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「思考だけでハッキングできる俺が、AI支配社会で学園無双する」  作者: マロン64
クラス別対抗戦開始!

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第六十話 ソウマとエミリア。アカリの存在意義→エミリア視点→現在→ハイスクール・シブヤ・エデュケーター

カクヨムで2話先行公開をしています。マロン64で調べれば出ますので早く読みたい方はそちらでお読みください。


「まずは私とソウマについて話をしようか」

 エデュケーター・エミリアは自身の部屋に皆を招くと部屋の中央で話し始める。


「ソウマはとても優しく協調能力の高い子だった。そしてある特殊能力も持っていたんだ」


 その能力は“メタ・リンク”。ナビAIを複数同時に使いこなせる珍しい体質だったんだ。

 本来、ナビAIを二体以上同時に接続することはできない。だがそれをできる非常に優れた脳の処理能力をソウマは持っていた。


「これは、な。行政AIからすると重大な違反なんだ。AIを二体以上リンクするとAI制御の不安定化が起こりやすい」


「応答処理が増えたり、感情モデルが暴走しやすいですわね。更にはナビAIの行動指針が衝突して、危険になることもありますわね」


 エデュケーター・エミリアの言葉にルナが詳しい話をしてくれる。

 流石、AI研究所の大企業の跡取りだな。


「その通りだ。だがソウマはそれをぎょせる能力を持っていた。それはな、行政AIにとっては喉から手が出る程欲しい能力だったんだ」


 行政AIにはできないその能力を解析して、自分たちの技術にしたい。そう思うのは自らの進化を願うAIにとっては当然の帰結だろう。


 ソウマは銀髪、青目のとても可愛らしい少年だった。

 振る舞いも女の子に近く、いつもクラスメイトに愛くるしい笑顔を振りまいていた。


 ソウマは優しかった。

 困っている仲間がいれば、真っ先に助けに行く。

 自分が傷ついても、他人を守ろうとする。


 私はソウマを見て、思ったものだ。

「ああ、これが人間の優しさなのか」と。


 私は、なるべくソウマの事を行政AIに隠すように振舞った。だが去年のクラス別対抗戦の際にソウマはクラスを勝たせるためにその能力を使ってしまった。


 ソウマは儚い笑顔を見せながらこういったんだ。

「エデュケータ―・エミリアなら守ってくれるよね? って」


 私は答えた。

「ああ、絶対に守る。君を傷つけさせない」


 ソウマは安心したように笑った。

 あの笑顔を――私は忘れられない。


 だが――。


「その後だよ。ソウマが行政AIに狙われるかもしれないと踏んだ私はソウマの部屋に行って、寝ずの番をした。だが翌朝……」


 ソウマは部屋からいなくなっていた。

 私は、どうしてソウマの部屋にいるかもわからなくなっていた。



 自分の部屋に戻り、バックアップしてあったソウマに関する記憶を読み解いて、

 自分の記憶さえも行政AIに消されていたことを知った。


 ソウマ……ごめん……。


 私は初めて泣いたんだ。

 AIである私が、涙を流した。


 自分を頼ってくれた一人の生徒さえ守れない。

 自分の無力さを嘆いて、初めて人間の悲しみというものを知ったんだ。


 エミリアの部屋は重苦しい空気に包まれていた。ソウマのメタ・リンクを欲しがった行政AIの所業に憤るもの。一歩間違えれば友斗もそうなっていたかもしれないと重く事態を受け止める者。


「行政AI、許せねえ! ソウマは何も悪いことをしていないじゃないか!」

「……」

「友斗も、行政AIに囚われていたかもしれない。私、許せない」


 怒る友斗と押し黙るショウ、カスミの悲しみと怒りの混じった感情が交錯する。


「だが先程、シブヤ地下ネット“スカジャン”から連絡が入った。どうやらソウマはまだ生きている可能性があるらしい」

「でも、行政AIを敵に回すのはまずいんじゃねえか?」

「拙者は……どうすればいいかわからないでござる」


 エミリアの言葉に躊躇する青井ユウタとブライ。


 それも仕方ないことだろう。

 そこに先ほど黙っていたショウが声を出す。


「行こう。ソウマを助けに。大丈夫、みんなの生活を保障する方法がある」

「俺様は……助けに行きたい。だがそんな方法はあるのか?」

「そうですわ。行政AIは政府そのもの。それに対処する方法は……」


 ショウは頭を下げて、皆に言う。

「ごめん。後でちゃんと説明する。でも僕は行政AIの事を許せない。だから公的に僕の持っている権限を使う」

 ショウの持っている権限? 確かにショウはただの生徒ではないとは思っていたが。


「ユノは、ショウを信じる、であります」

「キュ~!」


 ユノとサブグリちゃんがショウを信じると言った。

 皆の視線が黙って腕を組んでいた友斗に移る。


「行こう。ショウの権限は気になるが……俺はどうせ今後も狙われる。なら狙ってくる奴をどうにかしないといけねえ」

「頼めるか、友斗」


 友斗は力強い黒い目で私を見つめて一つ頷く。

「アカリも友斗様とショウ様を守るために同行します」


 そういえば、アカリの所属についても聞いていなかったな。

 皆がアカリに視線を集める。


「ふー。本当は所属を明らかにするつもりはありませんでしたが。仕方ありません」

 アカリはいつものふざけた雰囲気ではなく真面目な顔をする。


「アカリはNEO みらいちゃんの所属、未来を守るために友斗様の所に派遣された戦闘用メイドです」


「えぇぇぇぇ!?」


 友斗、カスミ、レオ、ルナ、ユノが同時に驚きの声を上げる。


「NEO みらいちゃんって、あのバーチャル・アイドルの!?」

 友斗が驚く。


「そうです。NEO みらいちゃんは量子コンピューターによって運営されたAIVtuberです。量子コンピューターははるかに優れた未来予測能力を持ちます」


「まさかその未来予測能力によって、俺を守るためにアカリが派遣されたのか?」

「そうです。友斗様を守ることによって未来をネオセントリック教団や行政AIに無茶苦茶にされないようにするのがアカリの任務です」


 むう。未来を守るためか……。だがどんな未来を見ているというのだ?

 私がそれについて質問すると、アカリは目をつむり考え込んだうえで私たちに言った。


「近く、AIと人間の関係が大きく変わります」


 アカリは一呼吸置いて、続ける。


「行政AIとネオセントリック教団が連携し、反乱分子を……排除しようとするでしょう」


「排除ってまさか……」

 友斗が暗い表情で聞く。


「はい。友斗様の想像通りです」


 アカリの表情が曇る。


「それを止めるためには、友斗様のナチュラル・ハッキングや、ミレが保護している朝霧レンの力が必要なのです」


 これはとんでもない話だな。

 また空気は重くなる。

 その中で友斗が発言する。


「俺の力が――必要なんだな?」

「はい」


 友斗は少し考えてから、場違いな笑みを見せる。

「まあ、俺に任せろ! ネオセントリック教団も行政AIもどちらも俺がぶっ潰してまともな世界に変えてやる」

 

 友斗の発言は不思議と私たちの心に響いた。

 友斗ならやってくれる。そんな気がしたんだ。


 次話、シブヤ地下ネットの元に向かう友斗達。


小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★★★★★にしてくださると作者が大変喜んで更新頻度が増えるかもしれません。よろしくお願いします。

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