0,手紙
はじめての投稿です。
緑豊かな深い森の中、長い白銀の髪にルビーのような紅い瞳を持った女性が佇んでいる。
「おーい、アリィ」
声がする方へと、アリーシアは振り向いた。
「ミヤ、どうした? そんなに慌てて」
ミヤと呼ばれた美少女が、慌てた様子で駆けてくる。
ミヤは金色の瞳に、腰まである濃淡のある深い色をした新緑色の髪を持つ、儚げな美少女だ。
しかし、膝ほどまである滑らかで色鮮やかな蜻蛉のような羽が、人ではなく妖精であることを証明している。
「屋敷に手紙が届きました。それも……」
ミアの手にあるのは、金で縁取られた封筒。真ん中にはアリーシアの住む国、エレトシア王国、王家の家紋が描かれてある。
アリーシアはミアから手紙を受け取ると、急いで封を開けた。
「お……王命かよ」
アリーシアはおもわず項垂れた。
アリーシアは王都が嫌いだ。そもそも、人が多いところが嫌いだ。だがしかし、王命である。アリーシアが断れるものではない。
「仕方ない、行くとするか。ラエルとカーラインを呼んで」
「はい」
ふわりと、ミヤの周りに風が巻き起こる。それが上昇するのと同時に、ミヤは上空へと飛んでいった。
葉が舞う。優しい木漏れ日が辺り一面を照らした。
アリーシアはこれから起きるであろうことに、ため息をこぼしながら、屋敷の方へと歩いていった。