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第4話 始まり4

 とりあえず、この二体には、俺に対する害意は無いらしい。ゲームの設定をそのまま引き継いでおるとすれば、仲間とさえ想ってくれておるかもしれぬ。実際、俺の方が目覚めたのが後だったから、その意があれば、殺すなり縛るなり、何とでもできたであろう。


 ひと安心し、そのまま待つ。何をかって? ステータス・ウインドウが現れるのをである。この手の転移転生の定番のあれである。


 俺が転生したと想われるゲーム。武将のステータスの項目として、兵を率いての戦に直結する指揮能力、そして領内の生産と結びつく内政能力、あとは敵国との外交交渉を成功へ導く外交能力などがある。ただ、兵もおらねば領土も国もない己には不要である。


 俺が知りたかったのは戦闘能力。ゲーム内では、武将同士の一騎打ちというものがあり、戦闘能力の値が勝敗を決める。更に詳しくいえば、その勝敗が、戦全体の結果にも影響するというものなのだが。


 それで、今の俺であるが、一騎打ちがやりたい訳では当然ない。そうではなく、その値が俺のサバイバルに直結すると考えたからである。


 ただ、待ってもなかなか現れてはくれない。何かの合図が必要なのかと、目をつぶったり開いたり、指先でそれらしき図を空間に描いたりしてみたが、何の効果もない。ゲームではコントローラのボタンを押せば表示できたが、そんなものは、無論、ここにはない。


 あきらめて、再び周りに注意を向ける。女騎士があきれた如くの顔をして見下ろしておった。そういえば、この者には、己が自分の胸を揉んで残念がる様も見られておるのだ。こうなるのも、当然といえよう。


 ふと、気になり、テイマーのペロの方を確認する。少しというか、かなり驚く。壺の向こう側におったはずだが、手前側に来ておったのだ。猫なみの忍び足ということであろうか。緊張感を和らげようとしてか、テヘッとの笑顔を浮かべる。そしてやはり両の手を合わせた上にネズミを乗せている。


 ゲームでは、あどけなさの残る中にもドキリとする美少女という印象であったが。今も可愛らしさそのものは変わらぬとしても、それは小動物の持つそれとしか、俺には感じられぬ。これも俺の心が変わったせいであろうか?


 ペロは更に一歩踏み出そうとするも、俺は待てとばかり、手の平を開いた右腕を差し出して、それを止める。決してネズ公が恐い訳ではない。ただ、現代的な衛生感に支配された俺が望んで触りたい相手でないことは確かである。やっぱり恐いんじゃないかとの突っ込みはさておき、ちゃんと他にも理由はあった。

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