モフなヤツと出会った
転生に時間がかかりました。
あと文章書き方に関しては自己流でやっていこうと思うので、コレは酷いと思う物も多々あると思います。コレは酷いと思ったら評価を下げてください。それを参考にして色々と考えていこうと思います。
神漏岐は目を覚ました。辺り一面がデロデロの沼地帯で。その沼地を囲むようにして森が広がりをみせ、遠くには山の連なりが見えるような山間の地域。よく見れば神漏岐の今眠っていた半径数メートルの場所だけが、水分の乾いた土地となっていた。
「・・・ここがそうなのか」
自分の言語が別の物に代わっている事に気付く。コレは日本語ではない別の言語で、何となく、この言葉を理解し話せることに気付いた。
(まずは全裸を何とかしたいな。股間の当たりがスース―する)
神様達は神漏岐に一枚のパンツも与えぬままに転移させた結果、一糸まとわない姿で転移して来たのだった。
(パンツが先か、ステータスを見るのが先か・・・そもそもステータスというのは簡単に見ることが出来るのか?)
悩みに悩んだ結果、色々な方法でまずはステータスを開く事に挑戦することを目標とした。
そしてその結果、神漏岐は腕をクロスして開くというステータスの開き方を身に着けた。
ステータス
名前:トイチ カムロギ
性別:男
職業:
称号:
隠し称号:転移者
年齢:19歳
種族:人族
レベル:16
体力:140
魔力:0
攻撃力:90
防御力:80
素早さ:100
賢さ:130
器用さ:60
幸運:5
通常スキル
情報不足
エクストラスキル
情報不足
ユニークスキル
・債権者 【1】
|
レベル1
相手にモノを貸しやすくなる
・虎視眈々【1】
|
レベル1
戦闘時間が長ければ長いほど、戦闘能力が一時的に向上する。
・辛抱者【1】
|
レベル1
精神的、身体的攻撃を受ければ受けるほど、レベルが上がる。
加護:サマエルの加護
装備評価FFF
・全裸
評価説明
人権を持たざる者の装備。家畜装備。
もう一度腕をクロスすると、ステータス画面は消えた。
(人前じゃあ恥かしくて出来ないだろうな・・・)
彼は、人前で腕をクロスすることを拒んだ。実際には強く念じることさえできれば、ポーズ無しで開く事が出来たが、それをカムロギが知るのは随分後の事になる。
(次は衣服だ)
全裸で立っていてはいつ捕まるか検討もつかないということで、まずは大きめの葉っぱを探すことにした。蔓もあれば、とりあえず急所だけは隠せるだろうと考えたのだ。
(最高の姉さんに出会う時に全裸は失礼だ。紳士用の葉っぱがあると良いな)
カムロギはまだ見ぬ姉に心をときめかせ、せっせと沼地の中を進み、衣類になりそうなモノを探した。温暖な気候地帯なのか、心地の良い温かさが続いていたが、ソレが夜も続くとは考えにくかった。
(とりあえず何か。葉っぱ一枚、良い大きさのものはないものか)
探していると、一頭のワニが沼地から顔を出して眠っているのを見つけた。色は黒く、体長三メートルはあるだろう巨大なワニ。当然、今のカムロギが真正面から殴って勝てるような相手ではない。
しかしカムロギの目には既に黒いワニの皮を腰に巻いた自分が投影されていた。そして、カムロギはワニを狩ることを決意する。姉を前提とする選択を前に、メリットやデメリットを考えるほど器用な男ではなかったのだ。
(となるとまずは道具集めだな・・・)
カムロギは、まず木の枝を折って木のバットほどの棒を手に入れた。葉っぱをむしり、こん棒の代わりとして一本丈夫な棒を手に入れた。
(ヨシ・・・いい棒だ。元気な状態でへし折ったから、ウリボーぐらいなら平気で殴り殺せそうだぞ)
バットや鉄パイプを扱うのには少し自信があった。前世でやっていた仕事の経験が生きていた。
(毒キノコとかジメジメしてそうだから生えてないかな・・・っと)
沼地をぐるりと一周するように散策すると、毒キノコを見つける前に、全裸のところを原住民の方に見つけられることとなった。原住民達の一人は猫が二足歩行で歩き、人の大きさになったような見た目をしていた。長靴を履いた猫ではなく、鎧を着こんだ猫だった。
「あのー、すいません」
カムロギはその原住民にコンタクトをとることを試みた。全裸で。
「き、貴様!獣人語を話せるのか!!!」
横にぽっちゃりの猫人が、そんな驚きを顔に出す。
「・・・はい!」
