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第十六話 浸食

 何時もの様に業務が始まりPCに向かい入力作業を行う一平とハルカ。ホクロ田は競馬新聞を見ながら熱心に赤鉛筆を持って何やら書き込み作業を行っていた。


「先輩!先輩ってば!!」


 ハルカに肩を揺らされ意識を取り戻す茜。


「ハルカ。ごめん、寝てた・・・」


「どうしちゃったんですか? 先輩が居眠りなんて。珍しいですね!

 今日は雨でも降るんじゃありませんか?」


「あはは。ちょっと色々あってね・・・」





 その頃セクションセブンの中央モニターを見つめる本部長の牧村冴まきむらさえは、オペレータの町野桜蘭まちのさくらに向かい、


「サクラ。どうなってるの?」

「現在『オリオン』が大規模侵攻を受けています」

「防衛省の『オリオン』はどう?」

「異常数値は検出されていません」

「狙いはここね!」

「発信元、特定急いで」

「はい!」


 牧村は足早にその場を後にしてセクションセブン分室の一平の元を訪れた。


「一平ちゃーん。調子はどう? 打ち合わせ無の攻撃はやめてくれるかな~」


 少し怒り気味の牧村の言葉に理解出来ない一平は、


「僕じゃありませんよ! 今はプログラム改良作業中です」

「えっ!!」


 牧村は一平の言葉を聞いて足早にその場を後にしてセクションセブンへ急いだ。


「一平君の他にこれだけの規模の攻撃を仕掛けて来る相手って一体・・・」


 再びモニターの前に戻って来た牧村はサクラに対し、


「状況を報告して」

「はい。現在『オリオン』への浸食率50%を突破。以前浸食速度止まりません!」

「発信元は?」

「追跡を行っていますがどのラインも追跡後すぐに情報が消滅して追跡不可能です」

「テレグラムを使用してる? 相手はロシア・・・・・・」


 腕を組んで爪を噛みながら対策を考える牧村。


「サクラ、一番新しい侵入ラインに絞って出力を集中してみて頂戴!」

「はい。やってみます!」


 サクラの座っている椅子に手を掛け、食い入る様にモニターを見つめる牧村。


「捕まえました!」

「相手はどこ?」

「東京・ソウル・シンガポール・オーストラリア・香港・ロスアンゼルス・・・・・・」

「そんなバカな・・・」

「世界の主要都市を経由しての一斉攻撃です」

「そんな事が可能なの?」

「なおも浸食率上昇。80%を越えました。待ってください。今、発信元の一つの解析終わりました」

「出して頂戴」

「モニター出ます!」


 そこに写し出された情報を見つめて牧村は、


「ブロックチェーン内からの攻撃・・・・・・」

「なおも増殖、侵入ライン増えて行きます!」

「万事休す、か・・・・・・」

「浸食率、90%を越えました。どうしましょう?本部長・・・」


 不安そうに見つめて来るサクラに対して牧村は、


「防衛省の鴻池次官補に繋いで頂戴」

「はい。今モニターに出します」


 モニターに映し出された制服を着た中年男性に対し牧村は、


「閣下、ご無沙汰しております」


「おお。牧村君、久しぶりだね。元気にしてるかね?」


「はい。おかげさまで。突然のおよびたて申し訳ありませんが現時刻をもって、セクションセブンはコードレッドを発令いたします」


「正気かね君! 国の威信をかけたオリオン計画が破られたと言うのか?」


「申し訳ございません。つきましては『サジタリウス』の使用を許可していただきたく・・・」


「バカを言っちゃいかんよ君、あれは憲法違反で私の権限では・・・」


「現在進行形で攻撃を受けております。正当防衛の範囲内と考えます。

 それに試作品はこちらにあります。全責任は私が取ります!」


「待ちたまえ。牧村君!・・・牧村君!」


 話が終わる直前に通信が途絶えた。


「浸食率100%『オリオン』突破されました」


一つため息を吐き牧村は部屋全体を見渡し大きな声で号令を発した。


「メインフレームとの接続遮断。ここの国家機密情報の保護を最優先に物理メモリに情報を移転後速やかに情報を破棄。これ以上相手に好きなようにさせないで!」

「はい」


部屋の全ての人の視線を集めていた牧村の言葉に各自作業を開始する。


 椅子に座り、頭を抱え込む牧村。


「やられたわ!」


 牧村の号令の元、国家機密保全に向けて慌ただしく作業に追われるセクションセブンの人たちであった・・・














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