優勝者と対面
いよいよ候補者と会う日を迎える。
候補者は全員で3人
魔法 剣術 知識の3部門の優勝者が集まるとなるとちょっと緊張する。
椅子に座り直し、ゆっくり深呼吸する
「・・・いいわ、連れてきてちょうだい。」
セバスが扉近くの兵士に伝えると、ものの数分で2人がやってきた。
「?サーラ、セバス。
話では3人通過したと聞いた筈だけど?」
「つい先ほど、知識の試験で不正が発覚致しまして。
優勝者は取り調べ中です。
さらに試験官も黒がいまして、国王の命令により剣術と魔法の試験を通った2名を御通ししております。」
父は曲がった事が嫌いな人だ。
試験のやり直しなど認める訳がないとわかっているので、追求するのをやめた。
「そう。」
セバスとの会話が終わると、入室した内の1人が軽く頭を下げる。
「御前失礼致します。
フィブル国第2王子アイオリア・フィブルと申しましす。
このたびは姫の婚約者候補としてお目通り出来、大変光栄に存じます。」
「この前は助かりました、アイオリア王子。
こちらの警備が甘かった事深く反省してますが、目の前で貴方の実力が見れた事嬉しく思います」
「勿体なきお言葉です。」
にこりと微笑む姿もかっこいい。
「‥御前失礼。
俺はハルベルト・ノティス。
爵位は子爵、まぁ没落寸前なんだが‥。
魔法部門の優勝者だ。」
ゆっくりと外套を外すと、アメジストの瞳に黒い髪がサラリと流れる。
アイオリアは世の女性が一度は想像する王子様にあてはまるし、凛々しく太陽のように明るい男。
逆にハルベルトは中性的な顔立ちで夜のように落ち着きつつ目が離せないような男。
正反対の2人だが、どちらも美男子。
さらに成長すれば、世の女性たちはほっておかないだろう。
「貴方と会うのも2度目ね。
また会えて嬉しいわ。」
まさかまた会えるなんて思っていなかったから、単純に凄く嬉しかった。
安心感からか、つい肩の力が抜け椅子に深くもたれてしまった
「・・・姫さま、お言葉を。」
婚約者候補がガチムチおっさんじゃなくて、イケメンで顔見知りだった事に安堵するシルティアに小さな声でセバスが続きを急かす。
「では、改めて私はアルメイダ帝国の第一王女シルティア・アルメイダです。
此度の大会、優勝者おめでとうございます。
2人を私の婚約者候補として認め、王城への立ち入りを許可します。
細かいことは私の従者のサーラとセバスからお伝えいたします。」
シルティアの言葉に、サーラとセバスが一歩ずつ前に出て、誓約書を広げる
「今大会優勝者2名をシルティア・アルメイダ姫の婚約者候補として認める。
15の年になるまでの残り3ヶ月間の間に、姫の心を射止めた者は正式に婚約者として認める。
如何なる理由があろうと、危害を加えたり意にそぐわぬ行為は認められない。
また、1週間ずつ交代で姫との交流を許可する」
「これは国王陛下の決定である。
例え隣国の王子だろうと、この国に滞在する間もしくは婚約者候補としての3ヶ月間は覆すことは出来ません。」
サーラとセバスは至って真面目に、当たり前だと言わんばかりに2人に話をするが極端に言えば親バカ炸裂しちゃってる内容だからね。
冷静になると普通に恥ずかしいからね!
「姫様、どちらの方から交流されますか?」
「そうね、じゃあ‥。」