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第7話

 昼飯を喰って後片付けを済ませると、黄国の入国審査を通過した。ギルドカードと奴隷、犯罪者の印である刺青が無いか腕を見せて入国料を払うだけだった。あまりあっけないので拍子抜けしたが、そのまま黄山イエローマウンテン砦まで進む。


 砦までの道中で一角兎ホーンラビット黒魔羊ブラックホーンに遭遇したが、弓と剣であっけなく倒した。というか家畜が魔物化した魔物は殆ど倒して喰ってるしな。弱点は大体頭か魔物の核だ。核は家畜のときに心臓があった場所にあるから、そこを攻めれば殺せる。羊は丸々としてて重いのでザックにくくりつけてある。


 黄山イエローマウンテン砦に着いて、宿をとろうとするが、民間人には簡易的な宿泊所しかないそうだ。残念。頭をかきかき寝床を確保しようかと考えていると、金髪青目の所々に黄色のラインの入った全身鎧フルプレートアーマーを着けたイケメン髭騎士が話かけてきた。


「なあ、その羊どうするつもりだ?」

「解体して晩飯にでもしようと思ったけど、手伝ってくれる?」

「おう、なら後何人か呼んでいいか?みんなでやれば早いしな。」

「わかったよ。取り分は貰うぜ?」


 首をすくめながら答えた。そんなわけで晩御飯は砦の兵士達と黒魔羊ブラックホーンのBBQだ。


「おーい塩あるか?塩!」

「こっちに香草ハーブがあるぞ!」

「お前ら肉ばっか喰ってないで野菜も喰え!」

「なあ…さっきから俺ばっか肉切ってるんだけど…だれか交代してくれよ!」


 なんとも騒がしい。結局解体してたら続々と騎士が寄ってきて、声をかけてきた騎士の小隊全員で食べることになった。肉を切るそばから焼いていくのであっという間に減っていく。というか俺の肉なんだが。喰われた分は後で騎士に金要求しよう。


 俺に声をかけた騎士が木製のコップに入った酒を片手に近づいてきた。差し出された酒をありがたく頂く。

「いやあ助かったぜ。最近じゃ携行食にも飽きてきてなあ。久しぶりに肉でも喰いたいと思ってたんだ。」

 携行食か。そりゃお世辞にもあまりうまいともいえないものばかりだろうな。

「砦の外に魔物退治とか行かないの?」

「そういうのは冒険者が依頼を受けていくのが殆どだな。あいつらにも生活ってのがあるし。近隣の村や街道の警備、治安維持が俺たちの主任務だ。」

「じゃあ携行食以外に飯食いたい時はどうするの?」

「普通は金払って商人から買うしかないな。魔物の肉なんか冒険者がギルドで売り払っちまって、貴族のお偉いさんとかの飯になるんだ。」

「ふーん。そうなんだ。」

 そう答えて肉にかぶりつく。一角兎ホーンラビットとはまた違う。肉の旨み。塩と香草ハーブだけでもぜんぜんいける。

 そういえば前世でこんな感じで羊喰ったことがあったなあ。現地住民と軍人の交流会だったか?大きな天幕の中で、料理は羊の頭の丸焼きが出てきた。しかも毛がちゃんと焼いてなくて残ってたわ。付け合せは魚。そういえばあの魚って…。


 そこまで考えるとガツン!と頭を殴られたかのような衝撃が走った。

 なんだ!?何で採ったんっだっけ?釣竿?投網?違う!そんなのじゃない!…思い出せ!これはきっと大事な事だ!

 俺はまだズキズキうずく頭を抱えながら思い出した。そう、その魚を採ったのは「手榴弾」だ。ピンを抜いて川に投げ込んで、爆発の衝撃で気絶した魚を採る漁法。…手榴弾漁だ。


「お、おい坊主大丈夫か?」

 いきなり頭を抱えた俺を心配して騎士が声をかけてきた。

「いや…頭痛がしてね。いまは大丈夫だ。」

「そうか。」

「ねえ騎士さん。黄国に叔父がいるらしいんだ。その人を訪ねたいんだけど、どこに行ったらわかるかな?」

「まあ待て、その騎士さんってのが気に食わん。俺の名前はカインだ。」

そういえば名前も名乗ってなかったな。

「コウキです。12歳になります。」

「よろしくな。まあ人探しならギルドに行くのが一番いいな。というか一人旅って事はなんか事情でもあるのか?」

俺は今まで起きた出来事をかいつまんで話した。


「子供の一人旅でなんか事情があるとは思ったが。そうか…そんな事情があったんだな。」

納得した様子で腕を組んでしばし考えるカイン。

「お前、しばらくここにいろよ。面倒は見てやる。」

「いや…叔父と会うのを優先したいです。住む所も決まってないし。」

「正直なあ、街道の治安も良いとは言えない状況だし、子供の一人旅だろ?やっぱり不安なんだよな。それに今まで村から出たこと無いなんて余計不安だわ。」

カインの言葉は有り難いが、遠慮しておこう。

「武器もあるし、多少の路銀もあります。黄国の首都まで後5日だし、まあなんとかなるんじゃないかなと思ってます。」

「俺達も暇なときは戦闘訓練してるし、見るだけでも勉強になるぞ?空いた時間に剣術の稽古をつけてやってもいい。」

「肉が喰いたいだけじゃないの?」

「ばれたか!いや本当はそれだけじゃ無いんだよ。正直人手も足りんし、肉は喰いたい。だがお前も心配だ。俺たちの任期が終わるまでここにいて、一緒に首都に帰れば一番いいんじゃ無ぇか?」

やっぱ肉が喰いたいだけか。俺の肉はやらんぞ。

「軍隊ねえ…あんまり興味が無いと言ったら怒る?」

魔王を倒すと決めたが、その為に入隊しても倒せるのはいつになるか。僻地で砦の防衛なんて俺には出来ないぞ。

「怒りはしないが…」


あきれたようにカインが次に言った言葉で俺は度肝を抜かれた。


「お前、これから農民じゃなくて冒険者として生きていくんだろ?じゃあ入隊しないと一般人にもなれんぞ。」

「え?え?ええええっ!?」


あんまりビックリして口から色々飛んでった。

人面鳥ハーピー

上体は人間の女性、下肢は猛禽類の姿をした魔物。 空中からの降下攻撃で獲物を狙う。上位種になると氷弾を飛ばす攻撃や、眠りに誘う魔力のこもった歌を歌ってくる。

亜種にスノーハーピー、サキュバス、セイレーンがいる。


ーオオカミ

元々生息する獣が魔獣化したもの。 個々の戦闘力はさほどでもないが、集団で取り囲み執拗な噛みつきを見舞ってくる。群れで交互に攻撃を仕掛けてくるが、群れのリーダーを倒すと統率力がなくなる。リーダーは他の個体と比べると明らかに身体が大きく、体力と攻撃力も高い。

亜種にダイアウルフ、ヘルハウンド、ケルベロスがいる。

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