城下町での質問
ハルベルトとの1週間の交流が終わり、アイオリアとの交流が始まった
雲一つない晴天、キラキラと輝く太陽と同じくらいキラキラと輝く男が笑顔でやってきた
「姫、おはようございます。
姫に差し上げたいと思ってお持ちしました」
色とりどりの花が包まれた少し小さめのブーケは、飾らない感じがして正直嬉しかった
「ありがとうございます。
可愛らしいブーケですね」
「姫の事を思って選びましたから。
朝食がおすみでしたら、私と城下へ行きませんか?」
「そうですね、アイオリア様にもアルメイダをよく知ってもらいたいですから。
準備をしますので少々お待ち下さい」
「はい、では失礼します」
シンプルなワンピースを着て、髪を一纏めにして動きやすいようにする。
「姫様、我々は陰ながら護衛させていただきます。何かございましたら、直ぐに叫んで下さい」
「ありがとう、サーラ、セバス。
じゃあ、行ってくるね」
サーラとセバスに見送られながら、アイオリアが待つ噴水前に向かう
「お待たせいたしました、アイオリア様。」
「いえ、大丈夫ですよ。
姫様の事を考えていたらあっという間でした。
初めてみたドレス姿も素敵でしたが、ワンピース姿も大変可愛らしいですね。」
ニコリ、と微笑むアイオリアが眩しすぎて反射的に目を閉じてしまった。
「?どうされましたか、姫様」
「な、なんでもありません!
さ、馬車に乗りましょう」
「では、お手をどうぞ姫様」
恭しく手を取りエスコートする姿は、乙女心を擽る。さらに相手はイケメン王子となれば、落ちない女はいないのではないか。
馬車に乗り、1時間ほどすると城下町についた
「姫様、道中くれぐれもお気をつけて」
「ありがとう、行ってきます」
「城下町で姫の名前を呼ぶわけにはいけませんのでティアとお呼びしてもよろしいですか?」
「もちろんです、私もリアとお呼びします。」
「わかりました、では行きましょう。
リアに紹介したいところがたくさんあるんです!」
大きな女神像、噴水、時計塔、王立図書館、商店街など近い順からグルリと回っていく
リアは物珍しそうに、アレはコレはとたくさん質問してくれたので少しは楽しんでくれてるのかな、と安心した。
でも、キラキラ輝く金髪に女を虜にするスマイル。
いくら身分を隠して変装しても滲み出るものなんだろう、街行く女性たちの視線が刺さって痛い。
「まだまだたくさん紹介したいですが、一度お茶しましょうか。私のおすすめの店モルト・ラモンです」
紹介した店は、大通りに面した店に比べて小さいが城下に住まう人々の生活がテラス席からよく見えて好きだった。
テラスに案内してもらい、お茶とケーキを注文する。
「甘いフルーツケーキに、あっさりとした紅茶がよく合うんですよ」
「‥本当ですね、とても美味しいです」
「リア、今日はいかがでしたか?」
「とても勉強になりました。
経済や商売はもちろん、民一人一人が笑顔で幸せそうな姿に同じく国を治めるものとして嬉しく思います」
王子として、1人の人間としてリアがたくさんのものを見てくれていたことが本当に嬉しかった。
「ありがとうございます。
‥リア、正直に答えてください。」
「はい、もちろんです」
「リア、貴方は私と本当に結婚したいのですか?」