第一魔術「メテオボンバーとその末路」
初心者の投稿です。
文法、誤字等ありましたらコメントいただけると幸いです。
大翔くんが初めての魔法ぶっぱなします。
ドガン!とです。
業者さんは一体どう対応したんでしょうか。
いつものごとく、不機嫌絶好調で目を覚ました僕は
辺りを見渡し、一つの結論を導き出す。
「はぁ、また一日スタートでございますか…」
部屋にいつもと変わったところなど一つもない。
不思議なことがあるとすれば、しまってあったはずの
マンガ雑誌が一冊転がっている程度だろう。
「あの漫画出したっけ?」
そんなことを考えながら学生の戦闘服へと着替えを始める。
ピカピカでかっこいいと思っていた制服も
一か月もたってしまえばもう、かっこよくもなんともない。
ただただ、僕の体を暑さという病魔でむしばんでいくだけだ。
そう、今日でちょうど一か月なのだ。
悪魔の試練を乗り越え、目標の高校「東京都立道間高校」に僕は入学した。
東京都真名田区に位置するこの学校は生徒数四百五十名ほど
面積七平方キロメートルというほとんど平均に忠実な学校である。
(この間調べてみて本当に平均の数値だったのはびっくりした…)
これといった特徴も、強いと有名な部活動もない。
今思えば、なぜこの高校に入ろうと思ったのだろうか…
そんな高校に通い始めて一か月、正直
僕はこの生活に不満を抱いている。
なんの変化のないこの日常に
そして変化しようとしない自分自身に嫌気がさしていた。
そんな時に見始めたのがあの夢だった。
始めのころは自分には何か力があるのでは、とか
意外と必殺技とか使えちゃったりできたり、とか
いろいろ考えもして、実際に叫んでみちゃったりもした。
しかし、その結果得たものといえば
隣の部屋の住人(姉)からの強烈な一撃と
痛い人を見るような眼だけだった。
そして僕は男子高校生なんてこんなものかの痛感した。
そこから何もない日々を続け、今に至る。
何かを変化がほしいと思いながら
なにもしようとしない自分は
ただただ、自分の世界だけにいるただのダメ人間だと自分でも思う。
そうして僕は布団をたたみ終える。
「…疲れた」
ため息をついたときにふと、さっきの雑誌が目に入った。
僕は振り返ると雑誌を手に取る。
よく見れば子供の時、大好きだったマンガが載っている。
確か魔法ものだったかな。
パラパラとページをめくっていく。
すると、あるページに手が止まった。
主人公の魔法使いがご自慢の
必殺技「メテオボンバー」を打つシーンだ。
今見てみると、すごくダサい、いや、すごいという
レベルではなく、チョーダサい。
メテオボンバーってなんだ、髪型か…
でも、好きだったなぁと思うと、あることを思い出した。
魔法使いごっこをやった、という記憶だ。
適当な言葉を並べて、唱えるだけでも
その時は楽しかった気がする。
そんなことを考えるとなぜか唱えてみたくなった。
幸いまだ姉は夢の中だろう。
うちの女は朝に弱いのだ。
多少辺りを見渡してから
右手を空にかざし、唱える
「数多なる星々よ、我の呼びかけに応じ、そして我が力となれ
必殺 メテオ ボンバー! 」
。
。
。
。
。
「はぁ」
いつものごとく期待を裏切られた。
隣の猛獣が目を覚ます(襲われる)前に
さっさと学校に行こうと鞄を抱える。
しかし気づく、そういえばスニーカーが干してあったんだった。
振り向きベランダの窓を開けようと手をかける。
しかしその日は、なにかが違った
次の瞬間、砂煙と爆音とともに僕の目の前からベランダが消えた。
本当に一瞬だった。びっくりしたあまり腰が抜け、
加えて後ろにひっくり返ってしまった。
「ほえええええええ!」
目の前で起こったことが理解できず思わずただただ奇声をあげる。
ポキャ貧でなければもっと別の言葉を言えたのだろうか。
自分の詠唱の数秒後にベランダが消えたのだ、
その事実に脳みそがついていっていない。
これは、もしや
「ついに僕の力が目覚めたんだぁ!」
思わず声に出してしまった。
今まで見てきた青い世界はただの変な夢ではなかった。
そしてこれから僕の魔法を使った敵との戦いが始まるのだ。
そんなことを考えながら、かざした右手を見つめる。
しかし、敵はもっと近くにいた。
重く響く木のきしむ音が下から聞こえてくる。
まるで地獄で咎人を裁く閻魔大王が
いや、それ以上のものが下からやって来ている。
本能でそれを感じ取った僕はとっさに身構える。
しかし、時はすでに遅かった。
次の瞬間、叫び声とともに僕は逆さになっていた
「大翔ぉぉぉぉおおおおおお」
「お前一体何をしたあああああ」
そう、敵がやってきた。
滝沢花蓮、悲しいことに僕の母親だ。
いっておくが、僕は別に小さいというわけではない。
身長170cmの普通サイズの高校生だ。
そんな僕を軽々と持ち上げる魔王はまさしく
魔王という字そのものだ。
「ぼ、僕はなにもしらないですううう」
そんな言葉に耳を傾ける気はないらしく、僕をぶんぶんと振り回す。
やばい、魔法人生が始まる前に人生終わりそうだ。
「嘘をつけええ、ベランダはどこに行った」
「ひいぃいいいいい」
弁解の余地もなく無造作に
殴られ、吹っ飛ぶ僕。
「DVだ、DVだ」
「問答無用、成敗!」
閻魔大王は慈悲の心など持ち合わせていなかったようだ。
「ギャー」
その後僕は、魔王に業者に電話をさせられ
加えて隣の猛獣にけられたのちに
ようやく家を出発した。
うちの女どもは男にやさしくない…
幸いなことに、家から学校までの距離は短く
走れば徒歩五分ほどでつくだろう。
まったく、遅刻したらどうするつもりだったんだ。
僕は学校への坂道を登りながら
あの時かざした右手を見つめ、考える。
あれは一体何だったんだ?
夢と関係しているのか?
なぜ隕石が降ってきたのか?
はてなマークが、僕の頭を埋め尽くしていく。
簡単に納得してはいけない気もするが
とりあえずここは飲み込もう。
どこか、人気につかなそうな場所で、
今度は小さい声で試してみようっと。
そんなことを考えていたら、ゴンっという低い音とともに
急に目の前が真っ暗になった。
「うう、やっちまった。」
どうやら顔面から電柱に激突してしまったらしい。
周りには道間高校の生徒もいるというのに。
ああ、こんなことをクラスメートに知られでもしたら
瞬く間に僕は笑いものの座へと昇り詰めることになる。
今、この瞬間ほど今まで死にたいとおもったことはなかっただろう。
普通、電柱に頭からぶつかることなんて幼稚園児でもない。
それを一高校生がやってしまうなんて
魔法のことで、もう浮かれてしまっていたみたいだ。
これからはもう少し、気を付けよう。
そう思って、鞄を拾おうとしたら
後ろから肩をたたかれた。
はぁ、早速冷やかしか。
うまくあしらって、とっととご退場いただこう。
そういう作戦を立て、後ろを振り向くと
そこにいたのは冷やかしちゃう系男子ではなく
白髪の髪をなびかせ、僕を見る
瑠璃色の瞳をした、ロリ系美少女だった。
初心者でごめんなさい。
続きもぜひ見てください