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結婚式の私とお願いされたダンナサマ

「——我が君に、幸せになれと、願われた」

 

 それは知っている。

 私も陛下に頼まれたもの。……署名の後に。

 基本常識をドコかに置いてきた、人間としてどうしようもない部類に入る男だけれど、出来ればアナタを見捨てないでやってくれって。

 

 ——あいつが自分から望んだものは、片手で足りる。って。

 

 そう、言ってたよ。

 

 ……ねえ、知ってる?

 あの時の陛下、お兄ちゃんの顔、してたんだよ。

 

 

 

 ……うちの国は、宗教云々な人はさておき、基本的には一夫一妻制だ。

 愛人とか妾とかと言うのは、あんまりいい顔されない。

 王家が代々一夫一妻で、なおかつ自分の伴侶を大事にしてきたからだ。

 ……それでよく血が絶えなかったという話だが、初代国王——つまり、ウチの陛下の血筋はそれはそれは子供ができやすかったのだ。確か、先代は4人兄妹で、先々代は6人姉弟だったはずだ。王家は、多産の上に双子も生まれやすいらしいので、子育てが大変そうだ。

 子供が多いと王位継承のごたごたが凄そうだが、ウチの国に限っては、意外とそうでもない。

『王たる者が王たりえる』

 初代国王がこんなに格好良く言ったかどうかは不明だが、ウチの国は一番王様に相応しい人間が王様になるのである。そのせいか、ウチの国は割と賢王が多いらしい。ハズレもいたらしいけど。

 それでは、王様の子供がボンクラしかいなかったら?

 それは勿論、この国の中から王様に相応しい人間を選ぶのだ。

 実際、初代国王の血筋以外から王様になった人もいる。

 ただ、そういう王様は一代限りにしかならないとか。

 初代国王の血筋であるウチの陛下が、王様をやっているのはそのせいだ。

 うちの国は『役に立たない王様は王様じゃない』とか『役に立たない王様は死ね!』等、過激な考えがある。そのせいで、暗黒時代の直前の王様が首を文字通り切られて、そのあと『残虐王』の代になるまで、暗黒時代は王様の首がコロコロ変わっていたとか。……考えれば考えるほど、ウチの陛下って大変なんデスね……。

 ——って、話が盛大にずれてるっ!

 なんだっけ?

 ——ああ、初代国王の血統は、伴侶を大事にしていたという話だが、先代の国王、つまり、陛下のお父さんはそうでもなかったのだ。

 先王陛下が王妃様を同情だけで娶ったのは、公然の秘密だ。

 かの人が自分の第一の忠臣と情を交わしていたことも、である。

 因みに、その第一の忠臣は女性で、……ウチのダンナサマの母親です。さらに言うなら、未婚の母。

 うわぁ~い、どろっどろじゃん。

 この際ぶっちゃけると、陛下とダンナサマは、赤の他人にしてはそっくりすぎデス。

 確かに、陛下の眼鏡とヨレ具合と、ダンナサマの目の隈と陰気さと、あとそれぞれの色の違いで大分誤魔化しがきいている。

 ただ、二人並んでいるのをよくよく観察すれば、一目瞭然なのだ。

 

 陛下とダンナサマが異母兄弟なのは。

 

 ……これは、『ここだけの話』で多分国中が知っている事実かもしれない。

 私も『ここだけの話』で、御姉様方やお客様方に散々聞かされたもの。

 

 背景どろっどろの昼ドラ異母兄弟の割に、陛下とダンナサマは多分びっくりするくらい仲が良い。

 何せ陛下がダンナサマに幸せになってほしいと願って、ダンナサマが陛下の想いに応えようとするくらいだ。

 ……国でイチバン偉い王様と、王様に尽くす義務のある第一の忠臣が、だ。

 ——モノホンの昼ドラ兄弟だったら、絶対とっくの昔に殺し合いが発生しているしちゅえーしょんだと思います。

 

 まあ、一つ言わせてほしい。

 

「——アリアが望むものは可能な限り用意するし、私はアリアが幸福であるように最大限の努力をする。……だから、私と幸福な家族の振りをしつつ、それを目指すことに協力してほしい」

 

 ダンナサマ、頑張るところが間違っていると思いますっ!!!


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