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剣術大会優勝者

あれからちょうど1週間たったが、あの夜出会ったアメジストの瞳の男の子に会うことは無かった。

外套を深く被り、名前すら聞いていないので探しようもない。


ただ、彼の言葉が何度も思い出す


あんたみたいな、変な姫なら結婚してもいい。


色々と思うところがあるが、彼もこの大会に参加するのだろう。

長時間に渡り複数の魔法を使用していたところを考えると、この国でも有数の実力者である事は間違いない。

それに、また会ってみたいと思うだけの魅力があった。


「·····ま、姫様!」


「あ、ごめんなさいサーラ。

どうかしたの?」


「もう!剣術大会で気になる方はいないかちゃんと見ててくださいって言ったじゃないですか!」


「ごめん、ちょっと考え事していたの。」


「姫様、最近どこかぼんやりしてるな?

体調が悪いのか?」


「大丈夫よ、セバス。」


2人の視線から逃げるべく試合に集中する

屈強な男達が死闘をくりひろげていた


「·····あの金髪の人、なかなか強いわね」


視線の先には、太陽の光をうけきらきらと輝く美しい金髪の男性が大男を次々と倒していた


「あの方は隣国フィブルの第2王子ですね。

あちらの国の王族はみな金の髪と瞳を持って産まれてくるのだとか。」


「年は姫より3つ上の17歳です。

フィブル国では、頼りがいのある兄のような男らしいです。

趣味は剣術で、時々兵士の訓練に参加して討伐も行っているとの情報です。」


カンペもなくスラスラ話す2人に驚くシルティア

「なんでそんなに詳しいの?」


「有力候補はある程度調べております。」


「姫様の婚約者になるかもしれない方達ですから。

害があれば処理をしますので、お気になさらず」


いやいや、普通気になるから!と思ったけどそう言えば元暗殺者の2人だったことを思い出し深く考えるのはやめようと決めた。


ワァァァ!

会場が歓声に包まれる

今大会の優勝者が決まったのだ


近場にいた2人の兵士を呼ぶ

「剣術大会の優勝者を城の客室へ案内して。

負傷者は速やかに手当てを急いで。」


「「かしこまりました。」」


「他の大会を見に行かれますか?」


「魔法はここより離れた僻地で行われておりますが、向かう頃には終了しているかと。」


魔術大会は見たい。

僻地なら大掛かりな魔法を使用するだろうが、セバスの言う通り到着する頃には終了しているだろう。


「知識も午前中に試験が終わりました。

文官達が結果を出している最中です。」


「なら、各部門の候補者は2日あれば揃うわね。

候補者達には2日後の午後謁見すると伝えておいて」


「「かしこまりました。」」

馬車の準備をするため先に外へ向かう2人。


「部屋へ戻るわ。」

後ろに控えていた兵士に告げ、外へ繋がる道を歩いていると廊柱付近に人影がみえた。


「·····そこにいるのは誰ですか?」


「これはこれは奇遇ですね、姫様。」


大きな体格に、野太い声の男がシルティアを見下し、隠しきれてない苛立ちに敵意が向けられる


「姫様にお願いが御座いましてね?

大会に不正がありまして、もう一度仕切り直していただきたく。」


にこやかにしているつもりだが、男は笑っていない。


「不正?そのような話、私の耳に入ってきておりません。

それに、大会は1度のみ。

あなたも大会に参加した者なら潔く負けを認めなさい。」


例えどんな男が優勝しようが勝負は勝負。

私はもちろん、観客や出場者にも前もって伝えてあることだった。


「あぁ?こっちが下手に出てればいい気になりやがって!!

俺はこの国の王になる男なんだよ!

お前は黙って俺の言うことを聞いていればいいんだよ!!」


振り上げられた拳に、咄嗟に目を閉じる


「·····?」


「·····無事でよかった、シルティア姫」


痛みのかわりに、聞きなれない男の声が聞こえゆっくりと目を開けるとキラキラと輝く金髪が目の前にあった


「·····あなたは。」


「私はフィブル国第2王子、アイオリア・フィブルと申します。

シルティア姫の危機に馳せ参じました。

申し訳ございませんが、もうしばらく目を閉じていてくれますか?

直ぐに片付けますので。」


アイオリアの言葉通りに、男達が次々地面へと沈められていく。

男達に比べアイオリアは、細身なのにとても強い

最後の男を殴り飛ばし、シルティアへ向き直る


「シルティア姫の前でこの様な乱闘、申し訳ございません。

お怪我はございませんか?」


こちらの状態を気遣い、目の前で乱闘を起こし事に曇る表情に、アイオリアの人柄がよくわかる。

「はい、アイオリア様が助けてくれましたから。」


「安心致しました。

もし宜しければ、城まで護衛いたします。」


「ありがとうございます、アイオリア。

では、城までお願い出来ますか?」


「はい、シルティア姫の仰せのままに。」


恭しく手を取り先導する姿は王子というより、騎士に近かった。

暴漢共は纏めて牢へ連れていかれ、無事に城へと到着した。


「姫、次の謁見を心待ちにしています。」


にこりと微笑み、客室へ向かう彼は非の打ち所がない王子に見えたがどうしてこの大会に出場されたのか気になって仕方なかった。


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