3話 バイブル
アイリス「御姉さまがこれから修羅の道を通ると言うのに、私には御姉さまの力になれることが思い浮かびません。御姉さま、何か力になれることはないですか?」
まきの「修羅の道なんてとんでもない。私は天使としての当たり前の事をしに行くのですよ。これぐらいの試練も達成できなければ天使になれません。アイリスの気持ちはとてもうれしいです。私は本当にいい友を持ちました」
アイリス「御姉さま・・・」
アイリスはうれしさから泣き声で言った。
アイリス「あ、そうだ!」
泣き声から一変、アイリスは何かを思いついた。
アイリス「御姉さま、力になれるかどうか分かりませんが、これを持って行ってください」
そういうとアイリスは軽く指を立てて、縦に振った。
すると何もない場所から、まきのの目の前に数冊の本が出てきた。
まきの「なんですのこの本は?」
アイリス「私の愛読書です。全部で45冊あります。その本は人を正しく導くために奮闘する御方の本です。その様は私たちの試練そのものです」
まきのは突然出てきた本の表紙に目をやる。
まきの「この青いたぬきのようなもの物はなんですの?」
アイリス「それこそが私が師と崇めるお方、名をドラ○もんといいます」
まきの「ドラ○もん?」
アイリス「すごい方なのです。私のリスペクトする御方です。ちなみに私の首につけている鈴は、その御方へのリスペクトの現れです。御姉さまが何か下界で困ったら役に立つと思います。是非とも持って行ってください」
まきの「ありがとうございます。それでは御借りしていきますね」
長老「そろそろ、人間界へのゲートが開かれるぞ」
まきのの前に光のゲートが出現した。
アイリスはまきのへ一歩近づき、まきのの手を両手で包みこむ。
アイリス「どうかご無事で。私も、こちらでの勉学を終えたら、人間界へ修行に行きます。どうかそのときは・・・」
まきの「アイリスが来るの楽しみに待っています。人間界でまたいずれ会いましょう。それでは行ってきます」
まきのはアイリスの頭を軽く撫でた後、光の方へ歩いて行った。
まきのが光に包まれて見えなくなると、ゲートは中心に向かって消えていった。
まきのがいなくなり、そこにはアイリスと長老だけになった。
アイリス「それでは私も失礼します」
そういうと、アイリスは長老の部屋から出て行った。
♪ズンチャカズンチャカピッピー♪
長老の部屋にサンバの曲が鳴り響いた。長老は自分の袖に手を入れるとそこから携帯を取り出した。
長老「もしもし長老じゃが」
長老は電話に出ると、電話越しの慌てた女性の声を聞いていた。
長老「え・・・、マジ?」