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第霊章 「3297、この数を忘れないでいて欲しい」
密室。それは数多くの推理小説、またはそれに類する作品に、よく登場する現象だ。一人の推理作家に一つ、といっても言過では無いだろう。
言葉そのものの意味は、部屋の窓や扉などが締め切られており、人が外から入ることができない状態を指す。
推理小説などにおいては、締め切られた部屋で、なにかしらの事件が起き、かつその部屋の中に犯人は居ない。さらに扉等の開閉は犯人ができるような状態ではなく、俗にいう不可能犯罪である...といったところだろうか。
その特性の割に、余るほどに、ありふれた話の種となっていることも、特徴の一つだ。不可能だとか完全だと思われるトリックは、心惹かれるものがあるということだろう。
以上を踏まえた上でこの話について、今話せることがあるとするならば、あまりにも使い古されたトリックというものは、それだけで頭を凝り固まらせるということだろうか。