ー【第4項】「いただきます」の声と共に、俺と白雪姫と太った毛玉の奇妙で温かい晩酌ライフは、これからもずっと続いていく
第4項 「いただきます」の声と共に、俺と白雪姫と太った毛玉の奇妙で温かい晩酌ライフは、これからもずっと続いていく
俺たちはグラスを合わせた。
「かんぱーい!」
マシロの楽しそうな声が響く。
俺たちは手を合わせる。
「「いただきます」」
マシロがもやしを一口食べる。
シャキッ、という小気味よい音。
「ん~っ! おいしい! シャキシャキで、味が染みてて……ご飯三杯いけちゃう!」
「食べ過ぎるとまたお父様に怒られるぞ」
「いいの! カズマくんが責任とってくれるんでしょ?」
彼女は悪戯っぽくウィンクをする。
俺はため息をつきつつ、自分ももやしをつまみに酒を飲んだ。
……美味い。
なんてことのない味だ。けれど、五臓六腑に染み渡る。
隣には、世界で一番可愛い彼女がいて、美味しそうに笑っている。
頭上には、ピンク色のフワリが浮かび、俺たちの間を行き交う「幸福な空気」をデザート代わりにパクついている。
俺は、自分がもう「孤独な晩酌」を求めていないことに気付いた。
一人で飲む晩酌も悪くなかったが、二人で食べる「適当メシ」の方が、何倍も美味い。
フワリが、俺の頬にすり寄ってきた。
『――ミッションコンプリート。対象、幸福度MAX』
そんな声が聞こえた気がした。
俺はフワリの頭(?)を指で軽く弾き、マシロに向かって微笑んだ。
「……おかわり、あるぞ」
「うん! 全部食べる!」
俺たちの夜は、まだ始まったばかりだ。
晩酌の神と、白雪姫。そして一匹の太った精霊。
この奇妙で温かい食卓は、これからもずっと続いていくだろう。
ごちそうさまでした。
(第5章 完)




