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詩集

飢餓感

作者: ロースト

飢餓感


どうしようもないほどに飢えていて、どうしようもないほどに餓えている。途轍もなく欠落していて、途方もなく欠損している。地位があり、自由があり、力があり、金があり、美貌があり、名声もあり、知能もあり、家庭もあり、人のすべてというすべてを持っているという私は何を持っていない?何が足りない?何に飢えていて、何に餓えていて、何に欠落があり、何に欠損があるというのだ?すべてを持っている私が欲しいのは何だ・・・・・・?

私には自問自答するしかなく、自分自身に答えを聞くしかなく、そんな簡単な答えさえも気づかない。自分のことは自分が一番わかる。そして自分のことは自分が一番わからない。それでも、この答えは、自身にも明確に、明白にわかっていた。それでも認めえることが出来なく、気づかぬフリを続け、新たな答えが出るのを待ち続ける。

自分が求めているものの答えはあれ一つだということは火を見るよりも明らかだ。それでも『そんなことは無い』と足掻いた。あれを認めてしまえば、自分は終わると思った。あれを認めてしまえば、すべて終わると思った。

私はあれを認めてはならない。あれは私のすべてであり、私のすべてを無くすもの。あれは私のすべてであり、私の今までを否定するもの。あれは私のすべてであり、私の世界を覆すもの。あれは、答えは、―――願望。

 私に足りないもの、私が求めているもの。それこそが願望だった。私には夢がなく、夢が無いのならば、私は今、何のために生きている?目指すものさえなく、夢など見れなく、そしてまた夢などない。

私は今幸福なのだ。そのはずだ。けれども、妻に好意こそ持てども、愛情とまではいかず。社会の方も随分、順調である。私が今、すべきことはない。だが、私がしたいこともまたないのだ。

私は今まで、機械のように与えられた役目を果たして生きてきた。今更、したいことをしろといわれても逆に出来ないのだ。流されるままとは少しずれるが、大まかにはそんなことなのだろう。だからこそ、私には自主性というものが少ない。何をすればよいのか、わからない。

それでも、確かに私は飢えていて、どうしようもないほどに餓えている。途轍もなく欠落しており、途方もなく欠損している。耐え難い飢餓感。私の飢餓感はどこへ向かえばいい?


方向性のない飢餓感が私の中を彷徨っている。


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