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名もない物語  作者: 細川女々男
小々波春香の三つの願い
2/2

2 『手がかりの紙切れ』

思春期。

それはどんな人にも訪れる事であり大人になる大きなポイントである。

俺はそんな風に解釈している。

そしてそれは急に訪れるものであり俺はある出来事ですごく傷つき悲しんだ。


「美湖ちゃん今日もいつもどおり僕の家でゲームしよ」


少年は笑顔で少女に語りかけた。二人は幼馴染であり仲の良い二人だ。


だがいつもの様に笑顔で頭を縦にふることは無かった。


「嫌よ!男の子と遊ぶなんてき、きもい」

少女は少年の目を一切見ずに直球な意見を物申した。


少年は驚き何かの間違いなのでは?と顔をしかめたが少女はそのまま教室を出て行き廊下で待つ三人の女の子と何処かへ行ってしまった。


「ねぇー美湖ちゃん、小々波と仲良いの?」

「そんなわけないよ!男と遊ぶのなんてキモいもん」

「だよね!いこいこ!」


そんな会話が俺の気持ちを全て踏みにじった。


それが美湖と俺の最後の会話だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


二人を呼び止めた少女は俺らの元へ向かってきた。


三年近くは見かけなかったがその少女が笠谷美湖だということはすぐにわかった。


変わらない茶髪で艶のある髪。染めている筈なのに全く痛む様子もない綺麗な髪だ。

目はクリっとしていて近づいて来るにつれ懐かしい匂いまでした。


「げ、美湖かよ!お前俺らと学校違うだろ?どうしたんだよ」


サルは頰を引きつらせながら美湖に向かって指を指した。

美湖はその指を叩き睨みながら指を差し返した。


「うるさいわよ響。ちょっと二人に用事よ。あと指差すなんて失礼ね。まぁ相変わらずか響わ」

嫌味を叩き込みながらはぁーと肩を落としながらため息をついた。


そんな二人をただ見ているだけでいつこいつらを止めればいいのかと傍観していた。


だいたいこのやり取りは昔からであと二、三トークバカにして俺が止めに入る。


「美湖だって指指しただろ!お前も相変わらずだな!」

「好きに言いなさい。この単細胞サル!」


そろそろかと言うタイミングで俺が二人の間に入り止めに入った。


「それで美湖は俺らに何の用だ?わざわざ朝の忙しい時間に」


俺は美湖がわざわざここまで来たことよりも、早く角を曲がり学校での出来事の方がすごく気になっていた。


体は美湖の方を向いているが時々後ろの学校の方に首を回してしまう。

そんな状態だ。


「ごめんねバカに気をとられ過ぎた!今から一緒に駅にあるヌポッチャいかない?」


俺もサルも唖然とした顔をしていたと思う。

見た目が少しチャラついても口が多少、すごく悪くても真面目を貫き通す。そんな女だと俺らは思っていたから。


そんな女からまさかのまさか学校をサボって遊びに行こうと誘って来たのだから。


口を開いたサルがそのまま声を発した。


「え、お前学校サボったことなんてないだろ?どうした急に」

「サルの言う通りだ!遊びに行きたいなら今日の放課後でいいだろ。終わったらお前の学校の正門まで行くからさ」


「そうだよな春香俺もその意見には賛成だ。」


美湖はとても不機嫌そうにこちらを睨みつけてきた。


本来なら俺は美湖の言うとうり三人で遊びに行ったかもしれない。


しかし今の春香の頭にはそんなことより事件の真実の方が気になってしまった。


「いいじゃないたまには今からサボっても……。お願い」


と丁度のタイミングで学校のチャイムが鳴り響いた。


二人は顔を合わせてヤベっという表情で回れ右をした。


「わりぃな美湖また後で!」

「ごめん後で」


二人は急ぎ足で曲がり角を曲がり学校へ駆け込もうとした。

だがそこにはいつもの学校はなく門には多数の報道陣が押し込もうとし、中にはパトカーや救急車が数台止まっている形だった。


「おいおいどーなってんだよ春香。」


俺はやっぱりパトカーは学校に向かってたと確信し、生徒の話は本当なのだと疑問が確信に変わる瞬間であった。


門越しに校長が報道に何かを言いながら頭を下げている。そんな場面に遭遇し、イジメを疑われているのも理解した。


「とにかく教室へ上がった方が良さそうだ。行こうサル」

俺はサルに手招きをし報道陣を避け中へ入ろうとするが

あまりの多さに門に近寄ることも出来ず人の波に飲まれそうになるだけであった。


人混みを見ると数人生徒も混ざっているので俺らと同じように巻き込まれたのだと理解したが彼らも俺らもそこから出る事はできなかった。


「おい!君たちこっちに来なさい!」


一人の教師が俺らの方へ手招きしていた。


だがほんの数メートルの距離というのはわかっているのだがなかなかその距離を詰めることが出来ずに立ち止まっていた。


進みは戻りを繰り返していると大きな手が俺の腕を掴み引っ張りだしてくれた。


「大丈夫かよ春香」

さすが猿。こーゆときは本当に助かる。


教師に連れられ裏門から満を持して入る事ができた。


裏門とはいえ数人マスコミが陣取っていたがなんとか避け入る事が出来た。


「先生!こんなにマスコミがあってなんかあったのかよ」

サルは未だになにがあったかイマイチ理解しておらず先生に聞くという形で真相を気にし始めた。


先生は顔を引きつらせながら一息入れ静かに語り始めた。

「今朝警備員さんが学校を開けると屋上から飛び降りた一人の生徒の死体が見つかった。二年柔道部の四部君だ。あまり詳しい事は話せないが今警察が詳しいことを調べて下さっている。とにかく君たちは教室へ上がって担任の指示を待ちなさい。」


生徒の話していた内容でほとんど間違いは無いらしい。

関わりはなかったが学校生活を順風満帆に過ごしていた彼には思い悩むことがあったのだろうか。


ふとグラウンドの方を見ると花壇に一枚の紙数が刺さっていた。

俺は仕方なく紙を拾いゴミ箱に入れようとした。


すると何やらなにか書いてる。


ータイトル憐れな四部君ー

彼に声をかけると彼は喜んで取り引きに応じた。バカだと思


「おい!なにしてんだよ春香行くぞー」

「お、おう」

俺は読んでいる途中の紙切れをポケットに入れサルの元へ向かった。


さっきの内容。自殺した彼の事が書いてあった。

俺は大変な物を拾ったのかもしれない。警察にすぐさま見して事件へ貢献しないといけないとは分かっているがあの彼がどうして死を選んだのか自分の目で確かめるまではと思い、罪悪感があるものの自分の中の好奇心と探求心には勝てなかった。


紙切れが気になりすぎて教室での一連の流れなんてほとんど覚えていなかった。


さっき聞いた通り亡くなった事を伝えられて、同じ学年だからということで一人一人事情を学校側、警察側計二回やり取りをした。


気がつけばもう昼食の時間で俺はアレを読むべくトイレへ駆け込んだ。


ポケットから紙切れを取り出して開いた。先ほどの文字の書いてある裏にも何か書いてある。


ー天才悪魔ア・クマリ作。感想、契約はここまで012345678ー


なんだこれ?

悪魔?契約?


これがクマリと俺の出会うきっかけだった。




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