よく分からなかったが、カムロギはノリで誤魔化した。カムロギはふわふわの輩と話している今の奇跡に比べれば、自分が言葉を話せることは奇跡でも何でもないのではないかと思ったのだ。
「服はどうした!!?」
「神様から全裸で送られてきたのでありません、服を作るのに協力してくれませんか!」
「おかしな奴だな・・・少し待て」
原住民は後ろの同じく原住民の仲間達らしき者達と、ひそひそとカムロギに聞こえないよう何やら話を済ませると、警戒を緩めたのか、槍を持ったまま近づいて来た。
「お前、もしかして転移者か?」
この言葉に、カムロギはイエスと答えるかノーと答えるかで疑問を持った。イエスと答えて、服ではなく槍を突き出されたら死んでしまう。逆にノーと答えて更に自身をあやふやにするのもどうかと思えた。
そのため、彼はこう答えた。
「敵意はありません。その転移者というのもよく分かりませんが、仲良くしたいです」
頭のおかしいヤツと思われたなら、それはそれでいいだろう。敵対行動をとるような者ではないということを、カムロギは自分の話している言語を信用して伝えたかった。
「全裸のヤツと仲良くなりてえ奴はいやしないだろ、ハハハッ」
「諸事情で服がないんです。お願いです、あのワニを狩るのを手伝って下さい」
「お?おう・・・?じゃあちょっと待ってな」
また猫は仲間の元に戻ると、ワニの方を槍で指したりして話をし、やがて一つの段取りを終えたのか、カムロギの元にやってきて小さな短剣を手渡してくれた。
「お前が不信な行動をとっていたもんだから、予め鑑定を使って確かめさせて貰っていたが、お前レベルじゃあ、俺達の手伝いも無理だと思うぞ?」
「30レベル離れていては駄目ですか?」
「・・・お前やっぱり転移者だろ」
この常識知らず、といった目で見る猫の輩。カムロギに渡された小さな短剣は綺麗に磨かれており、何度も使われているようではあったが、手入れが行き届いていた。
「え・・??何のことやら。俺達友達ですよね?」
「・・・違うぞ?」
「おや?まあ、とりあえずそのことは置いておいて、あのワニ・・・どうする?」
「あー・・・なら俺らが狩るから、お前はちょっと待っとれよ。素材も分けてやるから」
「本当ですか、あぁそれはありがたい」
「どうせ行く当てもないって言うんだろ?」
前にも誰かの案内をしたような、安定した誘導にカムロギは流されそうになるも、適当な演技で誤魔化した。しかし、カムロギには演技のスキルは持ち合わせていなかった。
「・・・どうでしょう?」
結果としてカムロギから出たのは、人を小馬鹿にしたような三流演技のみだった。それを可哀想に思ったのか、それとも原住民達の中ではカムロギの処遇を決めているのか、円滑に物事は進んでいくのだった。
「行く当てがあるのか?ないのか?」
「・・・ないかも知れない」
「ふうん・・・まあいいだろう。ちょっと待ってな。それとも経験値が欲しいなら、その短剣でも投げてみるか?」
二足歩行猫の原住民は、ギリギリまでワニにカムロギを近づけ、カムロギが短剣を投げて当てられる距離にまでの安全を確保した。
「ッダ!」
渾身の力で投げた短剣は、加速をつけてワニの頭部を突き抜けた。
〔グぉ゛お゛お゛お゛お゛・・・・〕
ワニは貫通した顔の半分を苦しむように、唸りをあげ、近くに立っていたカムロギに向かって、予想を遥かに超える速度で突進した。
「ほう・・・なかなかにやる変態だ!」
「俺も驚いた」
「仲間の元まで逃げるぞ、手につかまれ!!!」
ふさふさの右腕を差し出され、それにつかまると、ワニに劣らない速度で猫は駆けだした。ぬかるむ沼地を草原の大地のように、泥をまき散らしながらの猛スピードで駆けた。
「後少しで仲間の元だ!気失うなよ!」
ネコ人の走る速さはワニよりも早く、静かで、力強かった。
「・・・ァ!!」
全身の肉がぶるぶると強風に叩かれているように震える。しかし意識は失うこともなく、止まる頃には先ほどよりも何故か強くなったような気がした。
「ヨシ、どうやらレベルアップしたみたいだな。カムロギ」
ワニを攻撃したことによる経験が、価値となって蓄積された。神漏岐はまた一つ強くなった。
「勝手に中を覗かれているようでムカつくんですが」
「まあ、コレでお前は晴れてその異常性を認められ、俺達から転移者として身バレしたということでヨシとしようじゃないか」
まさかと、カムロギは手を小さくクロスさせてステータスの画面を開く。
ステータス
名前:トイチ カムロギ
性別:男
職業:
