第五十九話 エデュケーター・エミリアの姿をした何か→アカリ視点→現在→ハイスクール・シブヤ・エデュケーター
カクヨムで2話先行公開をしています。マロン64で調べれば出ますので早く読みたい方はそちらでお読みください。
「誰かが友斗様の部屋の前まで来たのです」
「友斗君は出ないでね。アカリはいつもの調子で応対を頼むよ」
「はい♡ ショウ様」
友斗は部屋の隅に押し込められて、カスミが隣にくっついている。
友斗様の隣の場所はアカリの物なのに!
まあ今はいいでしょう。
ピンポーン!
部屋のベルが鳴らされたタイミングでアカリは何食わぬ顔でドアを開ける。
攻撃されたらいつでもメイド服の内からナイフを出せるようにして。
「ん? なんだメイドAIか。ちょっと野暮用があってな、部屋に入れてくれないか?」
ドアの外に立っていたのは金髪、青目の美人エデュケーターのエミリアだった。
昼間は随分と調子が悪く、話をまともにできない様子だったと聞いているのに……。
「あれ? エデュケーター・エミリア、私の名前を忘れちゃった? 私ですよ、私♡」
ちょっと鎌をかけてみる。何せ一度か二度あったことがあるのだからAIなら絶対私の名前を憶えているはずだ。
だが少しエミリアの顔が険しくなる。やっぱり何かおかしいわ。
「すまんが、メイドAIのお遊びに付き合っている暇はないんだ。部屋に入らせてくれ」
一見して、急いでいるから早く入れてくれと急かしているように見えますが……。
これはおかしい。
「エデュケーター・エミリアなら私の名前をこたえられるはず。それができないならお引き取り下さい」
「全く、玄関先で何をやっているんだい? ミサト?」
「お、そうだ! 君の名前はミサトだったね。つい忘れていたよ」
ショウ様のナイスアシストでこいつの正体がバレましたわね。
ショウ様とアカリは顔を見合わせ、扉をガチャンと締めようとするが――。
「おっと、そいつは困るんだよね。今日は榊友斗の葬式を挙げる日なんだからなあ」
しまった扉から銃声のような音が聞こえて鍵が壊される音がする。
同時に窓ガラスが割れる音がして無人ドローンが窓の外から入ってくる。
「陽動なんて!」
「ショウ様、落ち着いてください。私がこいつに対処します。サポートをお願いします」
鍵を失った扉が無造作に開けられて、エデュケーター・エミリアの顔をした何かが部屋に入ってくる。
アカリはナイフを二本取り出して油断なく構える。
ショウはゴーグルのような眼鏡を付けて油断なく構える。
エデュケーター・エミリアの顔をした侵入者は片手銃を両手に構えて、ショウに発砲する。
——二振りの閃光が走る。
ショウの前に高速移動したアカリは銃弾をナイフで弾く。
「アカリ――! 本当に強かったんだね」
「えへへ。だから言ったじゃないですか。前に戦闘は任せてくださいって」
そういえば、アカリは以前、戦闘もできるって言ってた気がする。
でも、まさかここまでとは……!
ショウは回想する。
後ろでは友斗を守りながら無人ドローンをエネルギーソードの剣舞で切り裂くカスミの姿があった。
だが無人ドローンはどんどん数が増えている。今は十個にまで増えていた。
ユノはサブグリちゃんを出して電子魔法で友斗を守っている。
ルナはディアブロを漆黒の片手銃に切り替えて、無人ドローンを落としまくっていた。
青井ユウタは斧を振り回し、無人ドローンを叩き落とす。
ブライは分身を作り出し、無人ドローンを翻弄しながら周りのサポートをしていた。
アカリのナイフが偽エミリアの銃を狙う。
だが、偽エミリアは銃を引いて回避。
同時に、もう一方の銃がアカリの頭を狙う。
「甘いです!」
アカリは身体を捻り、銃弾を回避。
反撃のナイフが偽エミリアの頬をかすめる。
「やるね、メイドAI」
偽エミリアの顔に、細い傷が走る。
だが、すぐに修復される。
くっ、AIの自己修復能力……!
アカリとエミリアの姿をした何かが、激しい攻防を繰り広げる。
アカリが予備のナイフをエミリアの姿をした何かに投擲するとそれを銃器で弾きながら片方の銃で反撃をしてくる。
「いい加減! しつこいです!」
「君の方こそ何者だい? メイドAIに戦闘機能はついてないはずだがねえ」
「そのエミリアの姿をやめなさい!」
ショウがナチュラル・ハッキングをして、エミリアの姿をした何かのシステムに入りこむ。
ショウの視界には電子の数字と記号の塊が見えていた。
これは……特殊な電子層だ!
どうやら高度な偽装プログラムが施されているようだ。
ショウは額に汗を浮かべながら、コードを解析していく。
くそ、友斗君のナチュラル・ハッキングに比べたら、僕のは模倣品……!
でも、ここで諦めるわけにはいかない!
ショウは眼鏡を持ち上げる。
新しいゴーグルの分析機能が、偽装プログラムの隙間を見つけ出す。
「見えた......!」
ショウが眼鏡を持ち上げると、エミリアの姿から顔のないのっぺらぼうのようなAIの素体が現れる。
「見たねえ。ったくこんなに強いメイドAIがいるなんて誤算だったよ」
「何て、気味の悪い姿。貴方、何者ですか?」
「そんなこと言うはずないよねえ」
ショウは続けて、のっぺらぼうのAIのデータを探る。
所属は……行政AIだ!
「アカリ、こいつの所属は行政AIだよ!」
「全く、AI政治家が動き出したってわけですか」
アカリとのっぺらぼうのAIがこう着状態に入る中、外から警備AIとエデュケーター・エミリアの声がする。
「なっ! 学園内でこの騒ぎはなんだ!」
「騒ぎ。鎮圧します」
「ちっ。サクッと榊友斗を消させてくれればよかったんだけどねえ。ここは逃げるに限るね」
「逃がしません!」
アカリはのっぺらぼうのAIを学園寮のマンションと階段からくるエミリア達で挟み込もうとするが……。
「楽しかったよ。また遊ぼう」
のっぺらぼうのAIは背中にパラグライダーのような装備を内蔵させていて、三十階以上はある学園寮のマンションから飛び立つ。
「部屋の中にいた無人ドローンも壊した奴以外は窓から逃げていったよ」
「全く。なんて野郎、何ですか」
アカリは一息つくと愛しの主人の元へと向かう。
「友斗様! 大丈夫ですか!」
「ああ。俺にけがはない。皆が守ってくれたおかげだ」
どうやら無人ドローンの襲撃は友斗が出るまでもなく、防げたようだ。
本物のエデュケーター・エミリアが部屋に入ってくる。
「なんて、酷いありさまだ。これは……誰の仕業なんだ?」
「ショウ様のハッキングでは行政AIの仕業と出ていますわ」
「そうか。とうとうAI政治家が動き出したんだな」
エデュケーター・エミリアはひどく憔悴した顔を見せる。
「エミリア。教えてくれないか? ソウマという生徒やなぜ行政AIが俺たちを襲ってきたかを」
「うむ。全容は私にもわからない。だが私の記憶容量から抜かれていないデータだけでも説明しよう」
ひとまず、エデュケーター・エミリアは八人を連れて、エミリアの部屋に移動する。
アカリも行きたがったので今回はついてくることに。
「アカリ? 君も何故戦えるのか教えてくれるかな?」
「分かりました。今回は私の情報も開示しますわ」
次話、ソウマとエミリア。アカリの存在意義。
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