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「思考だけでハッキングできる俺が、AI支配社会で学園無双する」  作者: マロン64
一章 ハイスクール・シブヤ・エデュケーター編

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第九話 学園寮と施設の利用 榊友斗視点→現在→ハイスクール・シブヤ・エデュケータ―

カクヨムで2話先行公開をしています。マロン64で調べれば出ますので早く読みたい方はそちらでお読みください。


 友斗はハイスクール・シブヤ・エデュケーターの学園寮に向かっていた。

 友斗の隣にはルームメイトの黒髪に丸眼鏡をかけた綿貫ショウが歩いている。


「榊君は金髪だし、学ランだし、クラシックな時代の不良みたいだね」

「個性は大事だからな。後、この髪は地毛だぜ?」

「え? そうなの?」


「俺の母親が英国生まれだからな。こう見えてハーフなんだぜ」

「普通に日本人っぽい顔なのに! 意外だね」

「まあな」


 友斗はクラシックな二十一世紀の不良に憧れていた。

 そのため、UBI、通称ユニバーサル・ベーシック・インカム、つまり国から支給される毎月のお金をためて、学ランを買ったのである。


 日本は21世紀序盤から中盤にかけて急激にインフレが進み、仕事だけでは生活費が足りなくなった。そのため、行政AIはUBIを支給することを決めたそうだ。


 財源? そんなもん、赤字国債に決まってるだろ?

 AI評価がUBIの額を決めているので、友斗のUBIは一番額が低い。

 両親にはいい顔はされていないものの、好きなように生きろと言われている。


 友斗と綿貫は学園内の無人バスを乗り継いていく。

 ハイスクール・シブヤ・エデュケーターの中には農業もやっているらしく、牧歌的な耕作地や林が見える。遠くにそびえ立つ雲を突き抜ける六本の塔を眺めながら景色が進む。


《一年生学園寮:止まります》

 無人バスのAI音声が喋り、二人はバスを降りる。


「うおお! でけえ!」

「本当だね~。僕の家よりこっちの方がでかいよ」


 二人が見上げるのは都内の高層マンションよりでかいマンションだった。

 名のあるAI建築家にデザインを頼んだのか、魔王城のような校舎に恥じないプチ摩天楼だった。


 学園寮は都内の高層マンションより高さがありおそらく五百メートルは超えているだろう。言い忘れていたがハイスクール・シブヤ・エデュケーターの学生の数は全校で九千人いて主人公のいる高等部一年:Aクラスは人間と教育中AI含めて三十人だ。


 学園寮は生体認証になっており、鍵やパスワードを打ち込む必要はない。

 二人は圧倒されながら、学園寮に入る。


 五〇三号室が二人の暮らす学園寮だ。


「ご主人様、お帰りなさいませ♡」

 メイド服でフリフリのスカートを着た生足が見える美人なメイドAIが迎えに来てくれた。


「榊友斗様、綿貫ショウ様、食事か、お風呂、どちらになさいますか? それとも私♡?」

「榊君、どうやら部屋を間違えたみたいだよ」

「そうだな、帰ろうぜ」


 二人は何も見なかったことにして、ドアを閉めようとするが、瞬時に近づいてきたメイドAIがドアを抑えて必死の形相で媚びを売ってくる。


「ご主人様達は放置プレイが好きなんですね、でも夜は……ふむふむ」

「しねえから! なんでメイドAIがこんなにエロいんだよ!」

「僕は人間でもAIでも差別はしないけど、君はちょっと……」

「あら? ちょっと興味出てきました? 私の下着、見ます?」


 メイドAIが自分のスカートをめくろうとするので二人で取り押さえながらため息をつく。

「はあ、君、名前は?」

「失礼しました、ご主人様。私の名前はアカリです。気軽にアカリンって呼んでください♡」


 赤っぽい茶髪をポニーテールに束ねた絶壁の美少女メイドAIはアカリというらしい。

 友斗は絶対、アカリンとは言わねえ、と心に誓いながら晩飯にしてくれと頼んだ。


 アカリは人好きのする人懐っこい笑みを浮かべると一礼して、ポニーテールを揺らしながらキッチンに向かう。

 二人はその間に部屋の間取りを確かめる。

 寝室は二つ、広々としたリビングと台所とキッチンで2LDKの間取りだ。


「見てよ、遠くに東京湾が見えるよ!」

「おう、スカイツリーやスペースタワーも見えるぜ。なんか本当にとんでもないところに来たんだな」

 しばらく、無言で眺望を眺めた後、ご飯の用意ができたということで二人はリビングに向かう。


 二人は出てきた食事を見て目を疑う。

「アカリ? プロテインバ―が箱で置いてあるだけなんだが?」

「飲み物もプロテインを溶かしたジュース……?」

「はい♡ 精一杯“調理”しました♡」

「何も調理してねえだろ!」


 このメイドAIはどこまでポンコツなんだ? 

 はあ。もう自分で作るしかねえ!


「もういい、俺が作る」

「榊君? 料理できるの?」

「おう。親が料理下手すぎて俺が作るようになったんだ。後友斗でいいぞ」

「友斗君って呼ばせてもらうよ。僕はショウでいいからね」


「かしこまりました♡ 友斗様♡ ショウ様♡」

「お前に言ってねえ!」


 友斗はため息をつきながらキッチンに向かう。

 アカリは何故かお尻をぷりぷり振りながらついていく。


「本当に大丈夫なのか?」

 綿貫ショウはプロテインバーを一つ開けながら不安な気持ちになる。


 こら! 卵を割るときにナイフは要らない!

 ひえ~! すみません、友斗様!

 鶏肉はこんなもんでいいかな、ってなんでミンチになるまで切ってるんだ!

 

 キッチンからは友斗の怒鳴り声が響く。

 アカリは謝っているが本心からそうしているかは疑問だな、とショウは思う。

 しばらくして、美味しそうな匂いが漂ってきた。


「ショウ、できたぞ!」

「キャッ♡ 友斗様との共同作業♡」

「お前は邪魔しかしてないだろ!」


 ショウは運ばれてきた料理を見て、目を疑う。

「え? これ? 友斗君が作ったの?」

「そうだぜ、美味そうだろ?」


 半熟卵をトロトロに乗せた金色のオムライスにシーザーサラダとデザートまで着いていた。デザートは冷蔵庫にあったプリンにホイップしたクリームが乗っている。

 

 ショウはオムライスにスプーンを入れて熱々の卵とピンク色のチキンライスを頬張る。

 ショウの家では、あまり二十一世紀的な食事が出てこなかったのでちょっと嬉しかった。


「フフフ、友斗様とショウ様のカップリング、良い……」

「お前は自重しろ!」

 友斗のツッコミが炸裂する。


「すごく美味しい! 友斗君、プロになれるよ!」

「言いすぎだ」

「友斗様♡ これから毎日作ってください!」

「お前の仕事だろ!」


 三人は突っ込みとボケを交わしながら食事を進める。

 なお、食事係は友斗に決まったけど、アカリにご飯を作るための教育的指導が決まることになった。

「これは友斗様の調教が始まるってことですね♡ いやーん、エッチ!」

「お前のAI設定はどうなってるんだ!」

「フフフ、だんだんこの会話が癖になってきたよ」


 この後、シャワーを浴びようとする二人にアカリが突撃する一幕はあったものの一日が終わった。なお、二人は別々で寝る時に寝室の鍵をかけたのは言うまでもない。


小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★★★★★にしてくださると作者が大変喜んで更新頻度が増えるかもしれません。よろしくお願いします。

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