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調べて選ぶ

 属性によって色の違う手のひらサイズの魔石が並ぶ。赤、青、黄色、緑、紫、オレンジ、それから金と銀。


「この魔石の中から一番魔力を流しやすいものを選んでくれる?」


 あれ? 一つ足りなくない?


 属性は九種類。でも、目の前に置かれた魔石は八つだから……やっぱり一つ足りないよね。


「あ、無属性は誰でも上手く流せるからしなくていいんだって」


 心の中の疑問にタクトが答えてくれた。顔に出ちゃってたかな。




 私は一つずつ順番に手にとって、水晶を使うときと同じようにゆっくり魔力を流した。習った通り、流しやすいものと上手く流せないものがあるな…………と。


……………………見てる。すごく見てる。


 どうしたものだろうか、タクトとアノンさんの視線が気になってしょうがない。二人して真剣な顔でこっちを見てるんだもんな。私の魔法のチェックとはいえ、こう、じーっと見られているのは居心地が悪いーーーーーーあぁ、うん、気にしたら負けだ!

 自分にそう言い聞かせて、私はひとつひとつの違いをじっくりと確かめた。


 結果、一番流しやすいのはオレンジ色の光の魔石だった。

 使いやすい属性は持っている素質で変わる部分もあるけれど、よく使う魔法や魔道具、長く滞在した場所なんかで影響を受ける。

 タレイアは光の女神の領地だ。クエストへ向かう時にはかならず神殿で祝福をもらっていたから強く影響されたんだな。

 二人はどうなんだろう。


「アノンさんとタクトは何が一番使いやすいんですか?」

「私は音属性よ」


 さらっとアノンさんが答えた。そりゃそうか、ここを拠点にしてるんだったね。テレプシコラは音の領地だ。


「僕は……まだ」


 ポツリと呟くタクト。

 まだって……まだ調べてないの? 私が寝てる間に終わったって言ってたのに。


「まだ得意な属性がないのよ、何の影響も受けていなかったから。強いて言うなら無属性になるわね。だから今は全属性を平等に使えるように訓練をしてるところよ」


 なるほど。そこもまっさらだったんだ。全属性平等……私は闇属性が苦手だし、なんかうらやましいな。





 次は発動方法だ。


 魔石の横に無造作に置かれているアイテムで発動方法を調べる。


 アイテムはたくさんあるけれど、簡単に言うと三種類。

 詠唱術用の本やスクロール。紋章術用のアクセサリーなどの装備品。符術用のカード。

 これもまた、一つずつ簡単な魔法を発動させて使いやすさを確かめていく。



ーーーーどうしよう。色々と使ってみて、思ったことはどれを使っても同じ感じ。私は何を選んで良いのかわからなくて困ってしまった。


「どうしたの? 使い方のわからないものがあった?」


 アノンさんの助け船が入った。


「あの、どれも同じ感じがしてどれを選んでいいのか……」

「あぁ、それなら」


 たくさんあるアイテムの中から、アノンさんはひょいっと指輪を拾い上げた。


「指輪?」

「ハルちゃんは今まで剣を使った戦闘がメインだったでしょう? 特に使いやすいものがないなら、それを生かすために紋章術が良いと思うわ」


 紋章術は魔法の発動図形を刻んだ魔石に魔力を流して発動する方法だ。一つの魔石につき一つの魔法と汎用性がない上に魔力の消耗が大きくてデメリットが目立つ。けれど、他の発動方法に比べるとかなり早く発動できる。

 剣をメインに戦うなら、確かにこれが一番だ。


 タクトは汎用性を重視して符術を使うらしい。




 あれ? そういえばアノンさんは何で発動するんだろう?

 試合の時の空中ジャンプは魔法を使ってたと思うんだよね……詠唱はしてなかったし、カードもなかった。あれ? 紋章術でも発動するときに図形がでるはずだ……。


「あのっ、アノンさんはーーーー」


 可愛らしい仕草でこちらを見たアノンさんは完璧な笑顔で答えた。


「また今度ね」


他にも発動方法があります。けれどアノンの言うとおり、それはまた今度ということで……。


次回は、訓練がてらお出かけ予定です。

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