第五十五話 賞品贈呈→榊友斗視点→現在→体育館フィールド
クラス別対抗戦は複数の体育館フィールドで行われており、五日間かけて全て滞りなく終わった。
Aクラス同士の対決は一年、二年、三年生の試合の中でも一番盛り上がったと言えるだろう。各クラスのエース同士の対決はかなり盛り上がった。
今は一年A07組の賞品贈呈である。
「ワクワクするな! どんな賞品がもらえるんだろうな」
「友斗、騒ぎすぎ」
「まあまあ、出てない僕達にも賞品はもらえるみたいだから嬉しいよね」
「俺様はラピスだけでいいんだが、ラピスがもらえるならもらっておけってうるさいからな」
「わたくしは負けてしまったのに……。でもレオと友斗とユノの勝利のお陰で賞品がもらえますもの。感謝ですわね」
「ユノもワクワク、であります! でもAIだからナビAIはもらえない、であります」
賞品贈呈に当たって、各エデュケーター達は壇上の前にいた。
「クラヴィス? お前、友斗に変なものを送ろうとしていないだろうな?」
「エデュケーター・エミリア? 何故そんなに私を目の敵にするのです」
「今回のクラス別対抗戦の相手を決めるときにくじが何回か可笑しい動きをしていた。もしや、A01クラスとの対戦を仕組んだわけではないよな」
「濡れ衣はよしてください」
エデュケーター・エミリアとエデュケーター・クラヴィスは壇上で口論をしていた。
ため息をついたジャンブル爺が間に割って入る。
「うるさいのう。もう賞品贈呈を始めるのじゃ」
まずはレオが呼ばれる。
「お主はクラスの一番槍として勝利を持ち帰る重要な役目を果たした。ナビAIは居るようじゃから装備を渡すぞい」
レオが渡されたのは電子化されたバッジだった。ホログラム端末に吸い込まれて浮かび上がるラピスに青く煌めく装甲が付与される。
「これはラピス・オーバーレイフレームじゃ」
「レオのグラビティ・ウェーブを複数回撃てるようになるぞ。追加装甲としても使える」
「それに学園の最新の防御技術を搭載していますよ。それは私からの追加オプションです」
ジャンブル爺とエミリアとクラヴィスが続けて話す。
「なるほど、これなら俺様のラピスも強くなれそうだ」
「うむ。それを使って精進するのじゃ」
クラスメイト達は後ろで感想を言っていた。
レオって本当に変わったよな。
レオ君結構タイプかも。
レオが壇上から下がる。
「次に天瀬ルナじゃ」
「わたくしですか……」
「お主は神無ヒバリに負けはしたものの、見事なリンクバトルを見せた。じゃがディアブロ・アーセナルモードに頼りすぎじゃな?」
「——ですわ」
「それを考えてこれを用意した。ギルド?」
「全く、なぜ私がこれを渡す役を」
嫌そうな顔をしながら黒いスーツに銀縁眼鏡、髪は七三分けな黒髪の男性AI、ギルドが商品をルナに渡す。
「良いからはよせえ」
「はいはい。これはディアブロ・シャドウベールです」
ホログラム上の黒いマントをルナに見せるギルド。
「これは……ステルス用のマントですの?」
「背景への溶け込みや残像を使うことも可能。音と足跡も消せるステルス機能付きです」
「すごい機能ですわ」
「仲間を守るときにも使えます。しかしデメリットもあります」
「何ですの?」
「ディアブロ・アーセナルモードと併用すると火力が下がります。これはナビAIの出力電源の関係でそうなるのです」
「なるほどですわ。守りと攻めの時に使い分けることが重要ですのね」
「どう使うかは君しだいです。好きに使いなさい」
ルナは会釈して壇上から降りる。
ショウに少し嬉しそうに笑みを見せる。
やっぱりあいつら両思いだよな。仲良さそうだ。
「次に教育中AIのユノに賞品を贈呈するぞい」
「緊張する、であります」
「お主からはコバル、お前が渡すのじゃ」
「おう、これだ」
コバルが手に取ったのはホログラムの緑色のマリモのような丸い球体に目と口がついているぬいぐるみだった。
「可愛い、でありますか?」
「見た目に関してはノーコメントだ。こいつの名前はサブプロセッサ・グリモワールだ。電子魔法の出力を上げる効果や書記なんかも自動でしてくれる」
「ぬいぐるみが、書記、でありますか?」
「まあ言いたいことはわかるが、飲み込め」
ユノは目を白黒させながらマリモ状のぬいぐるみを触る。
「キュー!」
「わっ! 可愛い声、であります!」
「キュッ、キュ」
「名前を付けてほしい、でありますか? うーん、サブグリちゃん、であります」
「キュー!」
どうやら気に入ったみたいだな。ユノの持ってるホログラム端末に入っていく。
他のクラスメイト達にはリンク戦闘基礎強化パックが配られていた。
クラスメイト達は歓声を挙げて喜んでたぞ。
移動速度を少し上げるブーツモジュールと反応速度補助のインターフェースと簡易シールド機能。それに各個人に合わせて成長するナビAIか装備が送られていた。
ただカスミがなんか白色の首輪もらってたんだが大丈夫か?
