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訓練


 次の日から魔法を使った戦闘の練習が始まった。


 私はアノンさんから練習用に属性に合わせた身体強化魔法の指輪を二つと遠隔交信の音魔法の耳飾り、合わせて三つの紋章術を渡された。これが最低限会得すべき魔法……らしい。

 せっかくの魔法だから…………辺り一面燃やす火の魔法やレーザーみたいな光の魔法がよかったなぁとか、魔法でステータスが強化されるだけで戦い方は今までと変わらないなぁとか、ちょっと思ったことは秘密だ。






 私たちは軽く準備をして街の外へ出た。


 サルターティオの周りは起伏のある草地でその間を縫うように街道が通っている。

 出現するモンスターは鳥やウサギも模した小型のものが多く、中級者なら簡単に倒せる程度の強くも弱くもない普通のレベルだ。

 まぁ今の私にとっては強敵になるんだけどね。


 のんびりと歩いて到着したのは街の入り口からちょうど反対側。周りと比べて一段低くなっていてちょっとしたクレーターみたいだ。アノンさんが言うには街道からも離れているからあまり人が来ないらしい。


「今日はレプス種の角をーー」


 タクトは別行動でモンスターが落とす素材を集めるそうだ。

 私は話している二人を少し離れた所から眺めていた。うん、美少年と美少女の並びはかなり目の保養になる。端からみたら見目麗しい恋人同士…………には見えないな。二人の持つ雰囲気が少し似ているせいか姉と弟にしか見えない。まぁそんなことどうでもいいよね。




「ハルちゃん! 始めるからこっちへ来て」


 アノンさんに呼ばれて私はさっと側に移動した。


「今日は体に動きを叩き込んでいくわね」


 叩き……込む?

 ぽかんとする私にアノンさんはさらに続けた。


「私と組手をするのが今日の訓練ね。体の動かし方を教えて……やってみるのが早いわね」


 瞬間、アノンさんが目の前から消え、同時に後ろから話かけられた。


「ハルちゃんに渡した光の身体強化の紋章術ね」


 発動のタイミングと動きを合わせて回り込んだだけだという。練習すればできるようになる……のかな?



 アノンさんの真似をして魔法と同時に体を動かしてみる。


ーーーーバタッ!


 勢いよく転んでしまった。タイミングが悪かったかな?


「最初は発動した時としてない時の差に慣れることからね」


 まだまだ慣れるまで時間がかかりそうだ。






 アノンさんとの練習は昼過ぎまで続き、素材を集め終わったタクトが戻ってきた時に朝のメニューが終了した。

 昼食に持ってきたサンドイッチを食べてからアノンさんの家へと戻る。


 午後は座学だ。全力で動いた疲労感に襲いかかられて体が重い。

 この世界の魔法は長い詠唱や複雑な図形を描いた魔法陣が必要なので、効果的に魔法を使うためにかなり座学が重要視されている。だから魔法使いは少なめなんだよねー。


 アノンさんの授業は魔法の知識だけじゃなくて、地理やモンスターのことが多い。

 森で襲ってきた狼もどきはルプス種のコルヌバルバルスという名前。名前の意味が『野蛮な角』…………その通りだったよ。






 座学を終えて早めの夕食を食べると、そのあとは自由時間だ。


 買い物するのも勉強のうち、とアノンさんがおこづかいまでくれたけれど、訓練初日でぐったりと疲れてしまったので今日はさっさと休むことに決めた。

 あてがわれた部屋のベッドに倒れこみ、ステータスをチェックする。


…………あれ? 練習中は気づかなかったけれどレベルが三まで上がっている。


 知らなかった。モンスターを倒さなくても経験値って入るんだ。




ハルちゃんはずっとモンスターを倒してレベルを上げてきた猪突猛進タイプなのです。


次回はおつかいに出かけます。

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