称号:主攻略者
隠し称号:転移者
年齢:19歳
種族:人族
レベル:20
体力:160
魔力:0
攻撃力:120
防御力:85
素早さ:120
賢さ:135
器用さ:68
幸運:4
通常スキル
棒術【1】
|
レベル1
初心者
エクストラスキル
なし
ユニークスキル
・債権者 【1】
|
・虎視眈々【1】
|
・辛抱者【1】
|
加護:サマエルの加護
装備評価FFF
・全裸にこん棒
評価説明
人権を持たざる者の装備。家畜装備
「・・はぁ、そんなに異常って程変わってないじゃないですか」
「その反応は転移者らしいな」
「なるほど、ハハハ・・・」
(・・・このやろう)
「まあ何かの縁だ、カムロギ少年がこの世界に来た記念を祝して。仲間達の倒したこのワニを進呈しよう。良いな!?お前達」
『・・・・・』
(全員が無視しているように見えるが・・・)
「よっし、ならとっととコイツを研究所まで運んじまえ」
『了解』
二足歩行で歩く猫の原住民の部下達は、巨大なワニを抱えて何処かへと去っていった。
「何から何まで色々とありがとうございます」
猫達の歩幅と歩き始めてからの時間を計り始めるカムロギ。コレで大体の距離を把握し、方向さえ間違えていなければ追いつく事が出来る算段だった。原住民達はカムロギに親切な対応をとったが、失礼なことにカムロギは、まだ彼らの事を疑り深い目で見ていた。
「いやいや、俺達も元々流れ者だったりするんだ。だから気持ちはよーくわかる。不安だったんじゃないか?転移者なら、いきなり俺が喋ってビックリもしたんだろうし」
カムロギは本音で話すべきかどうか迷った。最高の姉に出会う以前にこの猫と戦闘になるのは何としても避けたかった。傷だらけで姉にあうのは耐え難かったからだ。
「まあ・・・確かに。色々と不安に思うこともあります」
審議の結果、カムロギは真面目に話すことにした。何時までも疑っていてもしょうがないと諦めたのだ。
「俺の名前は、ロンデンバブル・スコティッシュという。『お前達と同じ転移者からはスコティッシュフォールドが喋ったァ!キェェェイ!』とよく分からん事を言われているんだ。お前には意味が分かるか?」
「あぁ。確かに似ていますね」
金色の瞳にペタンと垂れた耳。確かに喋るスコティッシュフォールドだとカムロギは思った。猫背で座るロンデンバブルは壮齢の者であったとしても、随分と幼い生き物に見えた。
「それは何かの生き物なのか?」
「品の高い生き物です」
「ほう・・・そうなのか」
正確には品物としてお高いネコちゃんだと言い換えたいカムロギだったが、ロンデンバブルはその説明で満足しているため、自身も下手に言い換えることを止めたのだった。自分が、ロンデンバブルの言葉によって表情を和らげられたことも知らずに。
「そういえば、ロンデンバブルさんの民族はなんて名前なんですか?」
「見て分からないか?・・・というよりも、お前さん、多分なんの種族がいるかも知らないんだろうなぁ・・・。えーっとなぁ、俺や研究所の奴らの四分の一は獣人族と呼ばれる種族だ。共通の種族から生まれたって言う伝説はあるが・・・首が異常に長い獣人がいたり、鼻が異常に長い獣人がいたり、最も種族の中で分類分けが面倒なのが獣人族で間違いない」
カムロギは動物が人型になっているのが獣人なのだと考えた。そして、ロンデンバブルに何かの説明を求める時は覚悟をするべきだとも。正直彼の説明は、ごちゃごちゃしていて理解するのに少し時間をとられた。
「それに人族。コイツらは皆にたような姿かたちをしている。微妙な違いはあるが、大体俺達は仲の良い奴らしか区別できない。転移者も大体人族だな」
一応人間がいる世界だということに内心ホッとするカムロギ。出来れば姉は人間であって欲しかったからだ。
(犬や猫であろうとも、俺の姉さんなら、それはそれで受け入れよう)
「あ、またレベルが上がった・・・」
「転移者ってのはココに住む俺達よりも成長が早いからな。直ぐに強くなれる。まあ、だから経験が比例しないで、直ぐ死んじまうって欠点もあるが・・。って、色々話したい事も増えて来たな。ここじゃあなんだ、俺達の研究所にそろそろ案内するぜ。荷も運び終えたぐらいだろうしな」
カムロギはロンデンバブルという猫の獣人と知り合いになった。
温かそうな毛皮を持つ猫の獣人ロンデンバブル。太めな体は親分の証、そんな彼に早速正体が身バレしたカムロギは今後どうするのか。次回に続く。