めっちゃ俺の方見て、ニヤニヤしてるんだが。
「これ、友斗の首輪」
「俺は絶対に付けねえ」
断固拒否したがなんかエミリアにこそこそ話をしに行ってた。
ちょっとだけ盗み聞きするか。
「……これ、もう一個欲しい」
「うーむ。まあ友斗用にも必要だな。交渉しておこう」
お揃いで首輪付けたくないからな⁉
俺はちょっとぞっとする。
ショウは変わったゴーグルをもらってたな。
青井ユウタとブライはシールドとなんかのモジュールだな。
「最後に榊友斗じゃ」
お、ついに俺か。
ジャンブル爺の声が体育館フィールドに響く。
「プロトタイプ・ナビAI、そして電子武装フレーム《ツインコード・アームズ》。これは実験機でもある。友斗の戦いを通じて、我々はナチュラル・ハッキング能力の安全運用を研究させてもらう」
友斗は少しだけ眉をひそめる。
実験機のモルモット、か。相変わらず管理したがるな、この学園は。
だが、クラスメイトたちは大盛り上がりだ。
「うおおお!ナビAIだ!」
「友斗、すげえじゃん!」
「電子武装フレーム《ツインコード・アームズ》」
ジャンブル爺が手を掲げると、ホログラムに白と黒の腕輪が表示される。
「これはお主が使っている白盾と黒剣――ヴァイスパリィとシュバルツラッシュを正式装備化したものじゃ。脳への負担も軽減されるぞい」
俺の技を……正式装備に?
友斗は腕輪を見つめる。
これで、もっと自由に戦える。
「最後にマルチスレッド・スタビライザーというお主のナチュラル・ハッキングを強化するものもつけておいたぞい」
おお、こいつはいいな。俺のマルチ・ナチュラル・ハッキングが機能として搭載されている。ただし使用時間は数十秒から数分間。
頭にガンガン痛みが来るし、治療ポッド行きは確定しちまうがな。
カスミが心配そうに友斗を見る。
「友斗、無茶したらダメ」
「大丈夫だ。正直武器を作るたびに頭がパンクしそうになってたが。これのおかげで負担なく戦える」
友斗は不敵に笑う。
管理されるつもりはない。
この装備も、俺の"自由"のために使ってやる。
俺に首輪をつけられると思うなよ?
あ、カスミの不気味な笑顔と白い首輪は怖いけどな。
表彰式は終わり、自分たちの教室に戻る。
今日はこれで学園のプログラムは終わりなので、新しい装備を使うために皆がリンク戦闘訓練を行える訓練ルームに来ていた。
『榊友斗さん、初めまして。私はリミナ』
友斗の視界に、淡い青白い光の球体が現れた。
人型ではない。ただ、静かに浮かぶ光の玉。
これが……ナビAI?
光の球体から、穏やかだが、どこか堅苦しい女性の声が響く。
「ああ、お前が例のナビAIか」
『はい。あなたの脳幹チップと常時リンクし、負荷を監視します。無理な能力使用は制限させていただきます』
「制限? ふざけんな。俺は好きに戦う」
『あなたの自由は尊重します。しかし、あなたが死ねば自由も終わりです』
その言葉に、友斗は少しだけ黙る。
「……まあ、死んだら元も子もねえな」
『ええ。ですので、私はあなたが生き延びるために存在します。よろしくお願いします、友斗さん』
友斗は小さく笑った。
案外、悪くないかもしれない。
カスミが、あんなに泣いてたからな。
リミナは友斗を縛るための存在かもしれない。
だが同時に――友斗を守るための存在でもある。
カスミや、エミリアや、クラスメイトたちの想いが、
このナビAIには込められているのかもしれない。
「よろしくな、リミナ」
『はい、友斗さん』
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