恋も愛も知りたいと思うのはいけない事ですか?
結婚相手ぐらい自分で見つけますから!
恋より愛より仕事一筋のOLの私。
家庭の事情で高校卒業してから直ぐに就職。
学歴や性別、色んな理由をつけ嫌がらせをされたりもしたが毎日必死に生きていた。
そんなありきたりな人生を歩む私にある日、不幸な事故がおこった。
横断歩道を渡っていると大型トラックが猛スピードで突っ込んできて重体。
なんてよくある話だけど、まさか自分がそうなるなんて思わなかった。
野次馬で集まる人々の声、パトカーや救急車のサイレンの音すら遠く感じる
(…トラックにはねられて人生終わりなんて……結婚どころか、恋人すらいないこんな悲しい人生なんてあんまりよ!!
次生まれ変わるなら……)
誰もが羨むような人生を送ってやる!!
そんな願いが通じたのか、転生した私。
そして転生した先で私は真実の愛を手に入れた。
これは、その愛を手に入れるまでの物語である。
アルメイダ帝国、1000年の歴史を誇る由緒正しき国。
その国に住まうお姫様は、黒い長い髪と瞳を持ち、白い素肌をしたとても可愛らしいお姫様。
彼女の名前はシルティア・アルメイダ。
しかし、このお姫様には誰にも言えない秘密があった。
それは、前世の記憶持ちの転生者であるということ。
「姫様、どうなさいましたか?
お茶が冷めてしまいますが·····。」
「姫様考案の新作ケーキ、口に合いませんでしたか?」
心配そうにこちらを見つめるのは、幼い頃から仕えてくれているメイドのサーラと執事のセバス。
栗色のふわふわのボブヘアーがとても良く似合う可愛らしいサーラ。
甘いルックスに低い声、年齢問わずにたらし込む色男 実はサーラと料理が大好きセバス。
「ありがとう、サーラ、セバス。
少し考え事をしていただけなの。」
手に持っていたフォークを静かにテーブルへと戻し窓の外を見つめる。
アルメイダ帝国のお姫様に転生して早14年
日本という高度文明社会の中で生きていた私には、この世界の全てが新鮮だった。
移動の際には馬車や船を使い
機械より魔法が発達し、活気づく国
書物や伝説と言われていた妖精やドラゴンが住まうと言われる世界
誰もが夢にみるファンタジーの世界だ
だが、このファンタジー世界には1つ欠点がある
そうそれはこの世界の男女比が6対4と少し偏っていること。
「姫様、これが今日の御相手のお写真ですわ!」
にっこりと微笑むサーラが差し出したのは、お見合い相手の写真だった。
魔法や国の発展ばかりしてきた代償かはたまた出生率の問題なのか定かではないが、この国には女性がすこし少ない。
そのせいもあり、今日も今日とて品のある小さな机にはこれでもかと積み上げられたお見合い相手の写真があった。
「サーラ、つい昨日も目を通したばかりじゃない。」
はぁとため息を吐きながら、目の前にある写真の山を押し少しでも自分から遠ざける
「昨日は昨日です!
姫様には婚約者を最低でも2人見繕って頂かなければいけません!
これは王命でもあります。」
そう、王命。
我が国ではこの男女比率を解消する為、1人の女性に対して2人の男性と結婚する事を推奨されている。
大抵の女の子達、特に貴族は10を超える頃には婚約者が2人既にいる場合が多い。
稀にお互いだけを愛し、結婚する人もいるが本当にごく稀である。
「姫様がこのまま、婚約者を決めずにいるのは周りにも示しがつきません。
姫様は王家の血を引く唯一のお方ですから。」
サーラの言うことも理解できるが、こう毎日お見合い写真ばかり見せられては嫌にもなる。
「しかし、最近姫様は難しい顔をしてばかりだ。
もし、疲れたら俺のケーキをたくさん食べてくれ」
先程までの暗い気持ちはセバスの甘い顔と低めの声、手に持つ可愛らしいフルーツケーキのギャップにやられてしまい内心悶える。
2人に用意して貰った、程よい甘さのカスタードに甘いフルーツがたくさんのったケーキ、スッキリとした後味のストレートティーが美味しすぎて自然と頬が緩む
「やっぱり、私もう少し2人と一緒にいたいわ。」
にっこりと微笑むと、2人は少し頬を染めこちらを見て
「「姫様…!……ダメですよ。」」
嬉しそうにする割には、冷静に返す2人に項垂れる
「もう、私よりあんた達が先に結婚しなさいよ…」
と、小さく呟いた言葉は2人の小言に紛れて消えた
そんなやりとりをした数週間後、アルメイダ帝国創立1000年を記念した大々的なパーティーが開かれることに。
そのパーティーで私の人生が大きく動き出す。
りおんの処女作になります。
誤字脱字、気になる点がございましたらコメントお願いします。
基本毎日1話更新の予定です。