぶてしいシルビアであるが、マーベリックが反応したのは別のところだ。

「兄ではなく、恋人になりたいんだ」


「お前、正気か?」

シルビアは自分がどのように言われているか知っている。

「私だったら、可愛い小鳥さんを恋人にするな」

ユークリッドのように。


「正気だ。

だから、シルビアがまぶしいんだ」

あの林の中でシルビアを見つけた時に、命の耀きに魅せられた。

濁流を泳いだシルビアなら、きっと生き残ると確信になった。

好意という言葉では誤魔化せない気持ち。

それは、あの時にシルビアにも自分を見てもらいたいという切望になった。


「苦労するよ?」

まるで他人事のように言うシルビア。


「何をもってそう言うかわからないな」

好きになった相手が、正妃になれる身分を持っていて、王妃教育も受けている。

しかも婚約解消となったばかりで、婚約者をこれから探すはずだ。

危険な王太子の婚約者という状況であっても、シルビア以上の適任者はいない。

恋情だけではなく、打算もある。

たまにはドレスを着て、楽しませて欲しいとは思うが、男装も似合っている。

「どこにも私が苦労する要素はない」

ははは、とマーベリックが笑う。



コンコン、扉を叩く音にマーベリックが席を立ち確認する。

「レーベンズベルク司令官に急使が来てます」

扉の外に控えているヒューマが要件を伝える。



扉を開けると、ヒューマと急使、他にも待機していたそれぞれの武官が入って来た。


「殿下、しばらくこちらに滞在させていただきたい」

急使が持ってきた手紙を読んだシルビアが、マーベリックに許可を聞く。

「それはかまわない」

マーベリックは侍従に、長期滞在できる部屋を用意するように指示を出す。


急使はロイスからの手紙を持ってきたのだ。

『シルビアへ。

すでに帰国準備をしているかと思う。

それを延ばして欲しい。

近衛の制服を着た偽近衛兵に王太子殿下が狙われた。

だが、調べてみると、狙われたのは殿下ではなく、対で警護担当になる相方の近衛兵であった。

警護中に貴族である近衛兵が死亡すれば、司令官であるシルビアの管理責任となる。

殿下と違い、警護兵ならば人目が途切れる時間に犯行し、逃げるのも容易と考えていたのだろう。

ここまで書けばわかっているだろうが、犯人はシルビアを恨んでいる第2部隊長だ。

だが、犯人の自供だけで確たる証拠がない。

現在、国に戻って来るのは危険であり、こちらの捜査に不都合になる。

しばらくワイズバーンに逗留するように』

あいつ、坊主頭では甘かったな。

国に戻ったら、どうしてくれよう。

ニヤリと笑うシルビアであった。


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