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泥棒が来た夜

作者: にゅるい
掲載日:2026/02/08

ロマンチックっぽいタイトルだけど

残念 何もない

   泥棒が入って来た!!


 ルカは夜ご飯のあんまんを食べていた。ニュースでは冬季オリンピックの結果が流れている。父と母と妹と、4人であんまんを食べている。父とルカと妹はあんまんを食べようとして舌やけどしている。


 舌をやけどしてもよく喋る妹が学校であったことを喋り出そうとした時であった。


 リビングの窓ガラスが割られた。


 4人が揃って音がした方向を見ると、黒い覆面を被った男ーー男?ガタイの良さなどを見ると男らしいーーが3人、立っていた。


 3人の男は家族のもとへ駆け寄ってきて、1人が父を、もう1人が母を、残りの1人が兄妹を拘束した。


 ーー泥棒じゃん!!


 ようやくルカがそう考えられるようになった。あまりに突然で何も考えていなかったのだ。それは父にしても母にしても同じらしく、妹などはまだ状況を把握しきれていなさそうである。


 ーー何のために?


 ルカが考えたのはまずここである。


 ルカの家は都会からすこし外れた住宅街にある。周りには他にもこの家と同じような建物がたくさん並んでいる。別にここでなくても他の家があっただろうし、まず都会にはもっとお金持ちの家がたくさんあるだろうし、そもそも家を狙う意味がわからない。オフィスを狙えばいいんじゃないのか。いやオフィスになると警備があるのか?となると家か...いやしかし都会にもお金をたんまり貯めてて警備もゆるゆるな家くらい探せば一つや二つは普通に出てくるだろ...


 などと思考していると、ふと一つのことに気づいた。


 ーーこいつら全然動いてない!!


 そうなのである。動いてないと言っても、拘束から逃れようと身をよじる妹などを適宜抑えつけたりはしているが、男たちは全員ルカたち家族を拘束するだけで、通帳や金属やその他を漁ったりしていないのである。


 ーーなんで3人で来たんだよ!!


 せめて4人で来てたら1人は動けていただろうに。


 ーーまあ漁るようなものって言っても何にもないんだけど!つーかまじでなんでこの家来たんだ!!泥棒入る家のリサーチくらい済ませとけ!馬鹿か!!いや泥棒に入るやつは馬鹿だけか!!


 べつに泥棒に入るのは馬鹿だけなわけではないだろうが。


 ーーてかなんでこんなゴールデンタイムに泥棒してんだよ!!


 彼らが今しがた割った窓ガラスからも光は見えていたはずである。夜ご飯中ということを想定していたのか...?いやそんなこと想定するくらいだったら深夜とかにやれや!いや実際あんまんで手が塞がって何にもできなかったけど!!


 ーーこの家にカメラがあったのか?


 それなら話はわかる。ルカたちがあんまんに苦戦しているスキに通帳や金属や非常食やその他もろもろをいただくのだ。泥棒の話を泥棒に入られた側がわかってどうすんだ。


 ーーいやでも...ないよな?


 カメラはなさそうである。実際この家のどこにもカメラ盗聴器の類はない。


 ーーじゃあ馬鹿なのか!!


 馬鹿である。夜ご飯中だったから良かったものの、いや決して良くないが、もし母などが料理中だったらどうしたというのか。その手に握った炒め物をしているフライパンを頭に全力で振り下ろされることを考えていなかったのか。


 ーーつか他の家はどうした!!


 ゴールデンタイムにガラスが割れる音を聞いた人がいないなんてまさかそんなことあるはずがない。なのに外には野次馬らしき人影も見えない。


 ーー待てよ。


 隣の家のガラスが割れている。


 ーー馬鹿だ!!!


 馬鹿である。


 ーー一軒一軒泥棒して回ってたのか!?


 いやそれでも。


 ーー人影が見当たらない理由にはなってない...?


 そう思い始めたところで、ルカを抑えていた男が口と鼻を抑えてきた。


 ーーなるほど。


 気絶させてから盗みを働くようだ。


 ゴールデンタイムに堂々とガラスを割って人の家に侵入することを盗みに働くとは絶対に言わないだろうが。


 ーーさてどうする。


 ルカは小学校から中学で続けて吹奏楽部に入っている。肺活量は並よりはあるはずだ。しかしそれもルカが気絶するまで鼻を塞がれて呼吸ができなかったら同じである。


 ーーそうか。


 気絶したふりをすればいい。そうすればあわよくば男も抑えるのをやめてくれるかもしれない。そうすればあわよくば男たちを止められるかもしれない。そうでなくともあわよくば警察やなんかを呼んだりできちゃうかもしれない。そうしたらあわよくば表彰なんかされちゃったり。きゃー。


 そうとなったら話は早い。気絶したことに気づかれずに塞がれ続けたら本当に気絶してしまう。行動を起こすのは早い方が良い。


 かくん。


 ....どうだ..?


 ーーやばい。


 やばいやばい。


 やばいもうそろそろやばい。


 と、思い始めたあたりで男が抑えるのをやめた。


 ーーやったか?


 ソッと目を開けてみるとどうやらルカ以外は気絶させられてしまったらしい。床に横たわっている。あんまんも横たわっている。あーあもったいない。父なんか舌を火傷してまだ半分も食べていない。


 ーーん?


 待てよ。


 男たちは今何かを話している。どこを探すかなどを話しているのだろうか。家の人間が全員気絶したんだから焦らずに探せばいいのに。


 男たちはルカたちがいる食卓から動いていない。


 ーー気絶した後ってどうすればいいのかわかんない!!


 そりゃそうである。気絶したことなんてこれまで一度もなかった。寝たふりみたいな感じでいいのか?呼吸とかってどうなってんの!?気絶してる時呼吸ってしてんの!? 多分してるんだろうがルカはパニックになっていた。


 くしゃみが出そうになってきた。


 ーーやばいやばいやばい!!!


 ここでくしゃみしたらお腹つる!てか絶対こっち向く!気絶してる人って絶対くしゃみしないでしょ!!


 あっやばい


 へっ



      「くしっ」


 男が3人こっちを見た。

 それからは覚えていない。

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