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第8話

あんまりビックリして吹き出した俺を見てカインは笑って話を続けた。


「開拓民で村から出たこと無いってんなら、知らなくてもしょうがないが…この4国の階級は、偉い順に国王>公爵>侯爵>伯爵>子爵>男爵>騎士>兵士>冒険者>商人>農民>奴隷>犯罪者となっているのは知ってるか?」

「ええまあ、それぐらいは。」

犯罪者も階級に入れるのはどうかと思うが。

「一般的に国民といえるのは兵役終了後の農民から上だ。それ以下はもう国民とは言えなくなる。」

ずいぶんバッサリと切られるんだなあ。

「入隊は15歳だ。2年の兵役後は軍に残るか、民として働くか自分で選べる。」

「入隊拒否とか出来ないの?」

「身体不良や徴兵免除金を払って入隊しない者もいるが…。そういう奴は農民の中でも下人として下働きするか、奴隷しかないな。金があっても永住権が貰えないから家や土地も買えないし、ギルドの仕事も日雇いしか斡旋してもらえない。徴兵を逃れたはいいが行く先無くなって犯罪者になる者もいる。」

「貴族とか特権階級でも関係ないの?」

「無いな、というかあいつら兵役出てるのが当たり前だ。そうしないと親の跡継げないしな。国王の息子でも入隊するんだぞ?逆に貴族の息子なんかは軍でいい功績をあげて故郷に帰りたいと思ってるから、そこらへんの平民より必死だ。」

「へーそうなんだ。」

貴族ってのも大変だなあ。俺はワイン片手に悠々自適な生活送ってるイメージしか無かったわ。てか貴族見たこと無いけど。

「除隊後は20歳まで予備役としてギルドに登録される。魔物の大規模侵攻などがあった場合は緊急クエストになる。その場合は商人ならクエストの為の物資運搬や調達を担当したりするし、冒険者ならクエスト受諾して参加という形になるな。」

「俺もう冒険者ギルドに登録してるんだけど。」

「登録自体は誰でもできるからなあ…。普通は兵役終了後に作るんだが、若くても身分証明が生活する上で必要だったりするからそんなの言われないだろ。」


一人前の大人として認められるのは、兵役終了後であるそうだ。そうだよね。納税と兵役は国民の義務ですよね。前世じゃ徴兵制の無い国に住んでたからビックリしたけど、前世でもたしか徴兵制の国が殆どだった気がする。


「だからいずれ入隊するんならしばらく俺たちといた方がいいぜ?って話だ。」

「うーん。仕事は狩りと料理だけ?」

「そうだ。ああ、料理のほうは待機の兵士と下働きの者を手伝いにいかせるぞ。」

街道の警備担当が治安が悪いって言ってるんだし、たしかにこのまま出発するのも冒険だよな。この砦で情報収集してから出発してもいいだろう。というかどうせ強制で入隊するんだし、どんな事やってるのか見るのも勉強になるな…。


「じゃあしばらくお世話になります。」

「おう!まかしとけ!」

カインは笑顔で肉をほお張った。

「あ、肉代と料理代はちゃんと請求するからね。」

「…お前結構容赦無いな…。」

そうぼやいてカインはポケットから銀貨を投げてよこした。


この夜のBBQで結局、黒魔羊ブラックホーンは1頭丸まる喰っちまった。おまけに一角兎ホーンラビットも食べてしまった。小隊のみんなは俺の食欲にビックリしていたが、育ち盛りだもんね。国境越える前に白河で(ホワイトリバー)で魚でもとっときゃよかったぜ。


次の日、朝早くから街道の見回りに行く分隊や剣術の稽古をする分隊に分かれて、カインの隊は動き出していた。

分隊ごとに特色があるな。あっちは人間だけの小隊だけど、こっちは亜人だけの小隊か。猫人族と犬人族は見たことあるけど…あれは竜人族か?顔面はイケメンだけどなんか雰囲気が怖いな…。

そんな事を考えながら兵舎から表に出るとカインが声をかけてきた。


「おはようさん。昨日は良く寝れたか?」

「おはよう。まあ普通に寝れたよ。」

「そりゃ良かった。」

「今日は何するの?」

「まずは分隊ごとの任務、昼からは小隊対抗で戦闘訓練だな。」

「戦闘訓練かあ。」

「酒1杯賭けてるから気合入るぜ?」

「そりゃおもしろそうだ。じゃあ俺は食料調達でも行って来るよ。」

「あんまり遠くに行くなよ、なんかあったら砦まで走って戻ってこい。」

了解、と手を振って狩りの支度をする。一個分隊10名で、3個分隊合わせた小隊全員だと30人分。こりゃ鹿1頭くらい獲らないといかんなあ。


砦の裏手から森に入る。森の中は静かで、風が時折吹くのに合わせて木がざわめいている。しばらく進むと森が開けて広場になっていた。

「お!いるいる。」

黒魔羊ブラックホーンが1、2、3、…5匹か。草を食むのは魔物化する前からの習性だよね。

するすると木に登る。幹も枝も太いしこれなら大丈夫かな?

コウキの眼にはもはや黒魔羊ブラックホーンはていのいい食料としか見えていなかった。


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