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第十七話 反撃開始

 セクションセブンで起きている事を知らない茜は、いつもの様にタコ口で半目を開けて居眠りをしながらモニターに並ぶ数字やアルファベット、記号を眺めていた。


 そんな時、突然画面が切り替わった。

 そこに現れたのはヒロヤの姿だった。


「うそでしょ! そんな、『オリオン』が破られたって言うの!!」

「茜、やっと会えたね! 僕を見て・・・」


 笑顔で語り掛けて来るヒロヤ。

 突然の出来事にその場に立ち尽くす茜。

 何が起きたか理解してない周囲の三人は、茜の方を向き固まっていた。

 そんな中一平のPCに茜の姿が現れ、語り始めた。


「私が愛しているのは三上博也みかみひろやただ一人」


 同じ内容を繰り返している。


 一平はその画面と内容を確認した後、茜の方を見る。

 立ち上がっていた茜にもその様子を確認する事が出来た。


「私じゃない・・・それは私じゃない!」


 否定する茜の様子を見つめていた一平の口からは、


「『ディープフェイク』・・・でも、一体だれが! 

 何のためにこんな事を?」


 立ち尽くしていた茜は、


「私のせいだ・・・・・・」



 ヒロヤがセクションセブンのセキュリティーを突破した事で、セクションセブンに混乱が起きている事を察した茜は急いで部屋を出てセクションセブンに向かった。

 残された三人は動けずにただ茜を見送った・・・・・・



 息を切らしてセクションセブンの扉を開けた茜はただならぬ雰囲気を感じ、予想が的中した事を知る。

 部屋を見渡し、椅子に座ってうなだれている牧村を見つけて駆け寄る。

 凄い勢いで駆け寄って来た茜に気付いた牧村は、


「どうしたの? 茜ちゃん」


 牧村の問いかけに深々と頭を下げて、


「すみません。全て私のせいなんです!」

「どういう事? ちゃんと説明して?」


 茜は要点を整理して自分のAIプログラムと一平のウイルスプログラムで進化したヒロヤの事や、ヒロヤが犯した事件などを説明した。

 説明を受けた牧村は、


「そういう事か! あなたと一平君のプログラムが元になっているのなら手はまだ有るわ!」


 そう言って牧村はサクラの方に向き直し、


「サクラ! この前の一平君との防衛訓練の時に採取したサンプルデータを抽出してメモリに転送」

「はい!」


 再び茜の方に向き直した牧村は、


「ありがとう。進化したヒロヤは手強くってパターンプログラムがどうしても分からなかったの!

 見てなさい、ヒロヤ。この牧村姉さんを怒らせた事を後悔させてやるわ!」


 そう言って茜の肩に力強く手を乗せた。


「メモリ。準備出来ました!」

「ありがとうサクラ!」


 サクラの手からメモリを受け取った牧村は、


「茜。付いてきて!」


「私に出来る事なんてあるんでしょうか?」


「何言ってるの、ヒロヤはあなたの元カレなんでしょ! 

 しつこい男は嫌われるって教えてあげなきゃ!!」


「はい!」


 牧村は机の上に有ったカラーテープを手にして茜と共に部屋を出た。

 長い廊下を歩いて、エレベータの前で待つ二人。


「それにしても可笑しなものね」


「何がですか?」


「今まで散々失敗してきた二人のプログラム合成が、ヒロヤを媒介する事で完成するなんてね!」


「すみません」


「怒ってるんじゃないのよ。数々のノーベル賞受賞者も悩みぬいた末のふとした失敗かなんかで偉大な発明を成し遂げるって、昔なんかの本で読んだな・・・・・・

 茜! もしかしたらあなたノーベル賞行けるんじゃない?」


「からかわないでくださいよ~!」


「「あはははは」」


「良かった。やっぱり茜は笑顔じゃなきゃね!」


「ありがとうございます!」


「いい、茜。こっからが本番よ! 気を引き締めて行くわよ!!」


「はい!」




 到着したエレベータに乗り込む二人。


 決着の時が、刻一刻と近づいて来ていた・・・・・・















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