第15話 呂布との試合1
対峙する。さすがにデカイな。1メートル90、いや2メートル近くあるのだろうか? そんな人間、前世でもそんなに見たことない。少なくとも俺の生活圏では。おまけに俺は身長も縮んだようで、今や160センチほどと想われる。なので、余計にでかく感じるのだろう。
そしてそれ以上に圧がすごい。手加減すると言っておったので、意図して気をみなぎらせておる訳ではないのだろうが。その体が発する威圧感はすさまじく、想わず後ずさりしたくなる。それを何とかこらえる。
「あなどるなかれ。そいつのコマネズミ戦法は強いぞ」と猩猩殿。
「フリチンは強いぞ」とペロ。
突っ込みどころ満載とはいえ、声援はありがたく受け取っておく。俺は呼吸を整え、タンとばかり地を蹴る。相手の攻めを待つ気はなかった。体格差を利した猛襲を受ければ、一気に押し込まれ、そのまま負けが決まってしまう恐れさえあった。そんなことになるくらいなら。そして、何より俺のスピードが通じるか試してみたかった。この三国志随一の英雄に。
驚いたことにすんなり間合いに入れた。できるだけ、身を低くして試みたのが、功を奏したのかもしれない。ただ、相手が俺の攻撃を待ち構えている如くに見え、情けないことに何もせぬまま引いてしまう。
それがいけなかった。俺のバックステップは、己の近い間合いを外しはしたが、呂布の間合いから外れるには不十分であったようで、何の意味もなかった。風のうなりと共に蹴撃が飛んでくる。俺は両腕でブロックするも、受け止められる訳もなく、吹っ飛ばされる。後方にごろごろ転がるも、すっくと立つを得た。体の頑丈さがありがたかった。前世の体なら腕も折れていたであろうし、それこそ意識も飛んでいたかもしれぬ。
もちろん、そうできたのは、呂布が待っていてくれたというのもある。転んだときにマウントを取られていたら、跳ね返せたか自信はない。
いずれにしろ、受けに回れば、不利は明らか。ここは攻めの一手と。再度、同じ動きを取る。ただ、まさに敵は待ち構えていたようで、頭のところに蹴りが飛んで来る。先と違い、呂布は足を器用に折り曲げ振り抜いて来た。大胆な接近にもかかわらず、間合いはつぶせていない。くらえば、ワンパンで負けかも。
それでも、呂布の側に最低限の予備動作が必要である以上、この体なら、何とか対応できるはず。当たると想えた瞬間、俺は身を更にかがめ、そのまま残った軸足めがけスライディングする。こちらが勢いをつけ、更には相手が片足立ちだったこともあるのだろう。ドウとばかりその巨体が倒れる。
俺は勢いのままにすべり、大きく距離を取ったところで、立って身構える。
ペロではないが、どんなもんだい、まさにそんな意気込みとともに。




