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ー【第4項】彼女がくれたチョコはただの甘味ではなく俺への依存を示す契約書のようで、俺たちは無自覚に共犯関係を深めていく

第4項 彼女がくれたチョコはただの甘味ではなく俺への依存を示す契約書のようで、俺たちは無自覚に共犯関係を深めていく


 放課後。俺は逃げるように帰宅した。

 マシロからのチョコは、結局その場で食べることもできず、カバンの中にしまってある。

 あれはただのチョコではない。

 「夜になったらまた行くから、美味しいご飯を作ってね」という、無言の圧力であり、契約更新の証だ。

 帰宅し、エプロンをつけてキッチンに立つ。

 フワリが俺の周りを飛び回り、今夜のメニューを催促するように震えている。

 俺の日常は、確実に侵食されていた。

 静かだった夜は、彼女の「美味しい!」という声と、フワリの咀嚼音で満たされるようになった。

 孤独だった晩酌は、奇妙な二人きりの宴へと変わった。

 マシロは俺の料理に依存し、俺は彼女の「美味い」という顔を見ることに、少しだけ生きがいを感じ始めている。

 これは共依存だ。

 学校一の美少女と、クラスの底辺陰キャ。

 本来交わるはずのない二つの線が、深夜の食卓という特異点でのみ交差する。

 マシロが抱える光と闇。俺が抱える虚無感。それらを「食」という行為で埋め合わせる。

 ピンポーン。

 チャイムが鳴る。

 俺は苦笑しながら、ドアノブに手をかけた。

 今日もまた、腹を空かせたお姫様がやってくる。

「……いらっしゃい」

 ドアを開けると、マシロが満面の笑みで立っていた。

「カズマくん! 今日はね、奮発して高いお肉買ってきたの!」

 その手には、スーパーの半額シールの貼られた高級和牛。

 俺とフワリ、そしてマシロ。

 奇妙な三角関係(?)は、まだしばらく続きそうだ。

 俺は彼女を招き入れ、静かにドアを閉めた。

 夜はまだ、始まったばかりだ。


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