11,黒の塔にて
少々手直し、しました。
王城の黒の塔、魔術師長室にて。
「終わったよ」
アリーシアは勢いよく、机に紙を叩きつける。魔術師長は、眉をひとつも動かさずに紙を見る。
「よし、報告書は確認した。ところで、救出したレインはどこにいる」
「それが……いつの間にかいなくなっていたの」
「やはり……か……」
魔術師長は真面目な顔で、考えふける。
アリーシアは、レインを助けた昨日のこと。宿舎に着いた後すぐに寝てしまったが、その前に、ミアにレインのことをお願いしていた。
ミアが言うことには、ちょっと目を離した隙に、宿舎から居なくなっていたらしい。
「じゃあ、王命の依頼も終わったし、森に帰っていいよね」
「いや、駄目だ」
アリーシアの望みは、魔術師長に一蹴りされた。
「なんで! 終わったじゃん、帰ってもいいじゃん」
「いやいや、これで帰られた、王に頼んだ意味が無くなるからな」
「汚い、汚いぞ魔術師長」
「何とでも言え」
アリーシアは、がくりと項垂れる。目の前では、笑いを堪えてる魔術師長の姿が。
「やってやる、やってやるから早く言え」
アリーシアは火炎系魔法を、魔術師長目掛けて放った。それを、片手間に魔術師長は水魔法で相殺した。
「はいはい、じゃあレインを私の前に連れて来い。それが今回の依頼だ」
「フッフッフッ……これで終わらなかったら、呪ってやるからね」
「はいはい、早くやってこい」
軽く、魔術師長にあしらわれた。アリーシアは黒い笑いを漏らしながら、黒の塔を去っていった。
今日は王城に、黒い笑いが辺りに響いた。




