最初に選んだ相手
私が最初に1週間を過ごす相手に選んだのは、ハルベルトだった。
「・・・俺が初めでいいのか?」
初めに選ばれると思っていなかったのか、少し驚いた表情をみせるハルベルト
「私は貴方と最初の1週間を過ごしたいと思ったわ。」
「・・・では、今日から1週間はハルベルト殿と過ごされますのでアイオリア様には先に離宮を案内致します。
姫様、失礼いたします。」
「姫、1週間後心待ちにしております。」
セバスとどこか寂しげなアイオリアは離宮へと向かった。
「サーラ、庭に・・・あの離れの庭にお茶の準備をしてちょうだい。今日はそこで過ごしませんか?」
「ええ、喜んで。」
ハルベルトの承諾をもらい、あの記念パーティーの日に出会った庭でお茶会をすることに。
「改めて今日から1週間、よろしくお願いいたします。
ハルベルト様とお呼びしても?」
「お好きにお呼びください、シルティア姫」
あの夜の微笑みは何処へと言わんばかりの無表情に、少し頬が引き攣る。
「で、ではハルベルト様。
私の事はルティアと。」
「はい、ルティア姫」
静かにお茶を飲むハルベルトは美しい。
美しいが、この微妙な空気はなんだ。
「あの・・・ハルベルト様は、私との結婚を望んでいるのですか?」
これは2人にぜひ聞きたいと思っていた事だった
「いけ好かない貴族の令嬢より、ルティア姫との結婚の方がまだ楽しそうかと思っただけだ」
「い、いけ好かない貴族令嬢・・・。」
この国は女性の数が少し少ないため、喋よ花よと大切に育てられる。
大抵の我儘や希望が通ってしまう為、ハルベルトの言ういけ好かない、お高くとまった女に成長することが多い。
没落寸前だが、子爵家の跡取り息子であり幼いとはいえ見目麗しい容姿のハルベルトに惹かれた女性がこぞって求婚したのだろうと想像できる。
「ルティア姫。」
「はい?」
んー、と1人考えにふけっていたら急に名前をよばれハルベルトのアメジストの瞳と視線が交わる
「俺を選べ。」
唐突な言葉に開いた口が塞がらない。
「・・・間抜けな顔だな。」
「ハルベルトが、急にそんなこと言うから・・・!」
「それでいい。」
「へ?」
「別に、無理に畏まらなくていい。
どちらを選ぶにせよ、3か月間共に過ごすんだ。
様もいらないし、気楽に構えていればいい。」
本気か冗談かもわからない上に、もやもやとしたままお茶会を終えた
自室に戻り、サーラとセバスと過ごしていると今日のお茶会の話題になった。
「姫様、初日はいかがでしたか?」
「ハルベルトは、感情が読めない人だわ。
出世欲や金銭が目的か。
もしくは、試験で実力を示したかっただけかもわからない・・・でも。」
「「でも?」」
俺を選べ
お茶会の時に言われた言葉がまだ耳に残っている
「・・・また会いたいと、思った。」
これが恋かはまだ私にはわからない。