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めがみ様と精霊と私  作者: 木瓜乃ハナ
18/24

ユウリアスの二度目の危機!

ジョンソンは、兵舎に戻りながら、考えていた。

噂は殿下のお留守の間のうちに広まっている。

今までは、貴族たちの足の引っ張り合いで様々な噂はあったが、働くもの達の食堂で、それも厨房の洗い場にいる者の、噂を流してなんの利益があるのだ。

ユウがあまりにも美しいからなのか?ユウが人並み以上に美しいからと言って、貴族やまして殿下の目に留まるわけはないであろう。接点が全然ない。

まさか、殿下が何か動いたのか・・・・殿下自ら動けば噂は殿下になるはずだ。

しかしこのままでは、ユウの身が危うい・・・昼間の事もある・・どうすればいい。

我が家に連れていきたいところだが、ユウは行くわけないだろう。

ユウは、殿下と女神の約束を気にしている。ジョンソンは頭を抱え込んだ。


厨房では、少ない灯りの元で一人掃除をしていた。

午後の休憩時間を過ぎて皆に迷惑を掛けてしまったので、自分から進んで掃除をひきうけたのだった。

ユウは、同じ部屋にいる人が自分より先に、寝て休んでいてくれた方が良かったのだ。

数日前より、同室の人たちが私と距離を取っていることが分かり、同じ部屋にいるのがとても辛いのだ。

こうして、働いていれば心が休まるような気がしている。

掃除も終わりに近づいて道具を片付けに行こうとして外に出ると、知らない男が立っていた。

ユウは、昼にあった事が恐怖になり、逃げだそうとした。

「ユウ!お前は娼婦なんだろ。金ならあるからやるよ。その代り俺の者になってくれ。」

「私は・・・私は!・・花売りではないわ!」

「若いのに、凄い経験者なんだって・・・美しい顔を泣かせてみたいぜ・・さあ!こちに来な!可愛がってやる!」

ユウは、男に抱き付かれてもみ合ううちに、服のボタンがはじけて飛んで胸の前が開いてしまっている。

男がそれを見て欲情を掻き立てられながら迫り無理やり押し倒されてしまった。

男の息が顔にかかり、男の手が自分の胸を触っている。

嫌悪感で無我夢中に側に落ちていた掃除道具をつかむと男の頭に向って叩いていた。

男はユウが攻防するとは思わなかったようで、ユウから離れた瞬間に立ち上がり、暗い庭へ逃げ出した。

ユウは、暗闇の中を恐怖で自分は何処に向って逃げているのかも分からなかった。

ユウは完全に、対人恐怖症に陥っていた。

話し声や人の気配を感じると、物陰に隠れて人の気配が無くなるまでその場に蹲って隠れていた。



ユウリオンは、眠れぬ夜を過ごしていた。

心の動揺が収まらない、寝るのを諦めて、バルコニーに出た。

今夜は新月なのか、月明かりもない暗い庭を眺めていた。

何かが走っている。動物か?動物が二足歩行はしない。人のようだがこんな夜更けに何をしてるのか気になり、愛用の剣を携えてバルコニーから庭に降りた。

足音を忍ばせて近づいてみる。暗くてよくは分からないが女のようだ。もう少し正体が分かる所まで近づくと、その女は震えている。

どうしたのかと思い声を掛けようと側に寄ると、女は逃げ出そうとして立ち上がった。

「ユウ!・・・ユウではないか。どうして此処にいる。何が合ったのだ」

「・・・・・」

「ユウ!僕だ!ユウリオンだ!」

「・・・・・」

「何か言ってくれ!ユウ!」

「・・・ユ・ウ・リ・オ・ン・・様」

一言、僕の名前を言うと気を失ってしまう・・・・・・

ひとまず、ユウを抱き上げて池の側にある東屋に連れて行った。

今晩は、新月のおかげで、見回りをしている警護の者にも見つからずに済んだ。

東屋のソファに寝せると、ユウの服が乱れていた。

良く見てみるとボタンが無くなっているではないか。

ユウの怯え方はこれなのか!あの噂を聞いた時点で、考えてやらなくてはいけなかったのだ。

ユウを東屋に寝かせて置いて、近くを見回りしていた騎士にジョンソンを呼ぶように言いつけた。

僕一人では、何もできない。ジョンソンに頼るしかないのか・・・僕はユウを守る事さえ出来ない自分が歯がゆくて仕方がない。

好きな女さえ守れないなら王の資格も王座もいらない。

代わりにユウの側でともに過ごしたい。

ユウリオンは本気でそんなことを望んでいた。


暫くして、ジョンソンが来た。


俺は、昼間あった事で眠れなかった。噂は広まり第2騎士団の連中には、厳しく言っておいたが、他の騎士団までは無理だ。ユウに何もなければよいが・・・・・

見回りの警護をしている騎士から、殿下が至急俺に池の側にある東屋に来るようにと連絡があった。嫌な予感がして剣を携えて表に出た。

東屋について、殿下に声を掛けると、殿下は俺が一人で来たのを確認して中に入れた。

俺は殿下の無事なことに安心したが、ソファに誰か寝ているようだった。

「ジョンソン・・ユウだ。誰かに襲われて逃げ出したようだ。今は気を失っている。」

「・・・ユウ、また・・襲われたなんてどうしてだ。」

「ジョンソン!また・・ユウはこれまでも襲われたのか!」

「殿下、昼間強姦されそうになっていた時、俺が助けました。ユウは相当に動揺してました。」

「ジョンソン!何故僕に言わないのだ。」

「殿下に言えば、殿下はユウを他っておけなくなると思い言えませんでした。」

「済まない・・・お前を責める権利は僕にはない。二度も襲われるようでは、もうここには置いて置く訳にはいかない。ジョンソン!馬車を手配してくれないか。」

「何処へ、ユウを連れて行くのですか?」

「グランシャル公爵の屋敷に連れていく。」

「あのお方なら、解ってもらえる筈だ。」

「しかし、殿下は女神との約束をどうなさるのですか?」

「僕の事など今はいい!これ以上ユウを傷付けたくはないのだ。頼むジョンソン友として頼んでいるお願いだ。」

「殿下!おやめください。俺だってユウが傷付くのは嫌です。やった奴が分かれば、俺は、生かしてはおきません」


俺は、馬車を調達して裏門に置き、東屋に戻り殿下の代わりにユウの側で見守っていた。

ユウリオンはバルコニーを登り自室に戻ると、目立たない服装に着替えて、急いでまたバルコニーから東屋に戻った。

ユウの意識は戻ってはいなかった。

僕たちは、ユウをシーツに包むとジョンソンが抱えて、裏門へ向かう警護の者は誰も殿下と騎士団長がシーツを抱えていようと見とがめるものはいなかった。

馬車に乗り僕の膝の上にユウを載せると、ジョンソンは馬車を走らせた。

公爵の屋敷は、王都の北にある。城より馬車で3時間くらいの所に屋敷が建っている。

ようやく空が明けるころ、グランシャル公爵の屋敷に着いた。

門番に、殿下が来訪したことを告げると、門番は慌てて門を開いて迎い入れた。

正面の入り口まで到着して、ジョンソンはドアを叩いて中の者に知らせたら侍従が慌てて外に来て、拝礼をすると中へと案内されて応接間に通された。

僕の後ろにはジョンソンがユウを抱

きかかえている。

そして長椅子の上にユウを下ろした。

未だにユウは目覚める気配はない・・僕は、蒼白した顔のユウが、このまま目覚めないのではと不安になる。



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