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ー【第3項】学校では塩対応の彼女だが、俺と目が合うと一瞬だけデレるそのギャップに周囲のモブたちがざわつき始めるのだった

第3項 学校では塩対応の彼女だが、俺と目が合うと一瞬だけデレるそのギャップに周囲のモブたちがざわつき始めるのだった


 翌日の学校。

 俺はいつものように、教室の隅で本を読んでいた。

 昼休み。教室の中央では、マシロを中心としたカースト上位グループが談笑している。

 彼女は完璧にメイクを整え、制服を着こなし、アイドルの仮面を被っていた。

「白雪さん、今度の新曲すごい良かったよ!」

「ありがとう。みんなのおかげね」

 鈴を転がすような声で答えるマシロ。昨日の晩、俺のベッドで「もう食べれないよぅ」と寝言を言っていた人物と同一人物とはとても思えない。

 ふと、彼女が視線を感じたのか、こちらを向いた。

 目が合う。

 その瞬間、彼女の鉄壁の笑顔が崩れ、頬が朱に染まった。

 慌ててプイッと顔を背けるが、耳まで赤い。

 周囲の男子たちがざわついた。

「おい、今の見たか? 白雪さんが九条を見て顔赤くしたぞ」

「は? 気のせいだろ。九条なんて眼中にないって」

「いや、なんか……恋する乙女みたいな顔してたぞ……?」

 俺は冷や汗をかきながら本に視線を戻した。

 約束通り他人のフリをしているつもりなのだろうが、隠しきれていない。

 というか、あの反応は完全に誤解を招く。

 「昨夜のチャーハン美味しかったな」と思い出しているだけなのは明白だが、端から見れば熱烈な視線を送っているようにしか見えないのだ。

 俺はなるべく気配を消そうと、机に突っ伏した。

 その時、腹の虫が「グゥ~」と鳴った。

 朝飯を抜いていたのが災いした。

 教室が一瞬静まり返る。恥ずかしさで死にそうになっていると、コツコツと足音が近づいてきた。

 顔を上げると、マシロが俺の机の前に立っていた。

 彼女は無言のまま、俺の机の中に何かを突っ込み、風のように去っていった。

 周囲が呆然とする中、俺がおそるおそる中を確認すると、そこには有名ブランドの高級チョコレートが入っていた。

 添えられた付箋には、丸っこい文字で一言。

 『おなか減ると力出ないでしょ? 夜まで我慢してね♡』

 ハートマーク付き。

 俺は頭を抱えた。

 これ、完全に本命チョコを渡すイベントに見えるじゃねえか。

 餌付けのお礼だということは俺にしか分からない。周囲の男子からの突き刺さるような嫉妬の視線を感じながら、俺はこのチョコをどう処理すべきか途方に暮れた。


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