ー【第4項】俺はただのポテチ焼き係だったはずなのに、いつの間にか「食の錬金術師」という二つ名が爆誕し、マシロとの関係も公然の秘密となってしまう
第4項 俺はただのポテチ焼き係だったはずなのに、いつの間にか「食の錬金術師」という二つ名が爆誕し、マシロとの関係も公然の秘密となってしまう
パーティーはその後、大盛況のうちに幕を閉じた。
俺が追加で作った『柿の種の衣揚げチキン』や『サバ缶のアヒージョ風』も瞬殺され、俺は厨房から一歩も出られなかった。
帰り際、参加者たちから握手を求められた。
「九条くん、今度うちのパーティーにも来てよ!」
「レシピ教えて! マジで尊敬する!」
俺の手は油まみれだったが、彼らは気にせず握ってきた。
カースト下位の俺が、一夜にしてトップ層に認められる。そんな漫画のような展開に、俺の脳は処理落ち寸前だった。
マシロと一緒に会場を出ると、夜風が火照った頬に心地よかった。
「……ありがとう、カズマくん」
マシロが隣で、小さく呟いた。
「リナ、すごく喜んでた。私、鼻が高かったよ」
「別に。余り物処理しただけだし」
俺がそっけなく答えると、彼女は嬉しそうに笑い、俺の腕にギュッと抱きついてきた。
「もう離さないからね。私の胃袋、一生掴んでてね?」
その言葉に、心臓が跳ねた。
これ、プロポーズじゃねえの?
しかし、俺は冷静を装って答えた。
「……重い」
「えへへ」
こうして、俺の「晩酌の神」としての噂は、学校中に広まることとなった。
翌日から、俺を見る目が変わったのは言うまでもない。
「あの九条が、実はすごい料理人らしい」「白雪さんと付き合ってるらしい」という噂が飛び交い、俺の平穏なモブ生活は完全に終わりを告げたのだった。
フワリは相変わらず、俺の肩で気楽にあくびをしている。
俺たちの夜は、まだまだ続きそうだ。




