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めがみ様と精霊と私  作者: 木瓜乃ハナ
17/24

ユウリオン殿下!秘密結社カラスを使う。

ユウリオンは、ドリーム国より南に位置する、領地を視察の報告をする為に、国王に謁見を求めていた。

王に呼ばれて、王の執務室に入ると、王は機嫌よく出迎えてくれる。

「ユウリオン!戻ってきたか。どうであったか?スターン伯爵の娘は!」

「スターン伯爵が治められているだけあって、治安もよく町も村も活気がありました。」

「私は、そのような事を聴いているのではない。」

「スターンの娘は、この国の中でも評判の艶やかで美しい娘と聞いたが、ユウリオンも気に入ったであろう。」

確かに、妖艶な美しさだろう。歓迎晩さん会で、真紅のドレスを身に着けて、優雅に微笑むマゼル嬢は、その場にいた男は、皆見惚れていた。

僕とジョンソンを除けば・・・・

領土の視察は、王の策略だ。

僕とマゼル嬢の見合いの場でしかなかった。

「はい・・艶やかでした。妖艶な美しさは真紅のバラのようでした。しかし、僕は白いユリが好みなのです。」

「国王!白百合のような人は、この国にいませんか。嫋やかで、優しく、素直な娘が僕の好みなのです。もしいれば、僕は何処にでも逢いに行きます。」

父は、僕の言葉を唖然として、聞いていたが突然、王が前王の話をしだした。

「前王が言っておられた、公爵の息子に娘ができたことをお知りなって、リオンが5歳くらいの時だ。前王は必ずリオンには、公爵の孫を嫁に迎えて、王妃にするようにな。」

「しかし、その夢も、5年前に消えてしまった。息子も嫁と孫まで死んでしまう事故があった。そのものが生きておれば私は、前王の言われた事を叶えようとしていたのだ。」

「公爵の息子の名前は、確かユウラスとお聞きしましたが、奥様の名前は?」

「私も、そこまでは聞いてはおらぬ。孫の名前には、王家に繋がるユウを付けたとは聞いたが、詳しいことは、前王も知らなかったのであろう。」

「‥‥ユウ?」


国王の執務室から戻り、ユウリオンは自室で、物思いに耽っていた。

視察の帰り道。ある村を通りかかった時に、小さな店先で手に収まるくらいの木彫りの鹿を見つけて買い求めたものだ。

メスの鹿はユウを思い出す。

僕が初めてユウと森の中で出会ったとき、子鹿に似ていると思ったからだ。

もう一つ、オスの鹿が隣にいる。二つを並べてみていると夫婦みたいだ。

ドアをノックして、侍女のアメリアがワゴンを押しながら入ってくる。

僕は、机の上にある木彫りの鹿を、上着のポケットにしまった。

「殿下。お茶をお入れします。」

「ああ・・ありがとう」

アメリアからユウの手紙を受け取ってか1週間が過ぎている。

手紙の内容は、教育を受けてない子供が書いたような文字だった。

内容は、身分違いだから、僕を拒否する文章が綴られていた。

僕は戸惑っている。

「殿下、お茶が入りました。」

「アメリア、ユウの所へ行って来てくれないか。これを渡してくれ。」

僕は、木彫りの鹿をアメリアに渡した。

「・・・分かりました。直ぐに行ってきます。」

アメリアは部屋を出て行った。

ユウリオンは少し冷めたお茶を飲みだした。

上着のポケットに手を入れると、立派な角をした木彫りの鹿があった。

ユウリオンは、ユウに渡そうと思っていたのは牡鹿。女鹿の方は自分の手元に置いておきたかった。本当の所、牡鹿は僕だと思ってユウに持っていて欲しかったのだ

僕は、慌ててアメリアを追いかけた。女性の足だから、食堂に行くまでには会えるはずだと思った。

ユウリオンは、意外なところでアメリアを見つけた。

食堂へ行くには、騎士団の兵舎を抜けて奥に進まなければいけない。

アメリアは池の側にたたずんでいた。

僕は、アメリアに声を掛けようと思って近づこうとしたとき、微かに水音が聞こえた。

僕は、咄嗟に物陰にみを潜めてアメリアをやり過ごすことにした。

アメリアの姿が消えたのを確認してから、池の側に行く。

池の周りには、水草が茂りアメリアが何を捨てたのかは、解らない。

池の水面に、小さなものが浮かんでいたので、僕は自分の腰にさしている剣を取り、池の水を引き寄せて、小さな鹿を見つけたのだ。

ユウリオンは、池の側の東屋にいた。

アメリアは、何故!捨てたのだ。主の命令を背けば罪になる事は侍女でもわかっている筈。それなのに何故?こんなことをするのだろうか。

ユウリオンは、アメリアに対して不信感を募らせる。

ユウリオンは、ある決断をする。

王家には、王と王の継承者となる者だけが、使う事が出来る秘密結社があり、他国へのスパイ行為、秘密裏に調査をするなど彼らの顔や身元は隠されており、王やユウリオンさえ知らない。

彼らの事は<カラス>と名のられている。

ユウリオンは東屋を出ると中央棟に行き、最上階の部屋に入る。

そこには、カラスの連絡用にハトが飼われている。

ハトの足には、金色と青の二色がつけられていた。

ユウリオンは足に青色のついたハトを飛ばした。


ユウリオンは自室には戻らず、騎士団の兵舎を訪ねることにした。

兵舎の中は、休憩中らしく、騎士たちがそれぞれの格好で談笑している。

ユウリオンはいくら自分が王子でも、休憩時間を無駄にさせてはと思い、引き返そうとしたら、騎士たちのあざ笑う声がしたので、つい足が止まり聞き耳を立ててしまった。

「女は本当に恐ろしいよ!美しい顔して、花売りしていたらしいぞ。」

「洗い場のユウとか言う子だろ!その噂、俺も聞いたよ。じゃ!お金出したらやらしてくれるよな。1回だけでも、美しい子を抱きたいよ!」

「俺だって!ユウがお嬢様なら、抱きたくても無理だし、花売りならこちらも金で済むし毎晩でも、金が続く限り放しはしないよ!」

ユウリオンは、頭の血が下がるようだった。騎士の前に飛び出して殴りつけたかった。

震えるほど握り拳を広げて、その場を後にした。



ユウリオンは自室に戻ると、侍従に面会謝絶を言い渡すと、一人自室に籠った。

悪意のある噂を誰が流したのだ。ユウの耳にも入っているのだろうか。

破廉恥な噂が自分の事だと知ったら、ユウは心を痛め傷ついてしまう。

どうすれば、ユウを救うことが出来るのだ。ユウリオンは思い悩んでいた。

{殿下・・・お呼びで御座いますか。}

ユウリオンは、カラスが来たのだと分かった。

「至急、ブラウザの近郊へ行き調べてきて欲しい。」

「何を調べたら宜しいのでしょうか?」

「2年前、当時は15歳。名前はユウリアス。12歳の時、両親と死に別れて孤児となり…12歳以降の足取りを調査して欲しい。引き取られていたのなら、何処の誰に世話になっていたのかを、詳しく頼む。」

「承知いたしました。」

そうゆうと、カラスはいなくなる。

ジョンソンは殿下の部屋の前に来ていたが、侍従に取次を願い出たが、殿下はお会いしないと言って部屋には入れては貰えなかった。

ジョンソンは、苛立っていた。何故ならユウが、聞くに堪えない破廉恥な噂を流されたせいで、強姦されそうになったというのに、殿下は人払いをして何をしているのだ。


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